Archive for 11月, 2015

イルミネーションと節電

水曜日, 11月 25th, 2015

私はさいたま市の『さいたま新都心』という駅を通勤に使っているのですが、駅の改札口からちょっと左に行って、そのあとスーパーアリーナに向かって右に曲がる角の所にちょっとしたイルミネーションがついています。

私にとってはすごく派手なイルミネーションだなと思っていたのですが、娘にとってはまるで逆のようで、何ともショボいということのようです。

他のいろんな場所のイルミネーションと比べると確かにそのようで、いろんな所のイルミネーションはかなり大規模に作られているようです。

私の感覚は、3.11の2011年の暮にはそれまでにもあったイルミネーションが中止になったとか、その後もかなり小規模だったものが、今年はかなり派手になったなということです。まあ実施する側からすると、イルミネーションもLEDになっているので消費電力は少なくなっているということかも知れませんが、多分そうだとしてもLEDの製造の所でかなり電気を使っているんじゃないかなと思ってしまいます。

気がついて見ればJRの電車の車内の電灯も震災後ずっと半分点灯しないで節電していたのが、いつの間にか全部点灯しています。まあ電車の中を読書スペースとしている私にとっては有難い話なのですが。

で、いずれにしても震災も昔の話になりつつあるようですね。

「日本国憲法」まっとうに議論するために

水曜日, 11月 25th, 2015

この本は樋口陽一さんという、本物の憲法学者が書いたものです。2006年に出版された本を、今年の安保法制に関連する憲法ブームに乗って大幅に書き足して、2015年9月に改訂新版として出版されたものです。

この本の内容は、神がかり的な憲法学者の書いたものと違って、真っ当なものだと思います。普通の憲法学者の言うことにはどうしても悪口を言いたくなりますが、この本に関しては意見は異なりますが、悪口を言うような所は見当たりません。

今年の安保法制をきっかけとする憲法ブームで新版を出しているように、著者は基本的に安保法制反対の立場で、自民党の改憲案にも閣議決定による憲法解釈の変更も反対なのですが、にもかかわらず、憲法の本質を勉強するには良い本だと思います。

司法試験や公務員試験のために憲法を勉強するということであれば、芦部さんの憲法あたりを勉強するしかないんでしょうが、そんな試験とは無関係に憲法について勉強してみたい、考えてみたいという人には、是非ともお勧めの本です。

憲法の本質を説明するために、イギリス・フランス・アメリカ・ドイツ・スイス等いくつもの国の歴史と実例をもとに憲法の基本的な考え方をきちんと説明してくれるので、とても良く分かります。

今回の安保法制でも、立憲主義の憲法学者や反対派の政治家などは、立憲主義の憲法というのは権力、すなわち政府に勝手なことをさせないためのものだ、という主張をしていますが、この本では違います。この本の立場は国民主権の憲法では主権者である国民に勝手なことをさせないのが立憲主義の憲法だ、ということです。

国民主権の憲法の主権者としての国民の責任を明確にしています。『自分のことは自分で決める』という生き方は『そんな面倒なことはご免だ、誰かに決めてもらった生き方に合わせてやっていく方が気楽だ』という生き方に比べて、はるかにしんどいものです。そして国民が皆様々な組織から切り離され『個人』という存在になるというのは、その個人となった淋しさに耐えることを強制することになります。この主権者としての辛さと、人権を保障される個人としての淋しさについてちゃんと書いている本は、私はこの本が初めてです。

明治憲法についても、5.15事件・2.26事件のあとの軍主導体制下だけを見た天皇主権憲法というそこらの憲法の教科書の記述と違って、明治憲法のできる前の伊藤博文と森有礼との人権に関する議論や、できたあと天皇機関説の話、それが天皇機関説事件でまるっきり別物に変えられてしまい、それが日本国憲法により復活したというあたりまできちんと説明してあります。

この本では『4つの89年』ということを言っていて、1689年『権利章典』、1789年フランス革命の『人権宣言』、1889年『大日本国帝国憲法』、1989年『旧ソ連・東欧諸国の共産党一党支配の崩壊』を並べています。ここでも憲法の流れの中で明治憲法の重要性を説明しています。

立憲主義の学者はとにかく『憲法を変えてはいけない』一点張りですが、憲法改正についても憲法改正限界論と憲法改正無限論について説明しています。『憲法改正限界論』というのは、憲法を改正する場合にも限界があり、『変えてはいけない』と書いてなくても、どうしても変えてはいけないものがあるんだ、という立場です。

『憲法改正無限論』というのは憲法改正には制限がなく、仮に憲法にこれこれは変えてはいけないと書いてあったとしても、その変えてはいけないとう部分を変えることにより何でも変えることができるという立場です。

この本ではどっちが正しいと言って一方の議論を押し付けるのではなく、二つの説を紹介して読者自身が考えるようにしています。

1973年に改正される前のスイスの憲法には『出血前に麻痺させることなく動物を殺すことは、一切の屠殺方法および一切の種類の家畜について例外なくこれを禁止する』という規定があり、動物愛護の規定のように見えるけれど、実はこの規定はユダヤ教徒の宗教上の慣行を禁止するために設けられ、信教の自由を阻害するためのものだったという話とか、憲法改正の国民投票は国民が一時の熱狂で暴走してしまう恐れがあり、ナチスの経験を踏まえてドイツの憲法の憲法改正の規定では意識的に国民投票を除いているなどという、私は聞いたことのない、なかなか面白い話も盛りだくさんに入っています。

本のサイズはB6版の小さな本で、本文が160頁位で日本国憲法の全文が後ろの方についています。5回に分けた講義形式になっているので読みやすい本です。簡単に読めます。

お勧めです。

マイナンバー通知カード

水曜日, 11月 25th, 2015

マイナンバーの通知カード、ついに来ました。
ここに公開しても良いんですが、別に公開するほどのものでもないのでやめておきます。

私のことだけで判断するのもなんなんですが、この土日月の3日間でかなり通知カードの配達も進んだのかなと思います。

うちは家族3人なので3人分のカードが届きました。
番号を見てみると3つともそれぞれテンデンバラバラになっており、なかなか見事なものです。

で、この通知カードの送付の封筒には『個人番号カード交付申請のご案内』というものも同封されています。

私はこの通知カードが来たら無条件でこのマイナンバーカードの申し込みをしようと思っていたのですが、この案内を見てみるとなかなか面白いものです。

このマイナンバーカードの申請には顔写真を付けるのが必要なので、それをどうしようか・・と考えていました。紙の申請書を使うのであればそれに貼り付ける写真をどう用意しようか、ということです。スマホで申請するのであれば、スマホで写真を撮ってそれを送れば良いということは分かっていますが、私のガラケーではどうなのかなと思います。パソコンで申請するのに誰かスマホを持っている人に写真を撮って貰って、それをパソコンに送って貰ってそれを使おうかなとも思っています。

そう思って案内を見ていたら、何と町中の証明写真の機械から申請ができるんだ、と書いてあるのを見てビックリしました。確かに証明写真のボックスにインターネットをつないで、そこで撮った写真でそのまま申請できるというのは便利かも知れません。

なかなか良いアイデアですね(とはいえ、このやり方は利用の多い場所から順次対応していく予定ということですから、それができる写真ボックスを探す必要があるかも知れません)。

で、このマイナンバーカード、住所・氏名・性別・生年月日と有効期限が記載されています。また臓器提供意思表示カードにもなっているようです。まあ身分証明書として使うんですから当然と言えば当然なんですが、だとすると住所を変更した場合に作り直す必要があるんでしょうか。また有効期限が来た時も作り直す必要があるんでしょうか。

とりあえず最初はただでマイナンバーカードを作ってもらえるようですが、転居や期限切れなんかの時の再作成の場合、どれ位のお金がかかるのかなぁと思ってしまいました。

また1年以内にカードを作らないと有料になるというのも、どれ位のお金がかかるのかなと思います。

まあ通知カードがほぼ行き渡った所で、今度はマイナンバーカードに関する情報がどんどん出てくるでしょうから、あせる必要はないことなので、しばらく様子見です。

パソコンで申請する場合、家族の分を同一のメールアドレスから申請できるのかどうかも確認する必要があるんだろうと思います。

カードを受け取る時に暗証番号を登録することになっていますが、用途ごとに4つの暗証番号がが必要なようです。英数6~16字のもの1つ、数字4桁のもの3つです。まあ数字4桁のものは同じものにしても良いようですが、いずれにしても暗証番号を登録するとなったら、今度はそれをどうやって覚えておこうかという問題にぶち当たります。

しばらくは色々楽しめそうです。

ファインマンの物理学

火曜日, 11月 17th, 2015

学生の頃(多分高校生の頃)から夢だったファインマンの物理学、ついにこの9月に入手し、読んでいます。ちょっと高い本ですが、この年になればこの程度の贅沢は許してもらえるかな、と考えて、amazonの古本を1冊ずつ買うことにしています。

とりあえず第1巻『力学』の本文を読み終わった所でちょっと報告です。
本文を読み終わったとはいえ、このあと巻末に演習問題がなんと145問もあり、しかもその最初の部分に『優秀な学生でもこれをすっかり解くことができるとは思われない。』なんて書いてありますからこれを終えてから次に進もうなんて考えていると第2巻に進むのがいつになるか分かりません。次の第2巻にかかってしまって、同時並行的にじっくり時間をかけて問題を解いて行こうと思います。

読んでみて改めて良くわかったのですが、これは決して標準的な教科書ではなく、これを勉強したからと言って物理学の全体を勉強したということにならないだろうな、ということと、とはいえこれは素晴らしい本で、物理学の本質的な所を勉強するには良い本だなということです。

物理学の問題に対して本物の物理学者がどのようにアプローチするのかという、ふつう物理学の教科書には書いていないことが書いてあるので、楽しんで読めます。

第1巻はいわゆる『力学』なのですが、ごく当然の話のように特殊相対性理論を中心に話をし、ニュートン力学の世界はその特殊なケースという位置づけで話をしています。

この本は大学の新入生向けの教科書という位置づけなので、物理学で使う数学(ベクトル、ベクトルの内積・外積)も必要になる都度解説してあります。

で、この本で一番驚いたのが、第22章になるのですが、『代数』というタイトルの章で、複素数と対数の話をしているんですが、(この時代ですから筆算だと思いますが)数の平方根の計算はできるものとして、まずは対数の底を10とする常用対数を具体的にどのように計算するかという話をしていたかと思うと、いつのまにか自然対数の話になり、次には自然対数の底を(e)、べき乗を(^)、虚数√-1を(i)で表して、例の
e^(iθ)=cosθ+i・sinθ
という式があれよあれよという間に説明(証明)されてしまいます。

それも数学の教科書ではまず決してお目にかかれないような、いかにも物理学者というか物理屋さん(それも数学が得意な物理屋さん)らしい話の展開です。これをたったの15ページかそこらでやってしまうんですから何ともアッケに取られてしまいます。

第2巻は、『光・熱・波動』がタイトルになっています。
日本語版は全5巻ですから、まだまだ当分楽しめそうです。演習問題まで含めると何年がかりの読書になるか、楽しみです。

ミャンマーの総選挙

金曜日, 11月 13th, 2015

ミャンマーの総選挙、スーチーさんの野党側の圧勝で決着がついたようです。現職の大統領も敗けを認めたようですから、確定なんでしょうね。

で、勝ったスーチーさん、これから大変です。
今までは『民主化』とだけ言っていればよかったのですが、政権を取ってしまったらそうはいきません。実際に政府を動かして行政をしなければならないわけですから。政権が民主化されたら行政がうまく行く、なんて保証もありません。

今まで軍政にいじめられていたスーチー派の人達は、せっかく勝ったんだから少しは良い思いをしても良いだろうと思う人がいるかも知れません。本人がそう思わなくても、その人の親戚とか友人とかがそう思うかも知れません。となると、スーチー派の閣僚なり幹部なりの職権乱用とか汚職とかのスキャンダルが出てきます。

それに対して厳しく対処しようとすれば、昔からの仲間は裏切られたように思うかも知れません。厳しく対処しなければ、今度はスーチーさんに期待して投票した国民が裏切られたように思うかも知れません。いずれにしてもミャンマーの人達はまだ民主的な政治にまるで慣れていないはずですから、民主主義を使いこなすのにかなり年数がかかるような気がします。

現実の政治の世界では誰もが喜ぶような話はありません。誰かが喜ぶ話は他の誰かが嬉しくない話です。今までスーチーさんはそのような生々しい政治の現場の経験はあまりなく、『民主化、民主化』と言ってきただけのような気がします。

ミャンマーの憲法上、スーチーさんは大統領にはならないことになっているようで、それが分かっているので自分は大統領にはならないけれど全て大統領に自分が指示する(日本語の表現では、いわゆる院政、というやつです。)、と言っているようです。そんなやり方がいつまでもうまく行くとも思えません。また、この言葉自体、憲法違反だとか民主的でないとか批判も出てきているようです。

『勝者の呪い』という言葉があります。勝負に勝った方が、勝ったことによりかえって不利な立場に置かれてしまうという意味です。

軍の方もとりあえずは一歩引いて様子見、ということでしょうが、いざとなったらいつでも実力行使に出るつもりでいるでしょう。国民も、スーチーさんによって本当にいい国が実現するのか見つめているんでしょう。

ミャンマーの民主化がどのように進展するのか、今後当分注目です。