Archive for 2月, 2012

民間の原発事故調査委員会の報告書

水曜日, 2月 29th, 2012

原発事故に関する「民間事故調査委員会の報告書」という得体の知れないものが出てきて、マスコミは大騒ぎしていますね。

昨日のテレビニュースでは、どこの局でもニュースキャスターが嬉しそうに400ページにもなる報告書を手に持って話していました。

ニュースを見る限り、誰がどう言ったという噂話を集めた新聞や、あるいは週刊誌の記事の大型版のようです。
マスコミは先日発表された正式の事故調査委員会の報告書は読みにくくて面白くないので、こちらの報告書の方が嬉しいでしょうね。

噂話の週刊誌の記事を400ページも読んでみてもしようがないので読もうとも思わないのですが、一応はどんなスタンスで書かれているのかくらいは見ておこうと思ってその報告書を見ようと思ったのですが、なかなか見つかりません。

仕方がないので、報告書を出した「日本再建イニシアティブ」という所に問合せてみました。
『報告書を見たい』と言うと、『印刷した部数が少ないので足りていない』ということでした。『どれ位の部数印刷したのか』と聞いたら、『それは言えない』という答えでした。『現在、報告をネットにアップするなり市販するなり、検討中』という説明でした。

やはり思った通り、この報告書はマスコミと政治家に配っただけで、他の人にも見せよう等とは思っていなかったようです。マスコミや政治家はところどころ走り読みして面白そうなところをつまみ食いして使うだけですが、他の誰かにじっくり読まれたりすると困るんでしょうね。

日本のマスコミはマスコミ向けに発表すれば、それが国民に対して公表したということになると思っているようですね。まずここの所で本物の報告書とはまるで違います。

マスコミの報道を聞くと、この報告書では「誰が悪い」というようなことがたくさん書かれているようです。いかにも日本のマスコミらしい内容ですね。

念のためこの「日本再建イニシアティブ」の中味を見てみたら、案の定、理事長は元朝日新聞の人ですし、この報告書をまとめた事務局長も元朝日新聞の人です。

これは私の偏見ですが、朝日新聞というのは常に自分達が一番正しくて一番賢いという前提で他の人を次から次に悪者に仕立てて糾弾するという、まあ他のマスコミも同じようなものではありますが、それを最も得意としている新聞です。
ですから私は健康のために朝日新聞は原則読まないようにしているのですが、これを見て「やっぱりそうか」と納得しました。なおさらこの報告書は読む価値がなさそうです。

この「日本再建イニシアティブ」というのは「一般財団法人」というのが頭に付きます。財団法人というのは昔は公益法人といってそれなりの権威のあるものだったのですが、今は法律が変わり、一般財団法人とか一般社団法人というのは登記さえすれば誰でも簡単に作ることのできる組織です。でも知らない人は、昔の財団法人のイメージで何となく権威のあるもののように思うんでしょうね。

この報告書を作るのに、何百人もに聞き取り調査した、ということですが、調査に応じた人は単なる民間の機関のインタビューのために時間をかけて対応したんでしょうね。その人達は、私も民間人としてインタビューを申し込めば応じてくれるんでしょうか。そんなことも思いました。

結論として、この報告書は「マスコミによるマスコミのための報告書」ということで、これからしばらくはその話をマスコミが流し続けるんでしょうね。あまり聞きたいとも思いませんが。

民主党の年金試算

月曜日, 2月 13th, 2012

大騒ぎの末、ようやく民主党の年金試算が公表されたとのことです。ちょっと見てみようとしたら、やっぱりちょっと面倒ですね。

マスコミはニュースやら解説やらを流していますが、元資料がどこにあるかは書いてません。欧米のインターネットのニュース記事だったら、元資料のリンクが当然張ってあるはずなのに、日本のマスコミはメンドクサイナと思いながら民主党のサイトで探そうとしたら、これもすぐには見つかりません。まぁあまり派手に公表したくないということなのかも知れませんが。

で、民主党のサイトの中の「党の社会保障と税の一体改革調査会総会を開催して、新年金財源の試算案を公表しました」というニュース記事の中に、その試算について「試算の位置付けについて」という断り書き(言い訳)と、「新制度の財政試算のイメージ(暫定版)」という中味の概要が載っていました。

この試算、国会で野党にせっつかれて渋々出したものですが、だからといって「野党に対して公表した」と言うこともできず、何と「(出席議員に説明。その後)記者に公表した。」と書いてあります。どうも党として「国民に公表した」とは言いたくないようです。あるいは国民に対して公表しようなどとは考えたこともなくて、マスコミに公表すれば十分だ、と思っているのかもしれません。

で、公表された資料、どちらにも「大胆な仮定をおいて推定したものが多く、(今後のデータの精査により結果が)相当変わる可能性がある。」と、予防線を張っています。

とはいえ、別にそれほど変な仮定を使っているということはなく、多分生涯平均年収の推計の仕方がどこまで妥当なのか、というくらいなもので、それも現在得られるデータから推計するしかないと考えればそんなにおかしくはありません。

年金の水準は今の年金制度と同じく世帯単位(夫婦単位)で考え、夫婦の年収を足して2で割って1人当たりの年収を出し、それにもとづいて年金を計算し、その2倍を夫婦の年金とする、というようなものです。

試算は老齢年金についてだけ行なっていて、障害年金・遺族年金の分の保険料は別途徴収するとしています。ここのところはあまり報道されていませんね。

所得比例年金について、被用者(サラリーマン)は給与収入に基き保険料を算定し、労使折半。自営業者は「売上-必要経費」に基き保険料を算定してすべて自己負担としているのも、試算の段階ではこれで良いですが、これを実施するとなったら大変な議論になりそうですね。稼ぎのいい自営業者はかなりの負担増になりそうですから。

いずれにしてももうちょっときちんとした資料が発表されるのかと思っていたんですが、きちんとした資料を作れる人がいないんでしょうね。

付和雷同

月曜日, 2月 13th, 2012

橋下さんの維新政治塾、応募者が3,000人超となったようで、すごいですね。何をやるかもわからないのに、この人数が集まるんですから、集客力は大したものです。さすがに目立ちたがりやの橋下さんの面目躍如といった所ですね。

この塾生募集の案内を見てみました。
応募に当たっては入塾申請書という履歴書のようなものと「大都市制度のあり方について」という論文を出せということのようですから、皆さんこの論文を書いて出したんでしょうね。

選考方法は一次の書類審査と二次の面接となっていますが、さすがに3,000人分の論文を読むのはあきらめたんでしょうね。最近の報道によると、審査は行なわれないことになったようです。現職の国会議員は入れないけれど、それ以外は基本的にみんな受入れるようです。

で、何をやるかといえば「受講期間 平成24年3月~(月2回程度)」となっていて、「受講料 年間120,000円ということですから、月2回のセミナーに出て1回あたり5,000円ですから大した負担にはなりません。

むしろ1回あたり5,000円で3,000人もの人を対象としたセミナーをやる方が大変かも知れません。

履歴書(入塾申請書)の方は、ごく当たり前な住所氏名・生年月日・性別・本籍地・電話・ファックス・携帯・携帯メール・Emailに、所属政党・団体という欄が追加されています。
学歴・職歴はまとめて6行だけで、それ以外に政治活動・選挙出馬歴というものがあります。内容からすると選挙出馬歴で、どの選挙にどの政党の推薦あるいは公認を得て出馬して、当選したか落選したかを書くようです。

あとは資格と扶養家族数・配偶者の有無・配偶者の扶養義務の有無を書くようになっています。これらは就職のための履歴書ではごく当たり前の内容ですが、塾に入るのに(あるいは月に2回のセミナーに参加するのに)こんなことまで必要なんでしょうかね。選挙の候補者にするんだったら必要でしょうが。

で、この政治塾、何をやるのかわかりませんから「とりあえず入っておく」というのも、年間12万円の負担ということだったら安いものかも知れません。もしかすると選挙に向けてこの塾が大ブームになるかも知れませんし、そうなったら12万円なんて、選挙資金としては安いものです。うまく行かなくても12万円くらいだったら簡単にあきらめもつきます。

いずれにしても3,000人もの塾生を管理するには、しっかりした組織が必要です。これからどのように運営されるのか、ちゃんと3,000人を相手に年24回くらいのセミナーができるのか、見ものですね。

あるいは3,000人をネタにして、どこかスポンサーが付いたりするんでしょうか。

ユーロ高が止まらない

金曜日, 2月 10th, 2012

ユーロが円に対して高くなってますね。何なんでしょうか。

これまでのユーロ安はギリシャを初めとするユーロ危機が原因なんですが、ニュースを見る限り、ギリシャは破綻に向かって着実に進行しているということが明らかなのに、ユーロが高くなっているというのが不思議ですね。

ギリシャの金融支援のための話し合いがまとまったということで、ギリシャ危機が回避されたかのような話もありますが、私が見る限り、危機は「回避」されたのではなく「ちょっとだけ先送り」されただけのことのように思えます。

そしてその都度EUは追加的な支援を迫られ、いわゆる兵力の逐次的投入という戦略上最悪の対応を迫られているわけです。

話し合いがまとまったと言っても、ギリシャの政治家(おもな政党のトップ)が外国の言うことに同意したというだけで国民がそれに従う保証はどこにもないんですが、民主主義というのは政治家が何か約束したらそれはその政治家を当選させた有権者が約束したのと同じことだとみなすという建前がありますから、とりあえずそれだけで何か国民との約束ができたように思う(思いたい)んでしょうね。

ギリシアがいよいよになった時のユーロ暴落に向けてポテンシャルエネルギーを溜め込んでいるようで、困ったものですね。それが3月末の決算にぶつからなければいいんですが。