反原発のケインズ理論

オリンピックも終わってしまいましたね。

サッカーが男女とも最後の試合は負けてしまいましたが、内容はどっちが勝ってもおかしくないようなもので、杉山・釜本の時代からサッカーを見ている者としては、日本も強くなったなと感心しています。

で、この週末テレビで、例の首相官邸を取り巻く反原発のデモの報道を見ました。普通のデモと違って特に誰が組織するでもなく、自発的な参加者が勝手に集まって勝手に「反原発」を叫ぶというなかなか面白そうなデモのようです。

面白そうだから1度見物に行ってみようかなと思いましたが、とりあえず暑いうちはちょっと遠慮して涼しくなってからにしようかと思いました。もちろん単なるやじ馬ですが、このような組織立っていないデモだとやじ馬と参加者の区別もつかなくて、やじ馬も参加の○万人の中にカウントされちゃうんだろうな、と思いました。

ここで本気でデモしている人達は、すぐにでも原発を全部止めて金輪際使うなということを言っているんですが、しばらくしてからおかしなことを思いついてしまいました。

その昔、アメリカの大恐慌の時、その対策としてとにかく公共工事をしろ、工事する所がなければ地面に大きな穴を掘って、できたらそれを埋め戻すという無意味な工事でも構わないから、というようなことをケインズが言った、というような話があります。

もちろん私はケインズなんぞというものは読んでませんから本当のことかどうかわかりません(多分、本当ではないような気がします)が、いずれにしても国債でも何でも発行してそのお金を大々的に使う。その使い途は何の意味もないお金をドブに捨てるようなことでも構わない、というような主旨のことを言ったのは本当のことのようです。

で、アメリカはこのケインズの理論に従ってテネシー川の開発その他の公共事業をやったのですが、規模が小さ過ぎてなかなか効果が現れず、仕方なく第二次大戦に突入して大々的な戦費の消費をして、今度は十分な効果が得られ、ようやく大恐慌から立ち直ることができたということになっています。

とにかく船や飛行機や戦車や銃や大砲を大量に作って、海に沈めたり、空から墜落させたり、陸上に壊して放置したり、銃弾や砲弾も使い放題に使って、また何百万人の兵隊さんをあっちに持ってったり、こっちに移したり、とにかく膨大な浪費をしたんですから、効かないわけがありません。

で、今回の反原発。デモに参加している人達はそんなつもりはこれっぽっちもないとは思いますが、要は膨大なお金をかけて作った原発を、使うこともしないでお釈迦にして、しかもさらに大金をかけてこれを壊してしまう。そしてその分大金をかけてわざわざ値段の高い電気を作る発電所を作るというわけですから、何となくケインズ流に似てます。

膨大な無駄使いを税金と電気料金で、いずれにしても国民全員で負担するんですから、大量に国債を発行して税金で返済するというのと同じようなものですね。

で、普段はケインズの教えに従ってもっとどんどん国債を発行して公共投資しろ、と叫んでいる経済界の人々が反原発に反対して、逆に公共投資は無駄だと言い税金を上げることに反対している人々が反原発で、より大きな無駄使いを主張しているというのも、面白い話ですね。

個々人の考えと全体としてのその結果の違いということを考えると、これも『神の見えざる手』なんでしょうか。
こう考えると、反原発、というのもなかなかいい手かもしれませんね。

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