外国人労働者の受け入れ問題に関して、実習生が大勢死亡している等の報道がなされ、今一はっきりしなかったのですが、今朝の日経新聞の社会面(私の取っているものでは、12月14日朝刊13版の35ページ)にまとまった記事があったので紹介します。
この記事、見出しは『外国人実習生ら174人死亡』『法務省集計、10-17年 経緯不明も多く』となっていて、不自然に多くの外国人実習生が死亡しているかのような話になっています。
この記事によると
- 13日の野党合同ヒヤリング(野党は相変わらずこんなことをやってるんですね)で法務省は、昨年まで8年間に外国人技能実習生ら174人が事故や病気で死亡した、と言った。①
- 厚生労働省は昨年まで10年間で実習生を含む外国人労働者125人が労災で死亡していた、と言った。②
- 実習制度推進団体『国際研修協力機構』の集計によると、昨年度までの3年間に実習生88人が死亡した。③
- 実習生を巡っては6日に、15年~17年の3年間で69人が死亡していたことが判明。④
- 実習生は昨年10月末時点で約25万8千人いる。
ということのようです。
1年あたりの死亡者数は単純に年数で割り算すると
①21.75人 ②12.5人 ③29.33人 ④23人
となっていて、分母の人数が⑤の25万8千人で年々それほど大きく変動していないと考えると、これを分母として死亡率は
① 1万分の0.8 ② 1万分の0.48 ③ 1万分の1.14 ④ 1万分の0.89
になります。
直近の日本人の死亡率は、平成29年の簡易生命表の死亡率で
15歳 男性 1万分の1.7 女性 1万分の1.0
20歳 男性 1万分の4.2 女性 1万分の1.8
25歳 男性 1万分の5.0 女性 1万分の2.2
ですから、これと比べると、特に外国人労働者の死亡率が高いとは言えないようですね。
外国人実習生が劣悪な労働環境で働かされているので死亡者が多い、と言うには、もう少しきちんとした調査が必要のようですね。