私は子供の頃から本を読むのが好きでした。とはいえ、小学生の頃はお話とか物語の本ばかりですが時々病気になって学校を休むことになると、一日中好きなだけ本を読めるぞ!と嬉しかったものです。
で、一番イヤだったのが、読書感想文というやつです。
ハラハラドキドキしながらようやく読み終わり、あぁ面白かったと余韻に浸ってる時に感想文を書け・・なんて言われてもどう書いたら良いかもわからないし、もしこの感動を文章にするんだったら元の本を一語一句書き写すしかないじゃないか、と思っていたものです。
というわけで、小中高と国語の成績は5段階評価で2かせいぜい3くらいだったと思います。
中学になって小説を読むようになりましたが、それ以外の本も少しずつ読むようになりました。
最初に読んだのが中学の先生にもらった岡潔と小林秀雄の対談の新書です。岡潔というのは有名な数学者ですが、当時真宗系の新興宗教にはまっていたようで、その話が対談に出ていたのでそれをきっかけに仏教関係の本をいろいろ読むようになりました。
小林秀雄の方は当時すでに文庫で何冊もエッセイや評論が出ていたので、それを読むようになりました。その延長線上でその後同じスタイル(と私には思える)の山本七平や塩野七生など、かなり読みました。
小林秀雄というのは文芸評論家ということになっていますが、文芸評論というのはある意味読書感想文みたいなもので、それ以外でも絵を見たり音楽を聞いたり焼き物を見たりしての感想文がいろいろなエッセイになっています。要するに、このあたりで一級品の読書感想文を山程読んだということなのかも知れません。
読む方はかなり読みましたが、書くことはほとんどなかったように思います。
学校を卒業し就職し転職して、今のING生命に移ったあたりから、ようやく折に触れ文章を書くようになりました。
新設の生命保険会社でアクチュアリーという仕事をしている以上、いろんな人にいろんなことを説明しなきゃならないということで、その説明をするための文章をいろいろ書きました。これは今でも続いていて、業界紙の連載等仕事の一部にもなっています。また本を書いて出版したのも、ホームページで掲示板を作ったのも、この延長線上のことです。
で、今ブログに書いているケインズの何回目かを書こうとしていた時、はたと気が付いたのですが、これは読書感想文じゃぁないか!ということです。
もちろん国語の先生に見せたら「こんなもの感想文でも何でもない」と言われそうですが、私にとってはケインズを読んで本当に面白くて、その面白さについて書いておきたいと思って書いているわけですから、これは読書感想文以外の何物でもありません。
ということで、子供の頃あるいは大人になるまで(なっても)、どうがんばっても書けなかった読書感想文を、60歳を過ぎてようやく書けるようになったというのは、私にとっては感激でしばし感慨にふけっていました。
「60歳過ぎてようやくできるようになることを小学生にやれと言う方が間違っている」と言いたい所ですが、小学生でも立派な読書感想文を書く子供もいますから、この議論はまるで説得力がありません。
要するに、小学校で教えられることを60歳過ぎてようやくできるようになった私の学習スピードが、とてつもなく遅いというだけのことかも知れません。
でも子供の頃からずっとできなかったことが60歳過ぎてようやくできるようになる、ということは、長生きはするもんだ、ということですね。これからも何ができるようになるんだろうか、と考えると、楽しみです。