Archive for 6月, 2012

複数通貨の可能性

木曜日, 6月 28th, 2012

ユーロ危機でギリシャがユーロから離脱してドラクマに戻るなんてことが話題になってますが、これについて妙なことを思いついたんで書いてみます。
ユーロの仕組がどうなっているのか十分理解しているわけではないので、まるで無理な話なのかも知れませんが。

で、その思いつきというのは、ユーロ圏に残ってユーロを使い続けたまま新しくドラクマも使い始めてはどうかということです。すなわちギリシャの中でユーロとドラクマを両方とも正式な通貨として流通させるということです。

こうすれば必ずしもユーロから出ていかなくても良いし、一方でユーロに対してドラクマを必要なだけ切り下げることにより経済の立て直しをはかることができるかも知れないという欲張った考え方です。

それで対外的(ユーロ圏の他国も含む)にはユーロを使って、国内的にはドラクマを使ってどちらも自由に使えるようにします。

ギリシャでは労働人口の1/4~1/3が公務員だということですから、公務員の給料などは全てドラクマ建てにしてしまえば、あっという間にドラクマが流通するようになるでしょう。ユーロも自由に使えるとなったら、慌ててユーロ預金を引き出さなくても良くなるでしょう。
その上で適宜ドラクマとユーロの為替レートを変動させていけば、比較的スムースな移行ができるかも知れないと思うのですが。

もちろん一つの国で複数の通貨を使うというのは、かなり厄介な話ではあるんですが、一国一通貨なんてのはそれほど長い歴史があるわけではなく、たとえば日本では江戸時代、金貨・銀貨・銅貨(銭貨)、場合によってはこれに米を加えて三通貨あるいは四通貨で経済が動いていました。しかもその通貨どうしは完全な変動相場制だったようです。

今では国どうしの間では変動相場だけれど、一国の中で複数の通貨が変動相場制になっているという国はあまりないかも知れませんが、ヨーロッパの国では昔は少なくとも金貨と銀貨の変動相場制だったし、イタリアなんかでは都市ごとに通貨が違って、その通貨どうしは変動相場だったはずです。

せっかく一国一通貨でいろんな無駄を排除したのに歴史を逆行するのか、なんて言われそうですが、ギリシャのユーロ問題を何とかするにはそれもアリなんじゃないかな・・・なんて考えてみました。

私の考え、というより思いつき、おかしな所があったら教えて下さい。

小沢さん・・再び

水曜日, 6月 27th, 2012

消費税の採決、案の定、小沢さんは離党できませんでしたね。

口では四の五の言ってますが、要は離党する覚悟ができないから党の方から除名なりなんなり、離党するためのアクションを起こしてもらいたいということのようです。

こうなると、自殺しようと思ったけれど恐くなって自殺できず、仕方ないので自殺の代わりに死刑になろうと思って、人ごみで無差別に人殺しをする若者と同じようなものですね。何ともだらしがない話です。

離党するぞ!と脅して消費税上げに反対投票すると言えば中間派も同調して、執行部も手が出せなくなる、と思ったのかも知れませんが、結局の所反対票はほとんど増えず、せっかく集めた仲間の離党届もそのままポケットに入れたままのようです。

こんなことをやっていると、本気で離党届を書いて本気で反対票を入れた若い人たちは、勝手に新しい離党届を書いて離党してしまうかも知れません。そうなってから小沢さんが離党しても、先に離党してしまった人が小沢さんの所に集まるというわけにも行かないでしょう。

例によって輿石さんは時間稼ぎの穏便な処分を狙っているようですが、それを続ければ続けるほど小沢さんの周りから人がいなくなり、たなざらし状態で結局最後は何もできない一人ぼっちになってしまうんでしょうか。

また離党したところで、次の選挙で立候補させられる人数は1桁台。2桁になったとしてもせいぜい10何人でしょうから、本気で離党なり解散総選挙なり考えることもできずに、ダチョウのように頭を砂に突っ込んで、何も見えないふりをしているんでしょうね。

昨日の投票を見ていて、その昔の『加藤の乱』を思い出しました。いずれ自民党から総理大臣になることがほぼ確実だと誰もが思っていた加藤さんが、自民党の森内閣の内閣不信任案に賛成しようとして、そのグループの仲間達がそれをやめさせようとして涙々の話し合いをしたという事件です。

加藤さんは演台にしがみついて仲間の意見を聞きながら、何とかして自分の意志を通そうとして泣いているし、そのリーダーのご乱心をなんとか翻そうとして仲間が涙ながらに説得を続ける。その筆頭が今の自民党総裁の谷垣さんです。

総理大臣候補の筆頭の加藤さんとそのグループの筆頭の谷垣さんの、大の大人が泣きながら綱引きをしている何ともみっともない姿ですが、でもそこにはドラマがありました。

今回の小沢さんは何のドラマもなく単に『みっともない』だけです。

小沢さん

金曜日, 6月 22nd, 2012

小沢さん、いよいよ追い詰められてしまいましたね。

今日の新聞では50人超という、昨日の集まりの人数と53人という衆議院で民主党が過半数を割るために必要な離党者数を並べて、いかにもあとちょっと・・・というような印象を与えていますが、同時にこの50人弱の離党候補者の名前も載っています。

これによると50人弱というのは49人で、そのうち参議院議員が15人ですから、衆議院の方は34人だけです。となると53人にするのは約20人も増やさなきゃならないので、ちょっと大変だなという感じです。

この参議院の15人を含む49人、1年生(当選1回目)が30人、2年生(当選2回目)が9人ですから、3年生以上は10人しかいません(小沢さんの15年生を除くと、あとは皆5年生以下です)。この内訳を見てしまうと、多分皆な~んだ・・・てなもんでしょうね。

それよりも不思議なのは、昨日の国会の会期延長の採決です。

すんなり会期が延長されてしまったようですが、自民党も公明党もちゃんと反対したようです。

会期が延長されていなければ昨日で国会は終わりだったはずで、消費税の修正案はまだ準備ができていなかったようですから、結局消費税の衆議院通過は自動的に阻止できたはずです。

仮に小沢さんのグループや他の消費税値上げ反対派が国会の延長に反対したとした場合、自民党や公明党の先生方は慌てて国会の会期延長に賛成したんでしょうか。

それとも国会議員のルールとして党の決めた法案に反対することはあっても、党の決めた会期延長には反対してはいけない、なんてのがあるんでしょうか。

今の状況では消費税の法案は、来週26日には衆議院で可決されるようですが、仮に昨日で国会が終わっていたらどうなっていたか、少なくともそんなに早くは国会を再開して消費税を可決なんてできなかったんじゃないでしょうか。自民党なんかは国会を再開するくらいなら解散・総選挙なんて言いそうですし。

こう見てくると小沢さん、どこまで本気で消費税引き上げに反対なのか、小沢さんの反対も橋下さんの原発再開反対と同じで、単にゴネてるだけじゃないかと思えてきます。

橋下さんは素直に「タテマエばかり言っててもしょうがない」とゴネてたのを認めてしまいましたが、小沢さんは政治のプロ(と自認している)ですから、そう簡単に『ゴネてただけ』なんてことは言わないでしょうね。素人の橋下さんと一緒にされたくはないでしょうから。

とりあえず49人のうち45人くらいは離党届に署名させられてしまったようですが、これからどうなるんでしょう。その人たちの離党届は小沢さんが持っているんでしょうが、それを出すことができるかどうか。民主党のことですから、それが出されたとしても個々に本人に再確認して、その段階で離党届を引っ込めるというのも認めるんでしょうね。

いよいよ切羽詰まっちゃいましたね。

消費税

木曜日, 6月 14th, 2012

消費税の国会の議論、ちょっと面白くなってきましたね。

しばらく前は「自民党が協力して法案を可決したら解散総選挙するって約束しろ」という話だったんですが、近頃は「法案が否決されたら解散するって約束しろ」という話になっています。

野田さんの回答は明確ではありませんが、どうやらどちらもYesのようです。
すなわち、法案が「可決されても否決されても解散・総選挙」ということのようです。
みなさん選挙に向けて大分浮き足立ってきているようですね。

さあこうなると民主党・自民党の反対派は迷ってしまいますね。
法案が可決されても否決されても解散・総選挙ということになると、反対して除名されたり(まあそこまでやることはできないでしょう)、公認してもらえなかったり(ここまでのこともやらないんじゃないでしょうか)、あるいは自ら離党したり(これはありそうなシナリオですが、そこまで覚悟して選挙に臨む人はあまり多くはなさそうです)して不利な選挙を戦うのか、あるいは賛成して(民主党の場合、これでも選挙は大変そうですね)きちんと党の支援を受けて選挙に臨むのか、悩ましいところですね。

「もう選挙に出ない」「出てもどうせ当選しっこない」という人はそんなに悩むこともないんでしょうが、当選するかも知れない人達は悩みますね。
賛成するのと反対するのと、どちらの方が次の選挙に有利か、そして次の選挙で当選したあと、将来的に政治家を続けていくためにどちらの方が有利か、考えようと思っても考えようがありませんよね。

鳩山さんはどうするんでしょう。民主党は自分が作り、自分が金を出してやってきた自分の党だと思っているのでしょうが、それを捨てて離党するのか、それとも誰も言うことを聞いてくれなくても自分の党に残り続けるのか。

あともう1週間で衆議院の採決ということになっているようです。誰がどういう身の振り方をするのか、ヤジウマとして見ている限り、結構面白い見物ですね。

その前にこの週末はギリシャの選挙ですから、来週はまたユーロ危機の話でそれ所じゃないかも知れませんね。
いずれにしても「ヤジウマとして見てるだけ」、というのは変わらないのですが。

『他人の経験から学ぶ』のは難しい

火曜日, 6月 12th, 2012

この週末の動きはびっくりしましたね。

ユーロ危機、スペインの銀行がもうどうにもならなくなりそうで、スペインはEUに金融支援を要請することになりそうだということで、マーケットは大騒ぎになったのですが、それを受けてEUの財務大臣さんたちは会議を開き、とりあえず支援要請があったら10兆円まで支援すると決めました。
そうしたらそれで皆喜んでしまって『もう大丈夫だ!』とばかりに週明けは一気に円安です。
これにはビックリしました。

スペインはまだ金融支援の要請もしていなくて、単に『要請をせざるを得ないだろう』と言っているだけですし、EUの財務大臣の決定も『10兆円まで支援する』と決めただけで、誰がどれだけ負担するか、誰にお金を貸すのか、貸し倒れなったら誰がその損をかぶるのか、具体的なことは何も決まっていない、単なる口約束でしかありません。

いわゆる『総論賛成各論反対』で、話が具体的になるにつれ反対意見が増えてきて、何もできなくなりそうな合意でしかありません。

要するにスペインの銀行を助けるためにはEU各国に金を出してもらわなきゃならない、というのははっきりしたようです。EU各国はとりあえず助けてあげると口では言っているものの、本当にお金を出すかどうかははっきりしません。

こんな状況で『もう大丈夫』と喜んでしまうんですから、マーケットも困ったものですね。

さすがにそのあたり気がついたようで、昨日の後半からはマーケットはまたユーロ危機が不安だというムードに戻っています。

やはり『他人の経験から学ぶ』というのは難しいんですね。

同じようなことは日本でもバブルがはじけてさんざん経験しました。その際、口約束の『助けてあげる』というのは、結局一時しのぎでしかなく、何の解決にもならないというのは十分経験しているはずです。

『もうこれ以上ひどいことにはならないだろう』ということになったのは、国が『助けには要らない』と言っている銀行にも無理矢理お金を押し付けて、『何があっても銀行に十分なお金があります』と言えるようにした後のことです。
それ以前銀行が『お金は必要ありません』と言っても国が『いざとなったらお金を出します』と言っても何の役にも立たなかったわけです。

銀行の取付け騒ぎの時も一番の解決策は、銀行の窓口の向こうに札束を山のように積上げて、いくらでも預金を払い戻すお金はありますよ、と預金者に見せつけることだと言われています。
いつでも預金を引き出すことができるんであれば慌てて引き出すこともないので、取付け騒ぎも収まってしまうということです。

同様に銀行の破綻騒ぎの時も無理矢理その銀行にお金を投入し、これだけお金が増えたんだからということを見せつけるしかありません。
『いざとなったらその銀行にお金を持っていきます』なんて悠長な話は信用されません。

EUの財務大臣とか中央銀行のトップとかいう人たちは、全員とは言わないまでも優秀な人も多いはずです。
そういう人達も日本のバブル崩壊のあとの金融危機の経験から十分に学ぶことができないんですね。

やはり自分の経験として、目の前で大変な思いをしないと学ぶことができないんでしょうね。

皆で渡れば恐くない

金曜日, 6月 8th, 2012

『赤信号、皆で渡れば恐くない』という言葉がありますね。

確かに恐くはないんですが、向こうから信号遵守の大型トラックが突っ込んできたら、皆ではね飛ばされる、ということも考えられます。『恐くない』というのは『安全が保証されている』というわけではありません。

そんなことを考えて皆で渡るのを一人だけ躊躇して信号が青になるのを待っていると、皆からは『臆病者』とか『裏切り者』とか言われて仲間はずれにされるかも知れませんし、かといって皆がはね飛ばされた時、ひとりだけ渡らないで助かった人は『あんたは偉い!』なんて誉めてもらえるわけでもなく、『皆がはね飛ばされたのにあんただけ助かってズルイ』とか『卑怯者!』とか言って責め立てられます。

で、この『皆で渡れば恐くない』というのは結構人気が高くいろんな所に出てくるのですが、今のユーロ危機もその一つです。

『皆で渡れば恐くない』と言ってヨーロッパの国々が次々にEUに加盟し、ユーロに加盟し、ユーロ建てで国債を発行すると、今度は銀行が『皆で渡れば恐くない』と言って、ユーロで(即ちユーロ建ての低金利で)皆にお金を貸し、またユーロの国債を買ったということです。

そして貸したお金を返してもらおうとしたら『お金は返せません』と言われてアタフタしているのが今の姿です。

もともと金利を高くしておけば多少『返せません』という人がいても、高い金利で穴埋めできるんですが、低金利で貸してしまったので穴埋めのしようがありません。穴が大きくならないうちに他の人に貸したお金を回収し、金利を高くして貸し直そうとしても、皆が一斉に『お金を返せ』なんて言ったら、誰もお金を返せません。

そのうちに今度は銀行が預金者から『お金を返せ』と言われ、これは断るわけにいかないので返そうと思ったら、金庫の中にもうお金は残ってない、ということになろうとしています。

赤信号で渡っていたヨーロッパの国も銀行もまとめてはね飛ばされそうになっている、ということで、ついでにまわりで見ているアメリカや日本、またアメリカや日本の銀行も巻き添えではね飛ばされるかも知れないという状況です。

『赤信号、皆で渡れば恐くない』と言って皆が渡りはじめた時、『恐くないかも知れないけど、はね飛ばされるのは嫌だな、でも仲間はずれになるのも嫌だし』と思った時、どうしたら良いんでしょうね。

ヨーロッパの危機

水曜日, 6月 6th, 2012

ユーロ危機、いよいよ大変ですね。

G7の財務大臣の電話会議、じっとしていられなくて緊急に会議したんでしょうが、何も決められない、という惨めな結果をさらけ出してしまいました。

皆がギリシャのユーロからの離脱を言い始めていますが、どのように離脱するかというのは誰の話を見てもはっきりしません。そのため離脱するとしても、それが実現するまではかなりの時間と手間がかかり、その間大きな不安と混乱が予想されます。

混乱が見込まれるとお金は安全な所に逃げますから、ヨーロッパの銀行はそれだけ痛めつけられます。銀行はお金を預かるのが商売ですから、預かったお金が出て行ってしまうとそれだけで倒れてしまいます。それを何とかするためには大金を投入しなければならないんですが、どの国も皆尻込みしています。

自分の国の問題なら外国に多少助けてもらうにしても、まずは自分の国でお金を出すんですが、ギリシャにしてもスペインにしても自分の国では必要なお金が用意できないという話です。G7の先進国が出すしかないんです。

先進国がお金を出すにしても、そのお金が返ってくるということならまだ出しやすいんでしょうが、今回の話はお金が返ってこないかも知れない、というより多分返ってこないだろうという状況ですから、外国の問題を解決するために自国のお金を出すというのは、やはり民主主義の国の政治家には難しい話なんでしょうね。

皆、何をして良いかわからないで『早く手を打たなきゃ事態は悪くなるだけだ』とわかっていながら何もしない・何もできないで不安感だけ募らせているという状況ですね。
英語で言う“standstill”<身動きできずに立ちつくす>という状況です。

多分これはヨーロッパの第一次大戦前の雰囲気に似ているんじゃないでしょうか。
この戦争は日本にとっては遠くのヨーロッパの戦争ですから、中国でドイツと戦って漁夫の利を得たという位の気楽な戦争ですが、ヨーロッパの人にとってはこの戦争で古き良き時代が終わってしまった、という歴史的な戦争ですから、その記憶や印象ははっきりしている人が多いでしょう。
この戦争の結果、負けたドイツからヒトラーが登場し、第二次対戦が始まってヨーロッパ全体が焼け野原になってしまったという経過は多くの人は知っているでしょうから、なおさら不安でしょうね。

ホンネとタテマエ

水曜日, 6月 6th, 2012

週末、オウムの菊地さんの逮捕でちょっとかすんでしまいましたが、橋下さんの大飯原発再開容認のコメント、とんでもないことを言ってしまいましたね。

『いつまでもタテマエを言っててもしようがないから』と、今まで自分が原発に反対していたのが建前を振りかざしての反対のための反対でしかなかったということを明白にしてしまいました。
本気で原発に反対し、本気で橋下さんを信じて応援していた人にとっては梯子をはずされたような、裏切られたような思いでしょうね。

橋下さんもそれに気付いて何とか信用を回復しようとゴチャゴチャ言い繕っているようですが、一旦失った信用はまず回復は難しいでしょうね。すぐには目立って変化はないにしても、次第に人が離れていくことになるんでしょうね。

テレビタレントとして大阪府知事になって以来、ずっとテレビに出ずっぱりで視聴率を維持し続けていたんで、橋下さんももうくたびれ果ててしまったということでしょうか。

橋下さんにとっては今回のことはむしろ良かったのかも知れませんね。今までのように視聴率を維持し続けるには、次第に過激なことを言い続けなければならないですし、そうすると命の危険にさらされる、テロリストの標的になることも十分想定されます。

過激な発言のテレビタレントがテロリストに襲われて一躍ヒーローになる、なんていうのも嬉しい話じゃないですしね。