今アラブの春はリビアが一応決着がついて、次の注目はシリアですが、なかなか時間がかかりそうですね。
リビアではかなり早くから「反政府軍」というのが活躍していたのですが、シリアでは今の所「力」という言葉しか目にしませんし、軍隊も「政府軍を離脱して反政府側に加わった軍人」という位の表現になっています。
そのような中、連日のデモで連日のように人が殺されているにもかかわらず、リビアの時のように欧米が軍事介入をするということにはなっていません。
欧米もユーロ危機で痛めつけられているさ中、リビアほど大量の石油を持っているわけでもないシリアに軍事介入するだけの動機もみつからずということのようです。
アラブ連盟が動き始めていて、アラブ連盟として制裁措置をとるということになったようですが、この制裁措置がどのようなもので、どれ位効果があるのかもわかりません。
アラブのイスラム諸国はヨーロッパの国々とは違って、あまり国同士の対立あるいは対抗心がないようです。
ヨーロッパではフランス革命とナポレオン戦争で「国民国家」という考え方ができ、第一次大戦の頃には「国家は国民のもの」という理念が確固たるものとして出来上がっていますが(そのため国民が団結して他の国の国民と対決するという形になり、それが今のユーロ危機に対してなかなか対応が進まない要因の一つですが)、アラブ諸国では宗教も言葉も同じような人達がたまたまいろんな国に分かれているだけなので、「国民」という考え方もヨーロッパほど確固たるものにはなっていないようです。
そんな中、しかしながら国単位で政治が行なわれるので、アラブの春も国単位で進んでいくしかないんですが、ヨーロッパの国とアラブの国というのは同じ「国」といっても意味が違うと思っていないと判断を誤りそうです。
いずれにしてもシリアの大統領に際限もなくシリア国民を殺させるわけにもいかないので、何とかしなければならないんですが、シリアの春はいつ頃になるんでしょうか。