エネルギー・環境会議

国家戦略室のやっている『エネルギー・環境会議』というのが、『国民の過半は原発ゼロを望んでいる』という発表をしました。

『ちょっと待った、私の意見は聞かれてないぞ』なんて言ってみても始まらないので、この『国民の過半・・』というのがどういう根拠にもとづいているのか、調べてみました。

元となるデータはこの会議が行なった
 ・意見聴取会
 ・パブリックコメント
 ・討論型世論調査
の3つのようです。

意見聴取会というのは、電力会社の人が原発賛成の意見を言おうとしたら大騒ぎになった、あの意見聴取会です。途中から電力会社の人は意見を言ってはいけないということになったわけですから、その結果、原発反対の声が大きくなるのは当然です。

次のパブリックコメントは、原発反対派が口コミなりネットコミなりで、『皆で原発反対の意見を言おう』なんてことをやっていて、それがさも素晴らしいことのようにマスコミでも取上げられています。
私にはこれこそヤラセの最たるものだと思うのですが、どうもマスコミや原発反対派は、電力会社や原発賛成派がやるヤラセはケシカランことだけれど、原発反対派がやるヤラセは素晴らしく良いことだと思っているようで、結果は圧倒的に原発反対ということのようです。

いずれにしてもこの2つは積極的に意見を言おうという人の意見だけを集めたものですから、これで『国民の過半は・・』なんて言われても困ってしまいます。

最後の『討論型世論調査』というのは『世論調査』と言っているので、これなら多少は国民の意見を反映するのか、と思って調べてみました。

このやり方はまず国民全体から3,000人を無作為に抽出します。ここまでは良いのですが、次にその中から討論に参加しても良いという人を300人くらい抽出して一ヵ所に集まってもらい、2日がかりで討論に参加してもらって、その結果を集計するというものです。

なかなか面白いやり方ですが、これで国民の意見が集計できるとも見えません。討論に参加する前に事前配布される50ページほどの資料を勉強し、まる2日、討論に参加するというんですから、食費や宿泊費・交通費と多少の日当は国が出してくれるとはいえ、参加したいと言う人は限定されるでしょう。

2日間にわたって討論というのはすごいな、と思ったのですが、300人も一度に集めても討論にならないので、15人くらいのグループに分けて討論をするということです。2日間でどれ位の討論をするのかと思ったら、1日目1時間半、2日目1時間半、の2回だけです。1時間半=90分を15人で割ったら、1人あたり6分ですから、結局参加者が意見を言うことができるのは『1日6分を2回』ということになります。

2日間といっても全国から集まってもらうので、土曜日の昼過ぎから始まって日曜日の昼食までということで、仕方ないのかも知れません。討論以外に前後でアンケートに答えたり全体会議と称して専門家に質問したりという時間があり、あまり討論には時間が割けないんでしょう。宿泊場所のホテルと討論場所の大学の間をバスで移動するのに30分のスケジュールが組まれていますから、けっこうこれも時間をくってますね。

膨大な資料があるんですが、このうちの事前配布資料というのを見てみました。この資料の作り方で意見がかなり左右されることになりそうですから。そのなかで1つだけ【電気料金の家計負担】という所を見てみると 
 原発の割合     (2010年)      (2030年) 
     0%シナリオ  1万円 ⇒   1.4万円~2.1万円
    15%シナリオ  1万円 ⇒  1.4万円~1.8万円
 20~25%シナリオ  1万円 ⇒  1.2万円~1.8万円

となっています。私なんかこれを見ただけで、こんなに差が少ないわけないから、計算の仕方に問題があるんだろうと思ってしまうのですが、普通のもっと素直な人は、こんなに差が小さいんだったら、ちょっと負担は大きくても原発ゼロの方が良い、と思うんだろうな、と思います。

で、こんなもんを集めてもとても『国民の過半は・・』という結論が出てくるとは思えませんが、この会議のメンバーさんたちは平気で『国民の過半は原発ゼロを望んでいる』と結論し、反原発の人達は『過半なんてものじゃなくて、大多数の国民は原発ゼロと言っている』なんて気勢を上げているようです。
困ったものですね。

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