小沢一郎さんの裁判

いよいよ小沢一郎さんの裁判が始まりました。

冒頭、小沢さんの発言があるということで注目されました。すぐあと、NHKのホームページにその「発言の全文」というのが載ったので見てみました。何ともはや、あきれ果てるばかりの文章です。

小沢さんはコワモテで相手を脅しつけることで影響力を行使していた人ですが、相手がもう恐がらなくなっているのに相変わらず相手を叱りつけるようなことばかり言っていると、その相手を皆敵にしてしまうことになるということがわからないんでしょうね。もうそれを小沢さんにアドバイスする人もいないということでしょうか。

小沢さんは政治家としてあまりまとまったことを言ったり書いたりしない人ですから、2,400字にもなる文章を書いて発表したというだけで興味があります。読んでみて、この人は論理的な思考もできないし法律のことも何もわからないで、単に国会議員は(特に小沢一郎という国会議員は)誰からも責められない特権階級だということを本気で信じているようです。

いよいよこれから裁判を始めるという時にいきなり、「こんな裁判はすぐやめろ」なんてことを言って、これまで裁判のための準備をしていた人の努力を何だと思っているんでしょうか。特に裁判官はこれから双方の言い分をしっかり聞いて、と思っていたはずですから、最初から裁判をやめろなどと言われて面白くないでしょうね。

次に「自分は何もやってないから無罪」だと言い、そのあとでもう少し具体的にその中味を言うのかと思ったら、何と今度は「そもそも政治資金規正法というのは嘘を言っても良い法律なんだ。ばれたら後から修正すれば何の問題もない。それがこの法律の原則であり精神なんだ」などと堂々と主張しています。

法律を作る国会議員の立場で、法律が正しく適用されているかどうか判断する裁判所で、このように法律を無視するようなことを平然と言うのは、あきれてしまいます。

まぁ実際の所、本音の部分は小沢さんの言う通りなんでしょうが、でもそれをわざわざ法廷で言うというのは、まぁ正直と言えば正直なんでしょうが・・・。

で、普通の一般人の喧嘩の時は「俺は嘘はついてねえ」と言ったすぐあとで「嘘をついたって良いんだ」なんてことを言ったら、これは嘘をついたことを認めているようなものなんですけれど、小沢さんにはこのロジックがわからないんでしょうか。

小沢さんは「国民の負託を受けた」という言葉が大好きなようで、国民の負託を受けた国会議員の自分が、国民の負託を受けていない検察のお役人にあれこれ調べられるのは嫌なようですけれど、それを、国民の負託を受けていない裁判官に訴えて、それを国民の負託を受けていないマスコミや国民に同意してもらおうというのは、どういう感覚なんでしょうか。

どうも国民の負託を受けた自分が国政を行なうために仕事をするために、検察が捜査することもまかりならん!と言っているようです。

自分を政治的に抹消しようとするのは「生命を奪う以上に残虐な暴力だ」などということも言っていますが、とりあえず生命を奪われる心配がないから安心してこんな事を言えるんでしょうね。日本は本当に平和な国です。

総選挙の直前に強制捜査を開始したのが嫌だったようで、「総選挙の前は捜査をしてはいけない。そうでなければ日本は民主主義国家とは言えない」とまで言い切っています。よっぽど「国民の付託を受けた」国会議員が偉いと思っているんでしょうね。

とりあえず前回の衆議院の選挙での小沢さんの得票は13万4千票ですから、日本人の約1,000分の1の負託を受けたということになります。あるいは岩手県の4区の有権者約30万人の47%の負託を受けたということになります。この負託でほとんどの日本国民をはるかに上回る「特別扱いをしろ」と言われてもなぁという気がします。

小沢さんはこの作文によっぽど自信があったのか、裁判のあとの記者会見で再度読み上げて記者に披露するというパフォーマンスをしたようですが、効果のほどはどうだったんでしょう。あまり評判は良くなかったようですね。

裁判では最後に裁判官から「次回は来週の金曜日。被告は必ず出席して下さい」と言われ、小沢さんは「はい、わかりました」と元気に答えたとのことですが、昨日の夜にはもう体調不良のため緊急入院したとのことです。

来週の金曜日、ちゃんと約束通り裁判に出席できるんでしょうか。自分は国民の負託を受けているんだから、負託を受けていない裁判官に従う必要はないと考えているんでしょうか。

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