ミャンマーの総選挙、スーチーさんの野党側の圧勝で決着がついたようです。現職の大統領も敗けを認めたようですから、確定なんでしょうね。
で、勝ったスーチーさん、これから大変です。
今までは『民主化』とだけ言っていればよかったのですが、政権を取ってしまったらそうはいきません。実際に政府を動かして行政をしなければならないわけですから。政権が民主化されたら行政がうまく行く、なんて保証もありません。
今まで軍政にいじめられていたスーチー派の人達は、せっかく勝ったんだから少しは良い思いをしても良いだろうと思う人がいるかも知れません。本人がそう思わなくても、その人の親戚とか友人とかがそう思うかも知れません。となると、スーチー派の閣僚なり幹部なりの職権乱用とか汚職とかのスキャンダルが出てきます。
それに対して厳しく対処しようとすれば、昔からの仲間は裏切られたように思うかも知れません。厳しく対処しなければ、今度はスーチーさんに期待して投票した国民が裏切られたように思うかも知れません。いずれにしてもミャンマーの人達はまだ民主的な政治にまるで慣れていないはずですから、民主主義を使いこなすのにかなり年数がかかるような気がします。
現実の政治の世界では誰もが喜ぶような話はありません。誰かが喜ぶ話は他の誰かが嬉しくない話です。今までスーチーさんはそのような生々しい政治の現場の経験はあまりなく、『民主化、民主化』と言ってきただけのような気がします。
ミャンマーの憲法上、スーチーさんは大統領にはならないことになっているようで、それが分かっているので自分は大統領にはならないけれど全て大統領に自分が指示する(日本語の表現では、いわゆる院政、というやつです。)、と言っているようです。そんなやり方がいつまでもうまく行くとも思えません。また、この言葉自体、憲法違反だとか民主的でないとか批判も出てきているようです。
『勝者の呪い』という言葉があります。勝負に勝った方が、勝ったことによりかえって不利な立場に置かれてしまうという意味です。
軍の方もとりあえずは一歩引いて様子見、ということでしょうが、いざとなったらいつでも実力行使に出るつもりでいるでしょう。国民も、スーチーさんによって本当にいい国が実現するのか見つめているんでしょう。
ミャンマーの民主化がどのように進展するのか、今後当分注目です。
まったく同感ですな。
カレン族の問題もあるし、たぶんそう遠くない時期に軍のクーデターで政権は崩壊でしょう。