Archive for the ‘時事雑感’ Category

『中共』

水曜日, 5月 27th, 2020

武漢コロナも日本では一段落しつつありますが、武漢コロナの事を中共コロナなんて言う人もあり、中共というのは久しぶりに懐かしい言葉だなと感じました。

私が若い頃は中国というのは国民党独裁の中華民国、今の台湾だったわけで、大陸中国は中共という名前でした。

この中共という言葉は、その大陸中国の、国としての正式名称、中華人民共和国の略称としての中共と、その国を独裁的に支配している中国共産党の略称としての中共と、二つの意味を兼ね備えた言葉で、その両方の意味で使えることから、なかなか重宝な言葉でした。

その後国連の代表権が中華民国から中華人民共和国に代わり、日本の国交相手国も中華民国から中華人民共和国に代わり、いつのまにか中共という言葉もあまり使われなくなってしまいました。

そこで懐かしさのあまり普段使っているパソコンで『ちゅうきょう』と入力して変換しようとした所、なんと、『中共』という言葉が候補に出てきません。

私の使っているパソコンはWindowsのごく普通のパソコンです。

まあ考えてみれば、パソコンで誰もが簡単に仮名漢字変換できるようになったのは大陸中国が台湾にとって代わった後の話なのでそうなったのか、あるいはだれかどこかの団体あるいは勢力が『中共』という言葉を意図的に消滅させようとしているのか分かりせんが、いずれにしても中共という言葉が変換候補に出てこないことにはア然としました。世の中の変化は早いものですね。

皆さんもふだん使っているパソコン・スマホ等で『ちゅうきょう』という言葉を漢字に変換してみて下さい。

『統計で嘘をつく』例

月曜日, 12月 23rd, 2019

韓国の聯合ニュースに面白い記事があったので紹介します。

『日本の対韓輸出額 規制強化後に14%減少』

記事の内容は、7~10月の日本から韓国への輸出は対前年14%減少した。同じ期間に韓国から日本への輸出は7%の減少だった。すなわち日本から韓国への輸出は、韓国から日本への輸出の2倍も減っている。

その結果、韓国では日本への輸出が少し減っても大したことではないが、日本では韓国への輸出が大幅に減って大変なことになっている・・・というようなことです。

このような記事を受け、韓国では日本の韓国に対する輸出規制の強化がブーメランとなって日本は韓国に対する輸出が大幅に減って、日本経済に大打撃となっている。政治的には桜を見る会の件で安倍内閣はニッチもサッチもいかなくなり、内閣総辞職までもうちょっとの所まで追い込まれているというような記事がかなり広まっているようです。

で、14%と7%を比較して、日本は韓国の2倍もの落ち込みになっているというのは分かりやすい比較なんですが、実際は何の意味もない比較になっています。

日本から韓国への輸出については、韓国の日本製品の不買運動もあるので、ある程度の減少は当然の話です。

ここではむしろあれだけ派手に不買運動をしてもたった14%の減少でしかないのか、と考えるべきなんでしょう。とはいえ不買運動は8月からの話で、貿易の輸出入はそう急には止められないものもあるでしょうから、まぁ妥当なものかも知れません。たとえば7月と8月が対前年100%で、9月が対前年20%減、10月が対前年36%減だとすると、単純平均7月~10月で14%減ということになります。韓国の日本への輸出が7%減ったというのも、日本では韓国に対して不買運動をしているわけでもないのに7%も減ったというのは、もっと注目しても良いかも知れません。これは日韓の貿易の話ではなく、もっと全般的な韓国の輸出不振を表しているようです。

韓国の貿易管理については、韓国としてはどうしても日本から輸入しなければならない物を止められてしまってニッチもサッチもいかなくなっているんですが、日本としては韓国からどうしても輸入しなければならないものも特にないので、それで減ろうと増えようとどうでも良い話です。

フッ化水素についても、韓国はそれを日本から輸入し、それで製品を作って中国やヨーロッパやアメリカに売るという形ですから、日本から輸入する部分については日本から韓国への輸出に入りますが、製品を売るときは韓国から世界中に向けての輸出ということになり、韓国から日本への輸出はそのごく一部ということになります。

またフッ化水素を輸入してから製品を作り、それを出荷するまでのタイムラグを考えると、7~10月の統計では多分その効果はまだ見えてこないと思います。

というわけで、7%と14%は殆ど何の関係もない数字という事になるのですが、これらのことを全てわかった上でこのような記事を書いて、日本が経済的にも政治的にも危機的な状況にある、と思わせているとしたら、大した話ですね。

こういうのも『統計でウソをつく』の例なんでしょうか。

参院選

火曜日, 7月 9th, 2019

大相撲名古屋場所が始まりました。千秋楽は7月21日、参院選の投・開票日です。これから毎日大相撲の中継を見ながら選挙情勢を見ていくということになります。

まず最初の注目点は、元アイドル・お笑い芸人・ホステス・女子アナ等話題の立憲の候補ですが、21日までの選挙戦、脱落しないでついてこれるかなぁという点です。まぁお笑い芸人については半分以上活動家のようですから多分大丈夫でしょうが、それ以外の人達は今頃こんなはずじゃなかったなんて思ってるんじゃないでしょうか。

選挙の争点も年金くらいしか話題にすることはなく、年金については野党が何か言うたびに野党の年金制度の理解不足が明らかになってしまうので、困りますね。

さらに韓国に対する貿易制限の問題、思った以上に韓国が大騒ぎしていますから、これも注目ですね。ただしこの問題については野党はダンマリを決め込んでいますから、与党の一方的な宣伝材料にしかなりませんね。

21日の9時の開票速報で開口一番どんな言葉が飛び出してくるか、楽しみですね。

100年安心

水曜日, 6月 12th, 2019

例の2000万円問題をきっかけに、年金の『100年安心』という言葉がいいように勝手に解釈され流布されています。
忘れないうちに、この言葉の本当の意味をメモしておきます。

従来は公的年金の保険料率・年金の給付水準は5年ごとの(年金の)財政再計算でその都度検討され改訂されていました。年金の専門家と称する人の中には、年金の会計はすでに大幅な債務超過になっており、積立金が底をついて年金が支給できなくなるのも時間の問題だ、などというデマを大声で主張する人も何人もいました。

それで財政再計算の都度保険料率や給付水準を見直すことはやめ、社会・経済情勢の変化に対して自動的に保険料率や給付水準を変更する仕組みを取入れることにより、その当時とあまり変わらない保険料率であまり変わらない年金給付を続けることができるようにしよう、というのが100年安心プランの意味です。

この過程でその当時積み立ててあった年金積立金は100年かけて除々に取崩し、最終的には各年の年金保険料収入の1年ないし2年分くらいの積立金で運用できるようになっていて、それはその後もそのままで運用できるということです。

100年というのは、100年後にはいわゆる団塊の世代もそのジュニアとよばれる世代も殆ど死に絶えており、人口の年齢別構成のいびつさもなくなっているから、毎年の年金保険料と年金給付がバランスして積立金はほとんどいらなくなる、ということです。もちろん、積立金の追加積み立てなどは必要なく、既に積み立ててある積立金を取り崩して、積立金が不要になる状況に達する、ということです。

もちろん年金の給付だけで老後の生活資金が全てまかなえるなんて馬鹿な話はなく、あくまでその当時とあまり変わらない年金保険料の負担で当時とあまり変わらない年金が受け取れるということですから、あとはそれで足りないと思う人は自分で貯蓄なり何なりしなさいということです。安心というのは年金保険料がバカ高くなったり年金給付が大幅に減ったりしないでずっと続く、という安心です。

まあマスコミは意識的に間違った解釈をしてフェイクニュースを流すのが仕事みたいな所がありますから、こんなことを言っても何の役にも立たないかも知れませんが、忘れないうちに書いておきます。

2,000万円足りない?

月曜日, 6月 10th, 2019

今話題の、老後、年金収入だけでは暮らしていけないので、65歳までに2,000万円貯蓄しておく必要がある、とか、老後の生活費を年金だけで賄えないのは約束違反だ、などというフェイクニュースの元となっているのが金融庁のこの報告書です。

http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603.html

この『高齢社会における資産形成・管理』という報告書、
最初のものは報告書そのもの、

http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603/01.pdf


2番目が20枚ほどのプレゼン資料、

http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603/02.pdf


3番目が全体を1枚にまとめたもの、

http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603/03.pdf


となっています。

で、2,000万円というのは、この1番目の報告書の本文の中に2か所ほど出てきます(16ページと21ページ)。
で、その2,000万円の元となっているのが、10ページにある『高齢夫婦無職世帯の収入・支出』というグラフです。
この報告書の図ではよく見えませんが、元となるのは金融審議会「市場ワーキング・グループ」の第21回の会議に厚生労働省が提出した『iDeCoを始めとした私的年金の現状と課題』という資料です。

http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/market_wg/siryou/20190412/02.pdf

この資料の24ページに『高齢夫婦無職世帯の収入・支出』と題して、
・引退して無職となった高齢者世帯の家計は、主に社会保障給付により賄われている。
・高齢夫婦無職世帯の実収入と実支出との差は、月5.5万円程度となっている。
と書いてあるのですが、その中身は、夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職所帯に関して、実収入が月に209.198円、実支出が263,718円、純貯蓄は2,484万円あるので、実支出と実収入の差額の5.5万円の赤字を、貯蓄を取り崩して賄っている、という姿を示しています。

この『5.5万円の赤字』の部分を最初に紹介した報告書では『毎月約5万円の赤字』と記述し、その毎月約5万円を、30年分として約2,000万円必要、と計算しているものです。

この『高齢社会における資産形成・管理』という報告書、金融庁が、ideco(個人型確定拠出年金)という金融商品の広告宣伝のために作ったの報告書ですから、その商品のメリットをアピールするだけではなく、ニーズ喚起のために、『2,000万円の貯蓄が必要です』と宣伝することになります。
そのため、厚生労働所の資料には載っていた、2,484万円の貯蓄については見なかったことにして、『2,000万円の貯蓄が必要です』のところだけ強調することになっています。

これは、金融商品の宣伝の時にはよくあることで、その昔は生保業界では老後の生活資金として2億円必要だ、と言って高額の保険を勧めていました。その計算には、支出の方には退職前の生活水準を落とさずに退職後の豊かな老後を楽しめるような支出項目が列挙され、収入の方は公的年金の収入すら反映されない、という見事なものでした。

今はさすがに2億円、などというセールスはしていないだろうと思いますが、それでも、貯蓄必要額の計算はいくらでも簡単に膨らますことができます。

このようにidecoという金融商品の販売用パンフレットとして書いてあることを鵜呑みにして、年金制度に対する批判のフェイクニュースを流したのが、朝日新聞をはじめとするマスコミ各社で、そのフェイクニュースにまんまとのせられて政府の攻撃をしているのが、年金制度をまるで理解していない野党の論客たちです。この中にはミスター年金と呼ばれる立憲民主党の国会議員も含みます。

なんともヤレヤレですね。

遊遊漢字学『すばらしきかな「令」』阿辻哲次

火曜日, 4月 9th, 2019

日経新聞の毎週日曜日の朝刊、最後の頁に『遊遊漢字学』というコラムがあり、毎回楽しみに読んでいるのですが、一昨日の分のタイトルは『すばらしきかな「令」』というもので、新元号として話題の『令和』の『令』の字について解説されています。

まずは台湾のスーパーで売っている『魔術霊』という家庭用洗剤が、日本でいう『マッジクリン』だという発見から始まって、『霊』という漢字の説明があります。

『壺坂霊験記』の話とか、『霊峰』とか『霊薬』の例を出して、『霊』という字が『はかりしれないほど不思議な』『神々しい』『とってもすてきな』という意味を持つ言葉だという説明です。で、今はこの字も新字体になっていますが、元々の旧字体(靈)では24画もあるので、その旧字体の俗字として、同じ音の『令』の字を使うことがはるか昔からあったということです。そのため『霊』の意味が『令』の意味にもなり、『令嬢』とか『令夫人』とかの言葉になり、また『令月』にもなった、ということです。

これで『命令』の『令』とは別系統の『令』の意味が良く分かります。

最後に結婚披露宴に招かれた友人夫婦が、奥さんの席に置かれていた『令夫人』と書かれたカードを見て、『いつもおれに命令ばかりしているから女房を「令夫人」というのか』とさとった話など、楽しいコラムです。

毎勤統計の特別監察委員会の1月の報告書

水曜日, 3月 6th, 2019

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_03321.html?fbclid=IwAR1pz49rueHM4kbXlA7m9oN1UsR2lzBzfnFV58T_mcVwifZuwReOrXI-EJw
毎勤統計の特別監察委員会の1月の報告書です。呆れ果てるほどよくできた報告書で、ほとほと感服します。
何が起きたのか、そうなった周辺の状況、関係者はどう思っていたのか、その起きたことを統計の立場からどのように評価するか、また、法律的にどのように評価するか、どのようにしたら不適切な事態の再発を防ぐことができるか、等について、関係者の具体的な証言に基づいて非常に論理的に整理されている報告書です。
東京都で500人以上の事業所の調査が全数調査でなかったことについても、抽出調査をしていたことが法律違反、ということではない、と明確に説明されています。統計の報告書では全数調査と書きながら、具体的に調査をするための事務連絡には抽出調査だ、と明確に書いてあり、その事務連絡は厚労省の担当者だけでなく、全都道府県の担当者も目にするものだったし、抽出率も1より小さい数値が明確に表になってついていて、その両者で整合性が取れていない、そのことに気が付いている人がいてもそれを是正しようとする人がいなかった、ということが問題なんだ、と明確にしています。
この、整合性が取れていない、という事態はこれ以外にもいくつもあり、抽出調査をしているのに復元処理をしなかった、あるいは復元のための復元率として使っている数値が違っていた、等々様々なところで不整合があり、また、その不整合について気が付いている人がいたにもかかわらず、そのまま放置され、不整合を是正しようとしていない、等の実態が明らかになっています。
統計の実際の計算はCOBOLプログラムで行われているけれど、厚労省にはCOBOLを扱える担当者が少なく、プログラムの修正が十分検証されない、とか、一旦修正されたプログラムはその後、特段の理由がない限り検証されることなくそのまま使われ続ける、とか、様々な問題が指摘されています。
いずれにしてもこの報告書の明晰さ、わかりやすさは驚くばかりです。
これを書いたのが、特別監察委員会の委員長の樋口さん本人だ、とすると、樋口さんはホントに論理的な思考をする人であり、非論理的な質問を連発する野党の国会議員には我慢ならないのも十分理解できます。
興味ある人は一読をお勧めします。

「韓国は一個の哲学である」 小倉紀蔵

月曜日, 1月 28th, 2019

この本は『韓国とは<道徳志向性国家>である』という言葉から始まっています。そしてすぐに道徳志向的な国ではあるが、道徳的だ、ということではない、と言っています。

『道徳』というのは、今ではなかなか分かりにくい言葉ですが、多分、今の言葉に直すと『正義』ということになると思います。すなわち韓国という国は『正義』を大声で主張する国だ、ということです。
このあたりの意味を1冊を使って解説しています。

この本では『韓国』という言葉を、李氏朝鮮から大韓帝国となり大日本帝国と一緒になって、35年後に第二次大戦の終了で大韓民国および北朝鮮人民共和国になった国、の意味で使っています。

言葉としては多分『朝鮮』と言った方が良いんでしょうが、この『韓国』の人達は、自分達が使ったり日本人以外の外人が使う分にはこの言葉に抵抗はないけれど、日本人が『朝鮮』という言葉を使うのは非常に抵抗があるようで、その余計な手間を省くには『韓国』という言葉を使うのが一番良いみたいです。

で、この本の著者が『韓国』と言っているので、私も『韓国』ということにします。

で、この『韓国』は韓国独特の韓国朱子学という理論体系が国の形となっているため、この本もこの韓国朱子学の解説となっています。

朱子学というのは儒教の発展の過程で生まれた哲学で日本にも当然伝えられましたが、後醍醐天皇がこの哲学に夢中になって建武の中興で日本中を混乱させた程度の被害で済んでおり、江戸時代も形式上は徳川政権によって朱子学が国あるいは幕府の正統的な学問ということになってはいてもかなりおとなしいものになっていて、大した害悪をもたらすものにはならなかったようです。

それが韓国では李氏朝鮮500年とそれが韓国になったその後の100年を通して、いまだに大きな混乱を引き起こし続けているというようなことの解説です。

儒教というのはもともと『仁』とか『義』とか『忠』とか『孝』とかいう言葉で語られる世界なのですが、朱子学というのは『理』と『気』という言葉が出てきて、世界の全てはこの理と気で説明される、ということになります。

その詳しい内容はこの本を読んでいただくのが一番良いと思いますし、私なんかにはそう簡単に説明できる話ではありません。でも韓国のあれこれについて多くの不思議な(あるいは理解不能の)話はこの本を読むことによって『そういう事か』という位には分かるようになるはずです。

いくつもの疑問が解消されたのですが、面白い発見もいくつかありました。

1つは『恨(はん)』という言葉ですが、これは韓国がどういう国であるかを示す言葉なんですが、これを普通の日本語の訓読みで『うらみ』と理解するのは間違いだ、ということです。この言葉は『あこがれ』という意味なんだという説明です。何かに憧れ、その対象と一体になりたいと切望しながら、それが達成されない悲しさ・辛さ・やるせなさ等々を表すのがこの『恨(はん)』という言葉なんだ、ということで、なるほどなぁと思いました。

もう一つは韓国人の日本人の認識についてですが
1.日本人は非道徳的だ
2.日本人は金の奴隷である
3.日本人は性の奴隷である
4. 日本人は権威に弱い
5. 日本人は義理を知らない
6. 日本人には情がない
7. 日本人には主体性がない
8. 日本人には文化がない
9. 日本には学ぶべきことはない
10. 日本はない

というのが韓国人の日本人に関する認識だ、という指摘です。
『これらに反する日本人像を公式に語ることは、韓国人にとってはひとつの冒険なのである』と説明しています。

この1~10の元となるのが『日本あるいは日本人は邪悪な存在だ』という公理です。『公理』というのはそれが正しいも正しくないもなく、当り前、当然の話で、そこから論理的にいろいろ演繹して議論する、その『元』です。

で、この公理から上の1~10が導かれるのですが、それと同時に邪悪な日本に引換え韓国はいかに正義の存在か、ということも証明される、という具合になっています。

そんなことなら最初から『韓国は正義だ』というのを公理にしてしまえば良いようなものですが、それじゃ当り前過ぎて面白くないので、『日本は邪悪だ』から『韓国は正義だ』を証明する方が説得力がある、ということのようです。

で、この『日本は邪悪だ』という公理ですが、公理ですから証明することはできないのですが確認することはできて、日本がいろんな事でうまく行っている時は『悪いことをやっているからうまく行っているに違いない』という話になり、何かうまく行かないような時は『悪いことばっかりやっているからバチが当たったんだ』という話になり、いずれにしても『やっぱり日本は邪悪な存在だ』という公理を再確認するという話になります。この公理を否定することはできそうにありません。何とも厄介な話です。

最後にこれは同じ著者の別の本『韓国、愛と思想の旅』からの引用ですが、次のようになります。
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たとえば下宿に住んでいた頃(著者は韓国の大学に留学して韓国に住んでいたことがあります)、同室の学生が『韓国ラーメン、ナンバーワン』とうるさく言うのに閉口した。韓国にはラーメン屋というのは皆無も同然なので(この文章は多分20年位前のものなので、今ではラーメン屋もたくさんあるのではないかと思います)、ここで『ラーメン』というのはインスタントラーメンのことなのだが、学生は韓国のインスタントラーメンは世界一なのだ、と主張する。それでは日本のインスタントラーメンを食べたことがあるか、と問うと、いや、ないと答える。それではどうして韓国ラーメンが世界一だとわかるのか、と問えば、日本のラーメンは食べたことがないが、韓国ラーメンの方がうまいに決まってる、なぜなら韓国ラーメンは世界一だからだ、と答える。

こんな理屈にまともに付き合っていられない、と考える人は韓国という国と付き合うことはできないのである。
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ちょっと引用が長くなりましたが、これが韓国流思考法の一例だということです。

この本はこのような韓国を理解しようとして体当たりし、のたうち回って韓国と対決して著者が書いたもので、後書きには
『今でも夜更けなどひとりで机に向かっている時、<韓国>という言葉をひとことつぶやくと、あやうく心乱れ叫び出しそうになる。雪舞うソウルの銀色の夜の底を<理>と<乱>のはざまを、疾駆しようともがくのだ』
とあります。

この本は哲学の本ですから簡単に読める本ではありません。しかし韓国という得体の知れないものを理解する手がかりとして素晴らしい解説書です。中国に生まれた儒教が日本では葬儀に関する部分以外は大した影響を残していないのに、韓国では国を挙げての大混乱を引き起こし、今でも混乱させ続けているのは何故か考えるヒントにもなると思います。

韓国という訳の分からない国を少しでも理解したい、と思う人にお勧めです。

外国人労働者の死亡率

金曜日, 12月 14th, 2018

外国人労働者の受け入れ問題に関して、実習生が大勢死亡している等の報道がなされ、今一はっきりしなかったのですが、今朝の日経新聞の社会面(私の取っているものでは、12月14日朝刊13版の35ページ)にまとまった記事があったので紹介します。

この記事、見出しは『外国人実習生ら174人死亡』『法務省集計、10-17年 経緯不明も多く』となっていて、不自然に多くの外国人実習生が死亡しているかのような話になっています。

この記事によると

  1. 13日の野党合同ヒヤリング(野党は相変わらずこんなことをやってるんですね)で法務省は、昨年まで8年間に外国人技能実習生ら174人が事故や病気で死亡した、と言った。①
  2. 厚生労働省は昨年まで10年間で実習生を含む外国人労働者125人が労災で死亡していた、と言った。②
  3. 実習制度推進団体『国際研修協力機構』の集計によると、昨年度までの3年間に実習生88人が死亡した。③
  4. 実習生を巡っては6日に、15年~17年の3年間で69人が死亡していたことが判明。④
  5. 実習生は昨年10月末時点で約25万8千人いる。

ということのようです。

1年あたりの死亡者数は単純に年数で割り算すると
①21.75人 ②12.5人 ③29.33人 ④23人
となっていて、分母の人数が⑤の25万8千人で年々それほど大きく変動していないと考えると、これを分母として死亡率は
① 1万分の0.8 ② 1万分の0.48 ③ 1万分の1.14 ④ 1万分の0.89
になります。

直近の日本人の死亡率は、平成29年の簡易生命表の死亡率で
 15歳 男性 1万分の1.7  女性 1万分の1.0
 20歳 男性 1万分の4.2  女性 1万分の1.8
 25歳 男性 1万分の5.0  女性 1万分の2.2
ですから、これと比べると、特に外国人労働者の死亡率が高いとは言えないようですね。

外国人実習生が劣悪な労働環境で働かされているので死亡者が多い、と言うには、もう少しきちんとした調査が必要のようですね。

『新聞の嘘を見抜く』 徳山喜雄 -(3)

金曜日, 5月 18th, 2018

この本を読みコメントを始めた時は、もう少しのんびり・じっくりコメントしようと思っていたのですが、その後事態の進展は想定以上のスピードで、もはやこれ以上のコメントは不要と思われるので、今回のコメントで終了とします。

その間新聞のファイクニュースはどんどん多くなり、また質的にもかなりひどくなり、従来のようにファイクニュースかどうか見分ける必要もなくなり、あからさまなファイクニュースあるいは願望ニュースを何の工夫もなく書き上げ、あとはそれをできるだけ広範囲にばらまくという戦略をメディアが採用することになったため、メディアのニュースは原則ファイクニュースだと考える所からスタートした方が手っ取り早いということになってしまいました。

もはやどのようにフェイクニュースをフェイクじゃなく見せるかなどという努力や工夫は消え去ってしまい、単に『大声で広範囲にばらまいて数の力で勝負』ということでは何の面白みもありません。

皮肉なことにこの本の最後の章のタイトルが『新聞はもう終わったメディアなのか』となっているんですが、たった半年で『なのか』が消え、『新聞はもう終わったメディア』になってしまったようです。

さてこのように終わってしまったメディアですが、いつの日かまた復活する日は来るのでしょうか。

ゆっくり気長に、その日の来るのを待ちたいと思います。