学生の頃(多分高校生の頃)から夢だったファインマンの物理学、ついにこの9月に入手し、読んでいます。ちょっと高い本ですが、この年になればこの程度の贅沢は許してもらえるかな、と考えて、amazonの古本を1冊ずつ買うことにしています。
とりあえず第1巻『力学』の本文を読み終わった所でちょっと報告です。
本文を読み終わったとはいえ、このあと巻末に演習問題がなんと145問もあり、しかもその最初の部分に『優秀な学生でもこれをすっかり解くことができるとは思われない。』なんて書いてありますからこれを終えてから次に進もうなんて考えていると第2巻に進むのがいつになるか分かりません。次の第2巻にかかってしまって、同時並行的にじっくり時間をかけて問題を解いて行こうと思います。
読んでみて改めて良くわかったのですが、これは決して標準的な教科書ではなく、これを勉強したからと言って物理学の全体を勉強したということにならないだろうな、ということと、とはいえこれは素晴らしい本で、物理学の本質的な所を勉強するには良い本だなということです。
物理学の問題に対して本物の物理学者がどのようにアプローチするのかという、ふつう物理学の教科書には書いていないことが書いてあるので、楽しんで読めます。
第1巻はいわゆる『力学』なのですが、ごく当然の話のように特殊相対性理論を中心に話をし、ニュートン力学の世界はその特殊なケースという位置づけで話をしています。
この本は大学の新入生向けの教科書という位置づけなので、物理学で使う数学(ベクトル、ベクトルの内積・外積)も必要になる都度解説してあります。
で、この本で一番驚いたのが、第22章になるのですが、『代数』というタイトルの章で、複素数と対数の話をしているんですが、(この時代ですから筆算だと思いますが)数の平方根の計算はできるものとして、まずは対数の底を10とする常用対数を具体的にどのように計算するかという話をしていたかと思うと、いつのまにか自然対数の話になり、次には自然対数の底を(e)、べき乗を(^)、虚数√-1を(i)で表して、例の
e^(iθ)=cosθ+i・sinθ
という式があれよあれよという間に説明(証明)されてしまいます。
それも数学の教科書ではまず決してお目にかかれないような、いかにも物理学者というか物理屋さん(それも数学が得意な物理屋さん)らしい話の展開です。これをたったの15ページかそこらでやってしまうんですから何ともアッケに取られてしまいます。
第2巻は、『光・熱・波動』がタイトルになっています。
日本語版は全5巻ですから、まだまだ当分楽しめそうです。演習問題まで含めると何年がかりの読書になるか、楽しみです。