感染症モデル

藤川太さんのフェイスブックの投稿で、5月4日に専門家会議の話が出ています。これに対する野上さんのコメントにこたえる形で、北海道大学医学統計学教室の感染症の数理モデルが紹介されています。

https://biostat-hokudai.jp/seirmodel/?fbclid=IwAR1-geA6BVpzpf1BjdYc_pH6HKN5DuG3G2TS07KxZBT1-bzAjF0cDcSB1qM

実際のモデル自体は

http://3.22.235.181:3838/ec2-user/SEIRmodel/

で、ブラウザ上でパラメータを入力して『submit』すると、シミュレーション結果を表及びグラフの形でブラウザ上に出してくれる、というものです。

これはRという統計関係とグラフ描画を得意とするソフトで作られたものだそうです。

ここでもととなっているモデルは北海道大学の西浦先生、稲葉先生が統計数理という雑誌に過去にレビューした論文
https://www.ism.ac.jp/editsec/toukei/pdf/54-2-461.pdf
のモデルが元となっているようです。

この論文では感染症モデルを微分方程式の形で

SIRモデルでは
dS(t)/dt = −βS(t)I(t),
dI(t)/dt= βS(t)I(t) − γI(t),
dR(t)/dt = γI(t)
.
SEIRモデルでは
dS(t)/dt = −βS(t)I(t),
dE(t)/dt = βS(t)I(t) − εE(t),
dI(t)/dt = εE(t) − γI(t),
dR(t)/dt = γI(t)

としていますが、1日単位の変動のモデル化ですから微分方程式でなくても、差分方程式にしてもほぼ同様の結果が得られます。

そこで例えばSEIRモデルについては

S(t+1)=S(t) −βS(t)I(t),
E(t+1)=E(t)+βS(t)I(t) − εE(t),
I(t+1)=I(t)+εE(t) − γI(t),
R(t+1)=R(t)+γI(t)

という形にして、例えばエクセルかなんかで計算させ、それをグラフにすれば、よく見る感染症モデルの、未感染者、潜伏期の人数、感染者の人数、感染済みの人数のグラフが手に入ります。

北海道大学医学統計学教室の感染症の数理モデルでは、パラメーターとして
基本再生産数(R0)
感染待ち期間(Average incubation period)
感染性期間(Average infectious period)
を与えるところから始まりますが、上の微分方程式あるいは差分方程式のパラメータのβ、ε、γの関係は、
β= R0*γ/ S(0)
ε=1/感染待ち期間
γ=1/感染性期間
となります。

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