『古代中国の日常生活』-荘奕傑

一連の孔子関係の本を読んで、その頃の中国というのは、人々はどういう生活をしていたんだろう、と思っていたら、お誂え向きに図書館の『新しく入った本』コーナーにこの本が入ってました。

元の題は『24 Hours in Ancient CHINA』 という本で、このCHINAの所が、Athens, Rome, Egyptになる本と合わせて4冊のシリーズ本のようです。CHINA以外の本も翻訳されているかどうかはわかりませんが、とりあえずはCHINAだけあればOKです。(ネット調べたらローマとエジプトについては訳があるようです。と思って図書館で借りてみたら、エジプトの方はこのシリーズの本の訳ですが、ローマの方は別の本の訳が似たような題になったもののようです。)

著者は荘奕傑(ソウエキケツ)という人で、ケンブリッジ大学で考古学の博士号を取り、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの考古学研究所で中国考古学の准教授をしている人で、中国・東南アジアの古代史の専門家のようです。

舞台にしているのは紀元17年、前漢と後漢の間にはさまれた新という、王莽(オウモウ)の時代ですから、孔子の時代よりはかなり後になりますが、まだ古代ではあります。司馬遷の時代より100年位後になります。

この年のある日の24時間に、様々な仕事をしている人々が何を考え何をしていたかを1時間単位に24人登場させて、その社会を表現しています。

登場人物は、医者・墓泥棒・産婆・馬丁・主婦・青銅器職人・運河労働者・教師・織り子・墓の彫刻師・製塩職人・祭官・烽火台長・穀物貯蔵庫の管理人・伝書使・農夫・労役刑徒・レンガ職人・料理長・后付きの女官・史官・舞人・王女付き女官・兵士と、普通なかなか歴史の本には出てこない人達です。
とはいえ山ほどの資料の中から少しずつ情報を集めれば、それなりに当時の様々な人々の日常生活を描き出すことができるようです。

これらの人々が何を心配し、何に不満を持ちながらそれぞれの役割を果たしていたかを、活き活きと書いてあります。

孔子の時代はこれより数百年前の時代ですが、それでも孔子の時代を思い浮かべるのがかなりやりやすくなります。

この時代、まだ基本的には農業の時代で殆どの人は農民だったわけですが、それでもこれだけ様々な役割の人がいたということは改めて大変なことです。

ということで、孔子や論語を読む参考資料としてお勧めします。

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