Archive for 5月, 2020

『中共』

水曜日, 5月 27th, 2020

武漢コロナも日本では一段落しつつありますが、武漢コロナの事を中共コロナなんて言う人もあり、中共というのは久しぶりに懐かしい言葉だなと感じました。

私が若い頃は中国というのは国民党独裁の中華民国、今の台湾だったわけで、大陸中国は中共という名前でした。

この中共という言葉は、その大陸中国の、国としての正式名称、中華人民共和国の略称としての中共と、その国を独裁的に支配している中国共産党の略称としての中共と、二つの意味を兼ね備えた言葉で、その両方の意味で使えることから、なかなか重宝な言葉でした。

その後国連の代表権が中華民国から中華人民共和国に代わり、日本の国交相手国も中華民国から中華人民共和国に代わり、いつのまにか中共という言葉もあまり使われなくなってしまいました。

そこで懐かしさのあまり普段使っているパソコンで『ちゅうきょう』と入力して変換しようとした所、なんと、『中共』という言葉が候補に出てきません。

私の使っているパソコンはWindowsのごく普通のパソコンです。

まあ考えてみれば、パソコンで誰もが簡単に仮名漢字変換できるようになったのは大陸中国が台湾にとって代わった後の話なのでそうなったのか、あるいはだれかどこかの団体あるいは勢力が『中共』という言葉を意図的に消滅させようとしているのか分かりせんが、いずれにしても中共という言葉が変換候補に出てこないことにはア然としました。世の中の変化は早いものですね。

皆さんもふだん使っているパソコン・スマホ等で『ちゅうきょう』という言葉を漢字に変換してみて下さい。

感染症モデル

月曜日, 5月 11th, 2020

藤川太さんのフェイスブックの投稿で、5月4日に専門家会議の話が出ています。これに対する野上さんのコメントにこたえる形で、北海道大学医学統計学教室の感染症の数理モデルが紹介されています。

https://biostat-hokudai.jp/seirmodel/?fbclid=IwAR1-geA6BVpzpf1BjdYc_pH6HKN5DuG3G2TS07KxZBT1-bzAjF0cDcSB1qM

実際のモデル自体は

http://3.22.235.181:3838/ec2-user/SEIRmodel/

で、ブラウザ上でパラメータを入力して『submit』すると、シミュレーション結果を表及びグラフの形でブラウザ上に出してくれる、というものです。

これはRという統計関係とグラフ描画を得意とするソフトで作られたものだそうです。

ここでもととなっているモデルは北海道大学の西浦先生、稲葉先生が統計数理という雑誌に過去にレビューした論文
https://www.ism.ac.jp/editsec/toukei/pdf/54-2-461.pdf
のモデルが元となっているようです。

この論文では感染症モデルを微分方程式の形で

SIRモデルでは
dS(t)/dt = −βS(t)I(t),
dI(t)/dt= βS(t)I(t) − γI(t),
dR(t)/dt = γI(t)
.
SEIRモデルでは
dS(t)/dt = −βS(t)I(t),
dE(t)/dt = βS(t)I(t) − εE(t),
dI(t)/dt = εE(t) − γI(t),
dR(t)/dt = γI(t)

としていますが、1日単位の変動のモデル化ですから微分方程式でなくても、差分方程式にしてもほぼ同様の結果が得られます。

そこで例えばSEIRモデルについては

S(t+1)=S(t) −βS(t)I(t),
E(t+1)=E(t)+βS(t)I(t) − εE(t),
I(t+1)=I(t)+εE(t) − γI(t),
R(t+1)=R(t)+γI(t)

という形にして、例えばエクセルかなんかで計算させ、それをグラフにすれば、よく見る感染症モデルの、未感染者、潜伏期の人数、感染者の人数、感染済みの人数のグラフが手に入ります。

北海道大学医学統計学教室の感染症の数理モデルでは、パラメーターとして
基本再生産数(R0)
感染待ち期間(Average incubation period)
感染性期間(Average infectious period)
を与えるところから始まりますが、上の微分方程式あるいは差分方程式のパラメータのβ、ε、γの関係は、
β= R0*γ/ S(0)
ε=1/感染待ち期間
γ=1/感染性期間
となります。