ビットコインの取引所の一つが支払不能になったようです。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140226/t10015536281000.html
この会社は渋谷にあるマウントゴックスという会社で、取引量世界一、ということですが、日本人の顧客はほとんどいないようで、主にアメリカ人その他が顧客のようです。
取引所、というのはビットコインを売ったり買ったりするところかと思っていたのですが、ビットコインの預かり(ビットコインの預金のようなものでしょうか)もやっていて、その預かったビットコインが消えてしまった、ということのようです。
ハッカーの攻撃でビットコインを盗まれてしまった、とか、預けたビットコインを引き出す時に何回も引き出すことができたんだ、とか、いろんな話があって本当のところはよくわかりません。で、その消えてしまったビットコインが74万ビットコイン、今の相場が大体1ビットコイン=500ドル=5万円くらいなので、74万ビットコイン=350百万ドル=350億円というくらいの話です。
現在発行済みのビットコインは1,200万ビットコインくらいですから、その6%位にあたります。
この盗難が、過去2年にもわたってずっと続いていた、ということですから、このマウントゴックスという会社の管理体制はどうなっていたんだろう、と思います。また、問題がビットコイン自体に内在するものなのか、あるいはマウントゴックスという会社の預金管理のシステムの問題なのかもよくわかりません。もちろん、ビットコインの関係者はビットコイン自体のシステムの問題ではない、と言っていますが。もちろんこれらすべてが嘘で、単なる預金の持ち逃げ、ということなのかもしれません。
これでビットコインの全体の信用がなくなってしまうと、盗まれていないビットコインも無価値になってしまい、ビットコインを大量に持っている人も、ビットコインの仲介で儲けている他の取引所も困ってしまうので、みんなでよってたかってこのマウントゴックスの救済にあたろうとしているようです。
その救済策のドラフトなるものがネットで公表されています。
http://ja.scribd.com/doc/209098983/MtGox-Situation-Crisis-Strategy-Draft-With-No-black-Bars
これがなかなか面白いので、興味があったら見てみてください。
この中にStrategy Timelineというのがあって、Now(というのがいつなのかわからないのですが)から日本時間2月25日朝までに救済資金をかき集め、日本時間2月25日朝に状況を公表して1カ月間の取引停止を発表し、その後体制整備を進め、その状況はFacebookやTwitterその他で進捗状況を逐次公表し、4月1日以降に新しい名前で取引を再開する、という計画が書いてあります。
今回の事態の公表が日本時間2月26日朝ですから、1日遅れでこのスケジュール通りに進行しているのかもしれません。
事態を放置するとビットコイン全体の信用が失われてしまうから、ビットコインの大口取引者、大手の取引所は救済のためにビットコインを贈与する、マウントゴックスの株式と交換にビットコインを払い込む、ビットコインだけじゃどうしようもないので現金も投入する、という形で協力しなければならない、と言っています。
ある意味既に起こってしまったことではありますが、その既に起こってしまったことに対するコンティンジェンシープランになっています。
うまくこの通りに行くかどうかはわかりませんが、プラン自体はなかなか良くできたプランだと思います。
今後の事態の推移がこのプラン通りになるのか、あるいはどうにもならないのか、興味を持って見ていきたいと思います。
相変わらず、ご活躍の様子!
小生も、日銀や欧州銀行をはじめとする世界の中央銀行の最近の動向を見ていて、「さて貨幣の発行権の独占は今後どうなっていくのだろう」との疑問を持ち、ビットコインと言うモノに多大な関心を払っておりました。
今回のマウント・ゴックスの件は、事件と言うか信用を損ねる不幸な混乱のようですが、中央銀行や政府にも現実に財政破たんの可能性もあり、改めて「信用」について考えさせられます。
岡本さん、お久しぶりです。
コメントありがとうございます。
私は今回の事件は単なる古典的な詐欺、窃盗の事件だと思っています。
でも、ビットコインについては、実体のないものに高値がついてバブルになる、という事例として興味深く見ています。