この本は図書館のおすすめのコーナーにあったもので、テーマは『人間と植物』というようなものでした。
ちくまプライマリー新書の中の一冊で、主として中高生を対象として書いてあるので読みやすい本です。
名前の最初の「稲」に関係があるのか、著者は農学博士で、専門は雑草生態学ということです。とはいえ植物・動物全般について良く知っていて、わかりやすく説明してくれています。
植物は動かないということで、その前提で様々な進化をし、動物は動くという事で様々な進化をし、動物は植物をエサとしそれに合わせて進化し、植物は動物に食べられるという事を前提にそれを妨害したり利用したりする形で進化したという物語が面白く語られています。
地球が生まれて46億年、生命が生まれて38億年ですが、その後4億7千年前に植物が上陸し、魚類が上陸してその後両生類・爬虫類・恐竜・鳥類・哺乳類に進化していったのが3億6千年前、その植物・動物の上陸後お互いに影響を与えながら進化し、植物はコケ類からシダ類・裸子植物・被子植物、そして草に至り、その草の代表がイネおよびイネ科の植物だ、というような話です。
今まで生物の歴史とか動物の歴史については何度も読んでいますが、『上陸』というきっかけで『上陸後』という視点で見たことがなかったので面白かったです。
この人は多くの本を書いている人で、同じちくまプライマリー新書の中でも『雑草はなぜそこに生えているのか』『イネという不思議な植物』という本も書いています。『イネという不思議な植物』という本ではいわゆる穀物といわれる米・麦・トウモロコシがすべてイネ科の植物で、それ以来でもササ・竹・ヤシなどもイネ科の植物なんだ、馬や牛が野原で食べている草もほとんどがイネ科の植物なんだ、なんて話も書いてありました。
またファーブル昆虫記というのは有名だけれど、実はファーブル植物記というのもあって面白いというようなことも知りました。
イモヅル式読書はいつまで行っても終わりそうもありません。