私のところでは、アカラックスという会社で人材紹介業も行っているのですが、いくつかの会社から、優秀なアクチュアリー、その他人材を紹介してもらいたい、という話が来ています。
アカラックスの基本的な考え方は、単なる橋渡しをするのではなく、求人側、求職側の双方の現状とニーズを理解した上でお互いがハッピーになれるようなアドバイスをする、というように考えています。特に、どうしても求人側のほうが立場上、強くなりがちですが、求職側にたって聞きにくいことを聞いたり、要求しにくいことを要求したり、求職側を代理して話を進めます。
(2002年10月5日)
9月末を超え、い良いよ世の中が騒がしくなってきました。
保険毎日のプロフェッショナル・アイに下のような投稿をしたのですが、内容が内容だけに、中々掲載も難しいのか、今のところ連絡がありません。
せっかく書いたものなので、ここに載せておきます。
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公的資金
いよいよ9月が終わってしまった。日本を始め、ほぼ全世界的な株式市場の大幅下落と共に。
そして為替も円高(即ち外貨安)で終わってしまった。
9月末の中間決算(生保の場合、半期報告)はどんな姿になるのだろう。
その前々日、9月最後の週末の土曜日に日経新聞に生保の契約者保護機構の記事が出た。契約者保護機構の中の公的資金枠4,000億円が来年3月末で期限が切れるので、これを延長する---ことを金融庁が検討を開始する。このような「これから考えます」という記事が何と日経新聞の一面トップ記事になった。
勿論トップ記事だから、見出しは「生保契約者保護を継続」となっており、2行目に「公的資金枠4,000億円延長」とあり、その下に小さく「金融庁検討」と書いてあるので、気の早い人は簡単に誤解してしまいそうな記事となっている。
「継続」とあるからには、今まで生保契約者保護はされていたに違いない、「公的資金枠4,000億円延長」とあるからには、公的資金が今までも用意されていてこれからもあり続けるんだ、このような誤解を誘うような見出しが使われている。
公的資金枠というのは絵に描いた餅で何の役にも立たないものだとか、生保契約者保護などもう既になくなっている、などというのはわかる人にしかわからないような表現になっている。
記事では公的資金は必要な時には使えるとなっているが、実際はこれを使うには国会の決議が必要であり、現実問題としてはまず使えない(国会議員が国民の批判を恐れて公的資金を使うことに賛成しない)ものだ。
この絵に描いた餅を延長することと引き換えに、金融庁は民間生保に更に拠出金を出させようとしているようだ。
前回この絵に描いた餅と引き換えに民間生保に拠出金を出させた時は、東邦生命の破綻処理が人質になっていた。またその時は絵に描いた餅が実際に使えるものかどうかも半信半疑だった。(大蔵省のお役人は自信タップリに、「自分達(お役人)が決めた事だから、必要になったら国会議員は無条件で自分達(お役人)の言う通り公的資金を使うことに賛成する」と、国会議員の先生方が聞いたら怒ってしまうような事を平然と言っていた。その後、その公的資金が本当に必要になった千代田生命・協栄生命の破綻処理の際、これが絵に描いた餅だということがようやく明らかになり、これら会社の引受け会社は公的資金なしの計画を立てなければならなかった。)
今回は朝日生命の破綻処理が人質になるのだろうか。だとしても絵に描いた餅が絵に描いた餅でしかないことがもはや明らかになってしまった今、民間生保各社もそう簡単にこの話を飲むことはできないのではないか。
金融庁はこの方向の具体策を来年の通常国会に保険業法の改正案として提出する方針だと記事にある。だとすると、朝日生命の破綻処理はそれが済むまでお預けということになるのだろうか。そうすんなりとは物事が進まないだろうから、決着が着くとしても来年の4月以降になることが想定される。そのためにも公的資金枠を来年の4月以降に延長しなければならないのだろうか。
翌日の日曜日にはまたまた日経新聞の一面(今度はトップではなかったが、トップ記事は日本経済の概観みたいなものなので、実質的な具体的な記事としてはトップの扱いだった)に、朝日生命が団体年金から撤退するという記事が出た。朝日生命に今だに3,500億円もの年金受託資金が残っているというのも驚きだが、これに見合うだけの換金できる資産がまだ残っているのかなと他人事ながら心配になる。この年金資産を2、3年以内に親密先のみずほ信託銀行、大和信託銀行に移す方向で調整中ということだが、こう言うことでまだ2、3年はもつという印象を世間に与えたかったのだろうか。
一内閣一閣僚と言っていた小泉さんの内閣改造で柳沢金融担当相が更迭され、銀行に対する公的資金投入は一気にやりやすくなった。
朝日生命が破綻できない原因の一つは、その破綻がいくつかの親密先銀行に大きな影響を及ぼし、銀行の破綻につながりかねないという懸念だ。この問題が銀行に対する公的資金の投入で解決できるのであれば、朝日生命の破綻処理はスタートすることができるかもしれない。
いつまでも朝日生命をたな晒しにしないで、早く破綻処理に移してあげたら良いのになと思う。その処理の過程で、今度こそ契約者にとって、破綻前の予定利率引下げと比べて、破綻処理がいかにコストがかかるか明らかにする。そして他の会社についても既契約の予定利率引下げにつなげるというシナリオはどうだろう。死に体の一社の犠牲で他の会社が生き延びることができるのであれば、以って瞑すべし。これも検討に値する考えではないだろうか。
ここまで書いたところで今日(10月1日)の日経新聞を見ると、今度は(さすがに一面は改造内閣の顔ぶれの紹介に取られてしまっているが、3頁目に)個人保険・個人年金保険の7割以上が逆ざや状態になっていると、これまたかなり大きく取上げられている。コメントには「逆ざや解消のため、破綻前の予定利率引下げ制度の導入を求める声が強まる可能性がある」として、そちらの方向に読者を誘導しようという意図が読み取れる。
周知のように日経新聞は政府の御用新聞として、政府の意見を知らしめるため、雰囲気作り、あるいは民間の意見にさぐりを入れるために使われている。このように連日生保関連の記事が掲載されるところを見ると、いよいよ金融庁も重い腰を上げて動き出そうとしているのかなと思える。
行政・民間生保・消費者サイド、それぞれ過去からの行きがかりや様々な思惑もあると思うが、それは暫時棚上げしてもらって、この際当面の課題を解決するために本音ベースで協力してもらいたいと切に期待したい。
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御意見お聞かせください。
(2002年8月19日)
久しぶりに素晴らしい本を読んだので紹介します。
高橋伸夫さんという東大の先生(東京大学大学院教授)の書いた『できる社員は「やり過ごす」』という本で、日経ビジネス文庫から出ています。(定価600円+税)
本のタイトルからすると気楽な読み物風の本のようで、文章も確かに読み物風の気楽に読める、わかりやすい文章ですが、内容は素晴らしいの一語につきます。
「やり過ごし」、「尻ぬぐい」、「泥をかぶる」、「見通し」、「付き合いの長さ」など、借り物でない日常的な言葉が次から次へと出てきて面白く読める本ですが、それと同時に学問的にもかなり水準の高い本です。
日本にもようやく、日本の会社の経営のやり方について、自分の目で確かめ、自分の頭で考えたことを、自分の言葉で表現する、本物の経営学者が生まれたんだなと本当に嬉しくなりました。
勿論私は経営学の専門家ではありませんが、今まで私の知っている限りでは、日本の経営学者というのは欧米の経営学の翻訳、紹介、そしてそれを日本の現実にどう適用するかということしか考えて来なかったように思います。借り物でない視点で現場をはっきりと見つめ、その中から考えを整理し、理論化していく。その中で今まで我々にとって当たり前のことだけれど、欧米の理論では十分な説明ができずに何となくモヤモヤして欲求不満に思っていたことが、理論的根拠をもってわかりやすく説明され、これで良いんだと保証してもらえる。こんなに気持の良いことはありません。
欧米流の経営学に惑わされることなく、日本流の経営の良い所をそのまま良いと学問的にはっきりさせてくれる、素晴らしい本です。
この本の素晴らしさは実際に読んでもらわないと十分伝わらないと思います。お盆休み明けのくたびれた頭で読み始めても、ワクワクして元気が出てくる本です。是非一度読んでみて下さい。
(2002年8月19日)
前回、何の気なしに代理店ビジネスの準備と書いてしまいましたが、良く考えてみるとこのホームページではまだ代理店ビジネスのことは話していませんでした。
代理店向けのメールマガジン Inswatch(http://www.inswatch.co.jp/ を参照して下さい)に毎月、代理店ビジネスの初めからの経過報告を書いていたりするので、何となくもう皆が知っているような気がしていたのですが、ここで改めて説明しておきたいと思います。
昨年2月にアイエヌジー・リ・サービスという再保険の会社を閉鎖することになり、アカラックス株式会社という会社を設立したというところまでは、既に以前書いていると思います。その会社は数理を中心とする生命保険コンサルティングの会社ですが、何とか1年たって、2期目の決算を終えました。(設立が昨年4月で6月決算なので、1年とちょっとでもう2期目の決算が終わってしまいました。)
このアカラックスというコンサルティングの仕事で、今まで出来なかった、より営業の現場、あるいは消費の現場に近い所、即ち保険の代理店や募集人、消費者である契約者に対するコンサルティングをしたいと思っていたのですが、なかなかうまく行きません。そこで今年3月に、相手が来てくれないんならこちらか飛び込んでしまえということで、代理店を始めることにしました。
営業をすると言っても、誰かに教わってやるとか、営業の経験者を雇って働かせるとか言うのではなく、営業の経験などない人間が何人か集まって、自分達でこうするのが正しいだろうと考えるやり方でやってみようと言うのですから、こんなアブナッカシイ話はありません。
アクチュアリーに営業なんかできるわけがないんだから、悪いことは言わないから早くやめろという親切なアドバイスはたくさんもらいました。
また、代理店営業のプロからは、生保の営業で成功するためには、しっかりした大きなマーケットを確保していることと、卓越した営業力があることの2つの条件が必要だとアドバイスされました。2つの条件が両方共あれば素晴らしいけど、どちらか一方でもうまく行くかも知れない。どちらもなければ絶対にうまく行くわけがないということです。私の所は自慢じゃないけれど、どう考えてみてもどちらの条件も満たさないのは明らかです。
というわけで、3月にアカラックスの子会社の形でアカラクシアという有限会社を設立し、4月に代理店登録をしました。この関係で20何年ぶりで募集人資格のための試験(一般課程-昔の初級、専門課程-昔の中級)を受験し、また変額保険の試験も受けました。
実際に代理店を始め、見込み客をみつけ、手持ちの保険契約を分析し、保険ニーズをみつけようとしていると、生命保険会社の本社の中の方にいて、商品開発や経営管理、決算をやっているのと全く別のあれこれが見えてきます。
標準的に誰にでも利用できる汎用の商品特性を考えるのではなく、具体的に個別の顧客とその特定のニーズに適した商品を選択し、組み立てるというのは本当にワクワクするような面白い仕事です。
社員一同少しずつ仕事にも慣れてきて、最初は1日がかりだった設計書の打ち出しもアッという間にできるようになりました。色々な会社の商品も具体的な個別の顧客のニーズに照らして、その良し悪し、優劣を検討できるようになりました。また各社の営業社員の代理店に対するアプローチ、あるいは顧客に対するアプローチもわかるようになりました。
今の所私の知る限りでは、アクチュアリーで代理店として保険の販売をやっているというのはかなり珍しく、他にはいないのではないかなと思います。そんな物珍しさも面白いアピールポイントになるかも知れません。
保険サービスの購入者の立場で、こんな代理店のアドバイスを試してみたいというような奇特な人や会社がありましたら、是非紹介して下さい。
(2002年7月16日)
またまた、あっという間に2ヶ月もたってしまいました。
このところ、代理店ビジネスの準備でバタバタと忙しく、また、体調もちょっとこわしてしまって、大事を取って少しノンビリしていたら(そういえばサッカーのワールドカップも見なければならなかったし)、いつのまにかもう7月も半ばになってしまいました。
ここへ来て、国会と中央官庁のお役人のやることなすこと、見事なほど、あきれ返るほどのだらしなさです。その例をあげようとも思わないほど次から次へ、不祥事や不手際がでてきています。
財務省や金融庁では、お役人の順送りの人事異動さえできずに終わってしまいました。それも、もう誰が見ても死に体の、何の力も残っていないと思われる小泉内閣に対して、自分たちの人事さえ承認させることができなかった、と言うのは、いよいよもって本当にお役人の力がなくなってきたことの表れに違いない、と思います。
お役人の力の源泉の一つは、あのカッコとした順送りの人事異動とそれに伴う天下りのシステムですから、お役所の上のほう(財務省の事務次官や金融庁の長官など)の人事異動が予定通りいかないと全ての手順が狂ってしまうことになります。今までは国民がなんと言おうと政治家が何を言おうと、所轄大臣だろうと総理大臣だろうとどんな反対も押し切ってお役人の世界の人事異動を押し通してきたものですが、これができなくなった、と言うのは、思っている以上にお役人の力がなくなってきているのかもしれません。
何年か前、橋本首相が省庁再編を決めたときの深慮遠謀の時限装置がいよいよ効いてきたのかな、と思います。
もちろん、お役人の力が弱くなれば政治家の力もそれに伴い弱くなります。中国の言葉に唇亡びて歯寒し、とあるとおりです。政治家の力、と言うのはお役人の力に依存していたわけですから。
当面、政治家も官僚も、新聞をにぎわすつまらない記事のネタになること以外に実のあることは何もできないでしょう。個人であれ法人であれ、もはや政治家に頼ったりお役人に擦り寄ったりしておいしい目を見ることができなくなります。全て自分の判断と知恵でこれからの行く道を探していかなければならなくなります。ちょっと大変ですが、これこそ日本再生のあるべき姿だ、と思います。この意味で、いよいよ日本再生が始まった(始まる環境が整った)と考えると、うれしい限りです。
(2002年5月4日)
旧千代田生命の破綻処理にあたった管財人の弁護士の先生方が書いた『生保再建』という本が東洋経済新報社から出ています。
更生特例法申請の何日か前、弁護士の先生があらかじめ裁判所から保全管理人になるように頼まれるところから始まって、更生計画が裁判所に認可され、AIGから送り込まれていた戸国さんに千代田生命の経営をバトンタッチし、その後もうひと波乱あったもののそれも無事収まったところまで、半年余りの波乱万丈の、ハラハラドキドキの物語です。
登場人物と会社名をチョットだけ変え、フィクション仕立てにしていますが、誰のこと、どこの会社のことが書いてあるかすぐにわかるように書かれています。
AIGを相手に値段交渉をするのに、相手に義理人情を期待してみたり、名だたるコンサルティング・投資銀行がとんでもない間違いをやらかしたり、非常に面白い読み物になっています。
弁護士も、企業の破綻処理を得意とする先生が選ばれるので、破産法・会社更生法や民事再生法には慣れているのでしょうが、更生特例法などというのは法律ができたことは知っていてもジックリ読んだことはない、実例もまだほとんどないから細かいところはいちいち自分で考えなければならない、という状況で、生保の経営についても、保険の仕組みも、相互会社のことも何も知らない弁護士の先生が裁判所に指名されて破綻した生命保険会社の一切の権限をもってしまう、というとんでもないことが起こることになります。勿論、弁護士の先生をサポートするためにコンサルティングファームその他がアドバイスすることになりますが、全ての最終的な判断と意思決定は弁護士の先生がとんでもない混乱のまっただ中で行わなければならないことになります。これは本当に大変なことです。
この本の中で全くと言って良いほど存在感のないのが金融庁と生保協会です。以前、日産生命や東邦生命の破綻処理の際、中心的な役割を担っていた金融庁、生保協会はこの本ではほとんど登場しません。出番がない分、気楽だったかもしれませんが。
管財人の目標はいつしか契約者保護機構からの資金援助なしの更生計画を作る、ということになり、そのために獅子奮迅の努力を重ねてついにAIGにその条件を飲ませ、めでたしめでたし、というのが結論ですが、AIGだって慈善事業をしているわけではなく、そんなに甘い交渉をしているはずがないので、ちゃんとどこかで元をとっているはずだ、と思われるのですが、そこのところは弁護士の先生方は余り気にしていないようです。
交渉の直接の相手、ということでしょうか、千代田生命の元社長の米山さんやAIGの人たちがとてもいい人のようにかかれているのがチョット気になりました。
とにかく、一気に読める本です。楽しんでください。
(2002年3月27日)
浅谷さんのホームページの3月24日のコメントに、3月23日付の週刊ダイヤモンドに載っていた元大蔵省の滝本さんのコメントに関するものがありました。
遅まきながらその号のダイヤモンドを買ってきて読んでみました。
滝本さんのコメントは、あいも変わらない元お役人の、うそと無責任と責任回避のコメントに終わっていて、予想通りだったのですが、浅谷さんのこれに関するコメント、これに関連した自分自身の元大蔵省時代のことに関して、ちょっと弱気の発言、いいわけじみたコメントが気になりました。
週刊ダイヤモンドのこの号は、『選ばれる保険会社』という特集記事がメインになっていますが、ついでにほかの記事も読んでみました。
その特集の中に、『悲鳴をあげる保険の現場』というタイトルで朝日生命のベテラン外務員3名が匿名で座談会をしている、という形式の記事がありました。
朝日生命は大丈夫だ、優秀な社員もたくさんいるし、非常にいい商品(『保険王』のこと)が良く売れているし、もっといい会社になってもらいたい、という座談会ですが、そこでコメントされている外務員さんのコメントがもし本当だとしたら、朝日生命というのは経営や管理の面でもうどうしようもないほど問題の山積している会社で、改善の余地は余りなさそうだし、早く整理した方が世のため人のためになるのではないか、と思わせるような内容でした。
週刊ダイヤモンドの編集サイドがどんなつもりでこの記事を作ったのか、ここの内容が本当に現役外務員さんの生の声を代表しているものなのか、なかなか興味深く読みました。
また、この号にはニッセイ基礎研の正田さんの『生保予定利率引下げ、今こそ政・官・民が決断を』というコメントも載っています。
今すぐだったら本屋さんにも『先週の週刊ダイヤモンド』ということで残っているかもしれません。
(2002年3月17日)
いつにの間にかもう3月の半ばになってしまいました。
3月危機はいよいよ目の前に迫ってきており、金融関係のお役人の『大丈夫』発言しか聞こえなくなりました。
このような状況の中、鈴木宗雄さんのことでマスコミは大騒ぎをしています。
ことの始まりは確か、田中真紀子さんと外務省の争いだったはずなのが、いつのまにか鈴木宗雄さんの問題にすりかわってしまい、田中真紀子さんと一緒にやめたはずの野上さんという次官も、外務次官は辞めたもののなんだかまだ外務省を辞めていないようです。(更迭、というのは次官をやめる、ということで外務省の役人を辞める、ということではないようです。)
一般的に他の省庁ではお役人の一番えらいのが事務次官ですが、外務省ではそうではなく、事務次官というのはまだ出世の始まりという位置付けのようですから、野上さんはこれから外務省でもっとえらくなるのかもしれません。
一番悪者の外務省がいつのまにかひ弱ないじめられっこ、というイメージになってしまい、その悪者にたかってちょっとだけ甘い汁を吸っていた鈴木宗雄さんが諸悪の根源みたいなことになってしまいました。
外務省の内部文書がいつのまにか外部の人の手に渡り、それが公表されると外務省がその存在を認める、外務省がそれを認めた段階であたかもその文書の中身がまったくの真実であるかのような取り扱い方をされる、なんともむちゃくちゃなことになってきました。
誰か外務省のお役人が何年も前の日付けで内部文書を作り、ファイルに綴じこんだ上でそのコピーをこっそり野党の議員に手渡して、野党の議員に公表してもらい、それを追いかけるようにしてすまなそうにその文書の存在を認める、という形をとればどんなデッチ上げでもできそうな雰囲気です。
外務省は形だけすまなそうな振りをして謝れば、それ以上は責任を問われないようです。
うまい具合に鈴木宗雄さんに責任転嫁して、世論の糾弾を逃れてしまったかの感があります。お役人の世界はいつもこんなものだな、といったところです。
といった按配で一般の世間の目は3月危機が遠のいたかのような感があります。
多分、朝日生命の破綻も3月中には起こらない(起こさない)のだろうと思います。
相互会社の株式会社化、相互会社同士の合併、相互会社の社員配当の下限を80%から20%に引き下げる話、等、相互会社のあり方にかかわる大きな問題が、このドサクサに紛れていつのまにかほとんど議論されることもなく大きく進行しています。
我々にとっては、生命保険のあるべき姿の理想形の一つとして相互会社組織を習いました。もう一度、このあたりを考え直してみたいと思っています。
浅谷さんのホームページでも紹介されている、住友生命総合研究所の主任研究員である茶野努氏の著書「予定利率引き下げ問題と生保業の将来」でも、既契約に対する予定利率引下げ問題について相互会社組織の視点から、予定利率の変更ができないのは間違っている、という指摘があります。
(2002年1月2日)
明けましておめでとうございます。
このホームページも3年目になりました。
何とか今まで続けてこられたのも、ひとえに皆さんの御支援のおかげです。
今年は銀行も、保険も、バブルの後始末の最終局面で、またまた色々大きな動きが予想されます。
年始早々から、ニュースから目を話せない日々が続くと思います。
私も、このホームページを始めたときは、アクチュアリーの皆さんに意見発表の機会を提供するのと同時に、自分自身の意見発表の場としても考えていました。当時、このホームページくらいしか、自分の意見を自由に発表できる場がなかったのです。
その後、私自身、アイエヌジー生命をやめ、また、アイエヌジー自体からも離れ、自由の身の上となったと同時に、InsWatchという保険代理店向けのメールマガジンや最近では保険毎日新聞にも定期的に投稿できるようになりました。その分、このホームページに意見を載せるのが少なくなっているかもしれませんが。
自己紹介のページをずっと放ってあったので、更新しました。
このコメントも2年分たまってしまったので、今日の分から新しく積み重ねていきます。
今までのコメントは別ファイルにして、この最後から見ることができるようにしました。
2001年12月までの私のコメント