わからない

大地震の余波で大混乱が続いていますね。特に福島の原発については次から次へ不具合が発生、事故が発生して対応に苦慮しているようです。

できるだけ早く正確に事態を説明しようと、東電も原子力安全・保安院も国も頻繁に記者会見を開いていますが、それも不安を嵩じさせる結果になってしまっているようですね。
技術的にもかなり難しいことをきちんと説明しようとすると、どうしても回りくどい言い方になってしまいますし、特に原発になると中がどうなっているのか、直接目で見て確かめるということができないようです。

そこで正確に報告しようと思うと「わからない」と答えるしかないことになります。私などは「わからない」という答が一番安心できるし信頼できると思うのですが、マスコミなどにとっては「わからない」という回答が一番不誠実で不真面目に思えるようです。

その結果「わからない」と答える方もそれを見越して、「わからない」と答える前になぜ「わからない」のかという状況説明をしようとして、それもできるだけ専門用語を使わないでわかりやすく説明しようとすると、それがかえってまどろっこしくて、なおさら訳がわからなくなってしまうようです。

枝野さんの発表はそこの所、余分なことを言わずに単刀直入に「わかりません」と言い切ってしまっているので、かえってわかりやすく感じられるようです。枝野さんは「詳しくは専門家に説明させます。」と言うことができるのでその分有利なのですが。そう言われると専門家としては詳しく説明しなきゃと思って、なおさら空回りしてしまっているようです。

マスコミもトコトン努力して報道しているのですが、混乱を増幅させている部分もあるようです。たとえば昨日(3月15日)、福島第一原発の周囲30Km以外の住民に対して「屋内退避」という指示が出され、その30Kmの圏内の地名が発表され、周辺では人口の大きいいわき市の一部が30Kmに入っていました。
枝野さんの記者会見ではそこの所配慮して、「ごく一部ですが、いわき市の一部」と言っていたのが、直後のニュースではすでに単に「いわき市」となっていて、いわき市の全体が対象になったかのようです。

また同じく昨日(3月15日)、福島第一原発の4号機の建物で火災が発生したという報告があったのですが、その報告を聞いていたNHKの解説者はその場でもうすでに「爆発」と説明していました。我々が聞いた報告の他に特段の情報もないはずなのに、「火災」が瞬時に「爆発」に昇格してしまうんですから、そしてそれがNHKの解説員などというタイトルで権威ありげに報道されるんですから、テレビを見ている人は不安になりますよね。

「わからない」ことを「わからない」と報告されることが一番信頼できる誠実な報告だ、ということを皆に納得してもらえればいいんですが、この地震のさ中そんな余裕はないんでしょうか。

Leave a Reply