ケインズ 『一般理論』の最後の部分

一般理論の感想文、途中で止まってしまっていますが、トランプ大統領の登場で思い出した部分があるので、コメントします。

それは、一般理論の最後の24章『一般理論の誘う社会哲学-結語的覚書』の最後の、第5節の部分です。これは時折引用されることがあるので、覚えている人も多いかも知れません。

『思想というものは、もしそれが正しいとしたら-自分の書くものが正しいと思わない著者がどこにいよう-時代を超えた力を持つ、間違いなく持つ、と私は予言する。』

『経済学者や政治哲学者の思想は、それらが正しい場合も誤っている場合も、通常考えられている以上に強力である。』

『誰の知的影響も受けていないと信じている実務家でさえ、誰かしら過去の経済学者の奴隷であるのが通例である。虚空の声を聴く権力の座の狂人も、数年前のある学者先生から(自分に見合った)狂気を抽き出している。』

『たとえば、経済学と政治哲学の分野に限って言えば、25ないし30歳を超えた人で、新しい理論の影響を受ける人は、それほどいない。だから役人や政治家、あるいは扇動家でさえも、彼らが眼前の出来事に適用する思想はおそらく最新のものではないだろう。』

『早晩、良くも悪くも危険になるのは、既得権益ではなく思想である。』

これらの言葉、トランプ政権の今後4年間、あるいはトランプさんが大統領になった後のアメリカと世界を考える時、じっくり味わいたい言葉だと思います。

トランプさんの信じている経済学、政治哲学がいったい誰の、どのようなものなのでしょう。ノーベル経済学賞の受賞者を輩出しているアメリカの経済学界は、トランプさんをうまく説得できるでしょうか。

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