Archive for 1月, 2012

原発事故の報告書 - その2

木曜日, 1月 26th, 2012

原発事故の報告書、やはり正月休みにはいろいろバタバタして読みきれず、今本文200ページ、付録130ページくらいの所まで読み込んでいるのですが、やはり思った通り面白いですね。

本文の方の『Ⅰ はじめに』のところに、この事故調査検証委員会の設置の経緯や基本方針が書いてあるのですが、その基本方針の最初に『①畑村の考え方で進める』として、この委員会の委員長である畑村さん(日本における「失敗学」の権威です)が全責任を持ってやりたいようにやる、ということですから、これだけでも信頼できます。
また、『⑤責任追求はしない』ということで、客観的な事実のみについて調査・検証するというのも安心できます。

本文『Ⅱ 福島第一原発における事故の概要』では、事故自体の概要がコンパクトにまとめられているのですが、ここはむしろ付録の資料の方に1号~6号の原子力発電機の性能から福島第一原発の敷地の配置図・組織や原子力発電の仕組など図がたっぷりあって、これだけでも見飽きないです。

原子炉の建物(R/B)・タービンの建物(T/B)の各階の見取り図と、津波でそこにどれだけ水が来たか、事故後、場所ごとに放射能レベルがどれだけだったかも出てますし、原子炉の内部構造も出てます(原子炉建屋とかタービン建屋とかの建屋というのはbuildingの訳なんですね。たしかに地上5階地下1階くらいのビルではあります)。

震災・津波の後で電源が殆どなくなってしまったのですが、外部電源がどこでどのようにして切れてしまったのか(電線が切れたり鉄塔が倒れたり、遮断器が壊れたり)の写真と図、原子炉への注水に使った消火栓が津波のあとでどんなことになっていたか(これは消火栓を見つけるのが大変だった、という話があとで出てきます)とか、事務本館がどんな状況になっていたか(これは地震でしっちゃかめっちゃかになった本館に決死隊が原子炉の図面を取りに行く話があとで出てきます)等、写真と図で説明してあります。

このⅡの部分の資料はほんとうに面白いです。

次の『Ⅲ 災害発生時の組織的対応状況』の所には、災害対策のためにどのような組織が作られ、どのように動いたのかが概説してあります。

1つのポイントは首相官邸の地下に正式な(法律やルールにもとづく)危機管理センターができ、と同時に官邸5階に非公式的な(法律やルールにもとづかない)対策本部が(菅さんを中心に)でき、この間の情報交換がうまく行かなかった、ということです。

もう一つは、東京電力では本店には本店対策本部、現地の原発には現地対策本部ができ、この二つの間はずっとテレビ会議システムがつながっていた、ということです。

テレビニュースで枝野さんとか保安院の何とかさんとかが入れ替わり事故の状況を説明していましたが、電源がなくなってどうやって現地と連絡していたんだろうというのはずっと疑問だったのですが、これでわかりました。でもよくテレビ電話が生きていましたね。そしてもしこれも切れていたとしたら、どんなことになっていたんだろうなとも思います。

ここでいよいよ『Ⅳ 第一原発における事故対応』になるのですが、ここでは地震発生から津波が来て電源が失われ、原子炉の状況がわからなくなってコントロールもできない中、現地では必死の作業が続けられ、何度かの水素爆発もありながら何とか原子炉の冷却にまでこぎつけた経緯を事細かに報告しています。

何日何時何分に、どこで・誰が・何をしたかという形で書かれていますから、非常に具体的で良くわかります。その中で、現場の作業はいくつか(いくつも)の間違いもありますが、本当にとても素晴らしいものです。
現場の緊迫感が冷静な報告書の説明の中から伝わってきて、ほんとに手に汗を握る読み物になっています。

これについては、ページを改めてコメントしましょう。

動き出す-2

火曜日, 1月 17th, 2012

いよいよ野田さん、動き出しましたね。
岡田さんを副総理に据え、内閣の体制固めですね。

報道では消費税・社会保障との一体改革の国会審議のための体勢固めのようなコメントが多いようですが、私はこれは明らかに選挙対策だと思います。

大震災ももうすぐ1年が経ち、原発の事故もとりあえず落着いていますから、非常時の挙国一致内閣ももう必要ないでしょう。そろそろ総選挙をする時期です。

「消費税を上げる」と言うと選挙に負けることになっていますから、総選挙で自民党が勝ってから自民党が消費税引き上げを言いたくはないでしょう。民主党が上げると言って、その後の選挙で自民党が勝って、その消費税引き上げを引継ぐというのが好ましい姿です。

ですから野田さんはまず消費税引き上げを幅・時期共に明確にして、次は選挙です。

この選挙は民主党としてまとまっての選挙はできないでしょうから、党の一部の反対を押し切っての解散・総選挙となります。

となると、その時閣僚の中に、ブレない原理主義者の大物がいて、党内の反対意見を物ともせずに総理大臣の解散に賛成するというのは、野田さんにとって非常に心強いことでしょう。

小沢さんのグループで、選挙で当選できる人は多くないでしょうし、そうなると鳩山さんのグループもいよいよ小沢さんを見捨てて「野田さんと一緒にやろう」と言うことになるかも知れないし、「野田さんとは一緒にやらない」と民主党を出て行く人もいるでしょう。

民主党がうまく分裂すると、つられて自民党も割れるかも知れません。それで様々な組合せで新しい体制ができるのかも知れません。

その時、内閣のまん中、野田さんの脇に岡田さんがいるというのは、やはりこれは解散・総選挙と、それに付随する様々のオプションのための体勢作りということになりますね。

野田さんが法案を作り、それが国会で通るにしても否決にしても、結論が出てから選挙というのもその後が厄介そうですから、その前の解散が良さそうですね。

そんなつもりで見ていると、ここの所民主党と自民党双方で対立を煽るような対応が見えます(野田さんが煽っているような感じですね)。協力して解散・総選挙というシナリオでしょうか。

この数ヵ月の動きがみものですね。

食べログ やらせ問題

火曜日, 1月 17th, 2012

食べログのやらせ問題、大騒ぎになりましたが、「はてな」でも同様のやらせがあったと報道されてますね。

私が驚くのは、今更こんなことが問題とされ報道され、大騒ぎとなることの方です。

匿名のインターネットが一般化して以来、無責任なネットの書き込みは当たり前のことで、やらせなどは当然のことですから、何を今更という話です。

これを取上げて大騒ぎしているマスコミもやらせでは老舗ですから、これも「何を今更」という感がします。

客観的を装った報道で平気で世論を一方に誘導するようなニュースを流しながら、インターネットのやらせを非難するというのも、見事なものですね。

一番の問題は、ネットの口コミにしてもテレビのニュースにしても、書かれていること、報道されたことを簡単に本当のことだと信じてしまい、怒ったり泣いたり喜んだりする人がいるということです。

専門用語では「メディアリテラシー」というそうですが、一般のメディアリテラシー向上のため、報道でいかに日常的に間違った情報が流されて情報が操作されているか、それをどのように見極めたらよいか、なんていう番組を作ったりしたらいくらでもネタはあるので長持ちする番組になりそうです。

とはいえ自己否定するような番組はどこのテレビ局も作りたがらないんでしょうね。

オウム

火曜日, 1月 17th, 2012

遅まきながら、新年明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。

年明け早々、指名手配されていた元オウム信者が年末に自首してきたというニュースが飛び込んできました。
その際の警察の対応とか今までその人が隠れていた場所や方法など、様々な議論になっていますが、いずれにしてもオウムが話題になるのは良いことです。

これであと数年間は折に触れオウムの話題が取上げられることになるので、皆が忘れてしまうということにはならないで済みます。

「忘れない」というのは、自分にとって直接的に関係のない話題に関しては、「時々思い出す」ということが必要です。オウム事件というのはあれだけの特異な事件が起きてしまったという点で、できるだけ多くの人が忘れないでいることが重要だと思います。

という意味で、これは新年早々良いニュースです。