『防衛大学校で戦争と安全保障をどう学んだか』

もうひとつお薦めの新書が「防衛大学校で戦争と安全保障をどう学んだか」という本で、祥伝社新書で出ています。著者は二人の、防衛大学校で優秀論文の表彰を受けている人で、防衛大学校を卒業後、防衛省・自衛隊を退職してこの本を書いたということで、まだ卒業したばかりの人です。

タイトルの通り、自分達がどう考えているかというより、防衛大学校でどのように教えられたかという話になっていて、勉強した内容を一般の人に分かりやすいように整理して本にしたという形のものです。

「戦争」とか「平和」とか気軽に口にする言葉ですが、その内容をきちんと整理して考えるのに良い本だと思います。また防衛大学校で、どのようなことがどのように教えられているのか、というのも興味があります。

防衛大で優秀論文を書いたほどの二人が卒業後すぐに自衛隊をやめてしまうというのは、何とも勿体ないような話です。しかし現職の自衛官が安全保障の話とか自衛権の話とかを一般に向けて話すことは規則上できないので、この本を書いたりいろんな所で話をするために二人とも自衛隊をやめたということです。確かに現職の自衛隊の将校がそんな話をし始めたら大騒ぎになってしまうでしょうから、仕方ないことなのかも知れません。

軍事や戦争について専門的な本になるとなかなか読むのが大変になってしまうんでしょうが、防衛大を出たばかりの、まだ30歳前の著者が学校で学んだことを解説しているんですから、読みやすい本になっています。

軍隊や戦争の話をすると軍国主義者のように思われ、軍隊や戦争のことを考えない、その話をしないのが反戦・平和主義だというような大きな誤解が、まだ大手をふってまかり取っている状況ではなかなか素直に読んでもらえないかも知れませんが、集団的自衛権の話や憲法9条の改正の議論をするのであれば、軍隊や戦争について少なくともこの位の知識を身につけた上で皆が考えるようになったらいいなと思います。

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