『仕事に効く教養としての「世界史」』

ライフネット生命の会長の出口さんの本が話題になっています。別に急いで読むこともないので図書館に予約をしていたのですが、会社に遊びに来た友人がそれならこれを・・と読み終わったものを置いていってしまったので、仕方なく読むことにしました。図書館の本だと書き込みなどしないで綺麗に読むのですが、個人の本だと書き込みで赤くしてしまうかも知れないよ、と言ったのにそれでも構わないと言われてしまい、この週末に読んでみました。

本のタイトルは『仕事に効く』となっていますがもちろんこれは単なる誇大広告で、単に『ひょっとすると仕事に役立つことがあるかも知れないよ』という程度の話です

中味は世界史の本というよりは、出口さんが今まで読んだ世界史の話から所々つまみ出してゴタ混ぜにしてそれをおしゃべりにしている、テレビのバラエティー番組のような世界史の本です。これを読んだからと言って世界史の勉強をしたことにはなりそうもないですが、世界史を勉強しようというキッカケにはなるかも知れません。

中味はごく普通の、中国史とヨーロッパ史を中心とする世界史の大きな流れの中に、キリスト教の話・シルクロードの話・トルコ人の話などが入っています。日本の中学校・高校の世界史と同様、アヘン戦争で歴史は終わって、その後はいきなり戦後の日本の高度成長になっていますから、第一次大戦も第二次大戦も、日清日露の戦争も日韓併合も、メンドクサイ話は入っていません。
『地域』と言えば良いのに『生態系』と言ってみたり『コロンブス』をわざわざ『コロン』と言ってみたり、所々言葉使いを普通と変えて新鮮さを演出しようとしているようですが、わざとらしさを感じてしまう所もあります。

この本は出口さんがライターに話したことを、ライターが本にまとめたもののようです(とは言ってもゴーストライターじゃなく、ちゃんと名前を出したライターです)。原稿ができたあと、出口さんが校正に参加したかどうかわかりません。もしかするとライターさんに対する礼儀上、話が終わったら、あと原稿を書いて校正する所までライターさん任せで、話をした人は口を出してはいけないのかも知れません。所々おかしな所もありますが、ライターさんが書いたものだけあって、気が付かなければすんなり気持良く読むことができます。そのあたりも何も考えずに見ていられるバラエティー番組に良く似ています。

最初のうちは何ヵ所か赤で書き込みをしてしまったのですが、後半はそんなこともせず読み終えてしまいました。書き込みをするほどの本ではないということです。こんなことなら最初から書き込みなどせずに、綺麗に読めばよかったなと思いました。

これで、この本を貸してくれた友人へのとりあえずの義理を果たしたことになるでしょうか。

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