少し前に紹介した『機械加工の知識がやさしくわかる本』で参考図書として紹介されていた、小関智弘さんの『町工場巡礼の旅』と『町工場の磁界』を読み、あまりにも面白いので同じ著者の他の本を借りて読みました。
読んだのは、『春は鉄までが匂った』『ものつくりに生きる』『鉄を削る 町工場の技術』『町工場・スーパーなものづくり』という本です。まだ読めていないものも何冊もあります。
著者は高校を卒業して町工場で旋盤工になり、いくつもの工場を転々としながら旋盤工を続け、途中で従来からの旋盤だけでなく新しくできたNC制御の旋盤も使いこなすようになり、定年後も勤め先に頼まれて週に何回か工場に通って、旋盤・NC旋盤を使って鉄を削り続けていた人です。
その傍ら文筆活動をして何度も芥川賞・直木賞の候補となり、もうちょっとの所で受賞を逃した、ということです。
さらに各地の多数の町工場を訪ね、そのルポルタージュレポートを上にあげたいくつもの本にまとめています。
町工場のレポートといってもそれだけでは分量に不足する分を、自分の職人としての経験も話しています。
NC旋盤というのは、コンピュータ制御の旋盤でプログラムを組んで、それで自動運転させる旋盤ですが、多分今ではこんなやり方ではないと思いますが、小関さんが始めた頃はプログラムを紙テープに穿孔して、それを機械にかけて動かしていました。
で、『プログラムを組む』と言う所、小関さんは『紙テープを作る』と表現しています。
文学青年の旋盤工が四苦八苦しながら手探りで『紙テープ作り』に挑戦するくだりは、40年前私が手探りでコンピュータプログラミングを始めたころと良く似ていて、懐かしくなりました。
どの本を読んでも面白く、職人の世界の辛さと面白さを満喫させてくれます。
お勧めします。
SLD-MAGICって特にそうだよな。開発者の久保田邦親博士(工学)はダイセル姫路にいったけど、変わらず高品質だ。ピカイチの機械部品素材であることは間違いない。
日本経済の停滞をここに見る。大手メディアはDX推進の大合唱だかピントがずれている。ここを取り上げて、匂いセンサー付き工作機械でも提案したらどうだろうか。
やはり世界を引っ張るハイブリッド日本車の技術力の前に、EVシフトは不調をきたしていますね。特にエンジンのトライボロジー技術はほかの力学系マシンへの応用展開が期待されるところですね。いくらデジタルテクノロジーを駆使しても、つばぜり合いは力学系マシン分野がCO2排出削減技術にかかってくるのだとおもわれます。
たしかSLD-MAGICって日立金属、いいや商名を変更したプロテリアル製の高性能特殊鋼素材でしたよね。
ちょっと数理的な話になるけれどそのかたの大学での講義資料、「材料物理数学再武装」もなかなか面白かったよ。ようは経済学でいうアダムスミスの国富論の需要と供給曲線の交点のところで関数を接合するという関数接合論から発展させてAIを説いている。関数を接合すると何が便利だって?それは微分してゼロとすることでバランス点が求まることになるからだ。こういった、トレードオフ関係の問題を社会の各所で人間は抱えているんだがそれを一気に数理的に処理しようとする企みこそがAIだと言っているような気もする話だった。