この本は宇沢さんが日経新聞に連載した『私の履歴書』を第一部とし、第二部としてそれ以外に宇沢さんが日経新聞あるいは日経産業新聞(1つだけ)に寄稿した文をまとめたものです。
『私の履歴書』は1ヵ月毎日の連載なので読んでいる時はかなり長いような気がしますが、本にすると1回分本文3ページ・写真1ページとして4ページ、31日分で124ページにしかならないので、これだけだとちょっと少ないということになり、他の文章と合わせて1冊にする、というのは良くある話です。
宇沢さんの『私の履歴書』は2002年3月の連載だということですから、10年以上もそのままになっていたのが、昨年宇沢さんが亡くなってちょっとブームになったのをきっかけに本にしたようです。私も図書館で数ヵ月待って、借りて読みました。
第二部についている文章はほとんどが日経新聞の『経済教室』というページに掲載されていたものです。私はサラリーマンになってから毎日日経新聞を読んでいて、この『経済教室』というページは初めのうちはまるで歯が立たなかったんですが、何年かしてからは好きなページになっていたので、多分ここに載っている文はほとんど読んでいると思います。もちろん『私の履歴書』の部分もちゃんと読んでいます。
しかし、今のようにケインズの経済学や古典派の経済学に興味がなかったので、その内容はほとんど覚えていませんでした。
改めて読んでみると、特に第二部の部分は非常に面白く、経済学の変遷の歴史がうまくまとめられているなと思います。特に古典派の経済学がケインズの一般理論により否定された後様々な形で復活して、ケインズの経済学を圧倒してしまうあたりは非常に面白いです。
お勧めします。