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『深海でサンドイッチ』 平井明日菜・上垣喜寛

金曜日, 3月 29th, 2024

私が利用している市立図書館は1月の半ばから3月の半ばまで利用が制限されていました。
本を借りたり返したりはできるのですが、図書館の閲覧室に入る事ができないで、そのため『おすすめ』コーナーや『新しく入った本』コーナーも利用できない状況でした。

これが先ほど再開したので、さっそく『おすすめ』コーナーで借りてきたのがこの本です。
深海探査船『しんかい6500』とその支援母船『よこすか』の食事を担当する司厨部(シチョーブ)を中心として、『しんかい6500』と『よこすか』の食事事情と、それを提供する司厨部員、サービスを受ける乗員の話、さらについでに『しんかい6500』と『よこすか』の仕組みについてまで分かりやすく説明してくれています。

司厨というのは、厨房という言葉がチューボーと読むように、本当はシチューと読むのかもしれませんが、こう読むと食べ物のシチューと一緒になって、常にシチューを作っているような感じになってしまうのであえてシチョーと読んでいるのかもしれません。

乗員総数60人(乗組員45人と研究者15人)に1日3食を司厨部員5人で提供しているという事です。

乗組員というのは、船を動かす仕事をする航海士と甲板員、そのための動力や機械を動かす機関士と機関部員、通信士と、あとは、食事を作る司厨部員が事務部員として残りの全ての仕事をするようで、風呂掃除やベッドに飾る歓迎の毛布の花を作ったりもするようです。

『しんかい6500』は直径2mの球体の中に大人3人が入って、直径12cmの窓が3つあって、残りの壁は操作パネルやディスプレイがびっしり配置されているなんて写真も付いています。3人の内訳は、パイロット1人・コパイロット1人・研究者1人で、パイロットが操縦し、コパイロットは船内の酸素、二酸化炭素の濃度や圧力を見張っていて高過ぎず低過ぎないように調整している。何か新しい発見があって乗員が「ワーイ」と叫んでしまうと途端に二酸化炭素が増えてしまう、なんて話もあります。

長い航海、食料をどのように管理するのか、特に野菜など鮮度を保って美味しく提供するためにどうしているのか、などが説明されます。

で、その中で人気なのが『しんかい6500』の乗員のために用意されるサンドイッチで、それが本のタイトルになっています。

『しんかい6500』は略称『6K』と言うんだということも分かりました。6Kに乗ると皆忙しくてゆっくり食事している暇はないので、片手で持っていつでも食べられるサンドイッチが人気で、サンドイッチのパンは『よこすか』で司厨部員が毎日ホームベーカリーで焼いているものだというのも面白い話です。深海底まで片道2時間かかるようですが、底につくまで待てないで途中で早弁してしまった研究者の話などもあります。

司厨部で働いている人たちも様々な船に乗った経験があり、その話も面白いです。

『しんかい6500』については、その調査の内容等について色々読んだりした事がありますが、そこに乗っている人・そのサポートをする母船に乗っている人・その母船の事等についてはあまり知ることができないので、『食べる』という視点からのレポートで『しんかい6500』『よこすか』の事や、そこに乗っている人達のことを様々に知ることができて楽しい本です。

写真もたっぷり付いていて、久しぶりに楽しい読書でした。

お勧めします。