船長の釈放

尖閣諸島の近くで海上保安庁の船にぶつかって捕まった中国の漁船の船長が釈放されて、大騒ぎですね。

私は久しぶりに感心しました。菅政権、なかなかやるな、と頼もしくなりました。

沖縄の地検は、今回の決定は地検の判断だ、と言っていますが、もちろん政府が関与していないはずはありません。しかし同時に政府が関与していた、というわけにも行きません。地検独自の判断で釈放した、という形を取って、そんなことは誰も信じないにしてもとりあえず建前上そうするのがベストの戦略だったと思います。

日本では総すかんですね。小沢さんのグループはここぞとばかり菅さんを攻め立てようとしています。石原慎太郎さんは例によって口先ばかりの威勢のいいことを言っています。マスコミも同じように菅さんの弱腰を責めています。

でも、皆、自衛隊の戦艦を尖閣諸島の周辺に集めて中国と一戦に及ぶ、とか、アメリカに頼んで中国と戦争してもらう、なんて覚悟があるんでしょうか。アメリカもこんなことで中国と戦争するつもりもないでしょうが。

中国としてもマスコミや過激派が大騒ぎを始めてしまって、ある程度まで格好をつけないとどうしようもない、ということのようです。

マスコミ等の論調では、日本は弱腰の政府に対して国会議員も世論ももっと強く出るように、と言ってばらばらなのに対して、中国は政府も国民も一体となって尖閣諸島を分捕ろうとしている、というような調子ですが、もちろんそんなことはありません。

中国でも一部デモをしたりネットで攻撃したり漁船を雇って尖閣諸島に乗り込もう、とする過激派もいますが、そんな金儲けに関係のないことには一切関心のない人や、儲けたお金で日本で山ほど買い物をしたい人も大勢います。中国ほど、国民が国のいうことを聞かない国もないかもしれません。皆、一時的な騒ぎが収まるのを待っているだけです。

日本でも中国でも、マスコミは建前上はジャーナリズムですが実態はセンセーショナリズムですから、過激派の報道は大歓迎です。

国がそのセンセーショナリズムに乗っかって大騒ぎをしてもいいことはありません。昔の太平洋戦争への経過を見てみてもすぐにわかりそうなものですが。

中国も表面的には強硬姿勢ですが、何とか穏便に済ませたい、という姿勢ははっきり現れています。

日本と比べて中国のほうが若い国ですから(要するに高齢化が遅れている)、若い人が大騒ぎをしたがるのはある程度許容しなければならないんだろうと思います。でもそれに振り回されるのは賢明ではありません。

この騒ぎを見ても、やはり日本人は外交が苦手なんだな、と思います。

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