友人が二冊目の本を出しました。浦辺登著「霊園から見た近代日本」という本で、弦書房という所から出ています。
多分震災の直後に出たはずですが、その後バタバタしていてようやく読み上げました。
「霊園」というのは「青山霊園」とか「谷中霊園(墓地)」、泉岳寺その他のお寺のお墓のことで、お墓めぐりをしながら近代日本の歴史に登場する人々に思いを馳せるという構成の本です。登場人物は主に明治維新の生き残りの人々から始まって、太平洋戦争に入るまでの人々です。
歴史小説などではフィクションの合間のスケッチとして描かれるような話を、著者の思い入れで書かれていますが、もちろんフィクションではありません。その登場人物のお墓が東京周辺の霊園にあるのをお参りしながら、その人の生涯に思いを馳せるという内容の本です。
著者は福岡の出身なので、福岡藩のことや福岡発の玄洋社のことなどもかなり思い入れたっぷりで書いてあります。
本のスタートは朝鮮の独立運動のために日本の応援を求め、結局中国と朝鮮に騙されて殺された金玉均から始まります。
明治維新から太平洋戦争までの歴史を復習するのに格好な読み物です。
福岡人だけあってアジアへの視点もしっかりしていて、孫文その他中国建国運動、朝鮮独立のために伊藤博文を暗殺した安重根、その他インドやフィリピンの独立運動の戦士達も登場します。
この著者の前著は「太宰府天満宮の定遠館」という本で、こちらは大宰府という場所を固定した上で、万葉集の時代から日清戦争のあとまでの様々なトピックスを綴っています。
どちらも小説ではないので、フィクションはありません。とはいえ、学問的な専門書ではありませんから、気楽に読むことができます。
歴史や歴史小説が好きな人にはお勧めです。
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