『中東問題再考』-飯山 陽(イイヤマ アカリ)

かなり待たされましたが、図書館に同時に予約した飯山さんの本のうち、最後のものが来ました。

これはすごい本です。実名をあげて次から次に中東問題の『専門家』『メディア』『コメンテーター』の嘘を具体的に示しています。『誰それは、これこれの本でこう言ってますが、嘘です。』といった具合です。それにしてもそこに挙げられる人の名前がホントにいくらでも次から次に出てくるのには、呆れ果ててしまいます。

一度にこれだけ大勢の人を敵に回してしまうわけですから、その人々から一斉に攻撃されるのも仕方のないことです。とは言え、イスラム原理主義のテロリストの頭目のようなイスラム法学者にテレビでインタビューして、悪魔を見るような目で見られながら話をした著者にしてみれば、そんな有象無象は怖くも何ともない、という事でしょうか。

著者は『はじめに』で、中東問題を分かりにくくしている原因を二つにまとめています。『第一の原因は中東問題が複雑だからだ』『第二の原因は中東問題についての日本のメディアの報道と、それについての「専門家」と称される人々の解説が偏向していて、嘘が多いからだ』と、最初から平然とストレートに指摘しています。

その後各論に移って、アフガニスタンのタリバン、イランの原理主義イスラム法学者達、トルコのエルドアン政権、とマスコミや専門家が『親日』ともてはやしている国々が、実際『親日』とはまるで違っていて、原理主義過激派がいかにそれぞれの国民を虐げているか解説しながら、いかにメディアや専門家が嘘をバラ撒いているか、具体的に誰がどこにこう書いた、どこでどのように言っていたか、具体的に解説しています。

次に『なぜイスラム諸国は中国のウイグル人迫害に声を上げないのか』として、それらの国々の支配者たちが、ウイグル人や自国民の事より、中国の一帯一路により自分達がどれだけ儲けるかの方を優先しようとしていることを明らかにしています。次のパレスチナの所で、パレスチナを支配している過激テロリスト達がいかに住民を抑圧搾取して自分たちだけ贅沢をしているか、欧米・日本からの援助はすればするだけそのテロリスト達を豊かにして、パレスチナの住民を苦しめることになるか明らかにし、ここでもメディアや専門家は自分達の反米・反日にとって具合の悪いことについて目もくれず何も言わない、ということを明らかにしています。

一つ一つ指摘されていることは、その時々に多少とも報道されることも多いのですが、気を付けていないとメディアや専門家の曲解・意図的な嘘の報道でともすればかき消されてしまうような状況で、この本のように丁寧にまとめてくれると理解しやすくなります。

多くの国で過激派原理主義者やテロリスト達が、国民や住民を人質にとって反米・世界征服を企てている現状を、どのように解決することができるのかは分かりませんが、とりあえず現状がどうなっているか、という事だけでも正しく認識しておくことが大事だと思います。

恐い話が次々に出てきますので誰にでもお勧めというわけにはいきませんが、中東問題をちゃんと理解したい人、マスコミや専門家達に騙されたくない人、飯山陽という人がいかに危ない戦いをしている人か知りたい人にお勧めです。

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