菅さんが頑張って、法人税の実効税率を5%引き下げるという方向がほぼ決まったようですね。
具体的にどうなるのかまだはっきりしませんし、すでに課税優遇制度の圧縮ですでに5%引き下げを半分くらい相殺してしまうような話も出てきていますが、ここはエイヤっと単純に5%引き下げるとしてちょっと簡単な計算をしてみたので紹介します。
この5%の引き下げで税収が1兆5千億円減少すると言っているので、1兆5千億円を5%で割って対象となる課税所得は30兆円ということになります。引き下げ前の実効税率が40%ということになっていますので、この30兆円に対する税金は12兆円、税引前利益と課税所得を同じとすると税引後利益は18兆円ということになります。
また法人税率を5%引き下げることによって企業は税負担が1兆5千億円減少するので、ここは菅さんのアドバイスに従って、税負担が軽くなる企業は思い切って2兆円、いろいろな投資や新規雇用や賃上げに充てるとします。まるまる2兆円経費が増えたとして、課税所得は30兆円-2兆円=28兆円。これに対して40%-5%=35%の税金がかかるので、それは9兆8千億円。税引後利益は18兆2千億円で、法人税率を引き下げなかったときの18兆円より2千億円多くなります。
企業にとって2兆円余計に使って税引後利益が2千億円増えるんですから、何の問題もないという見方もできるんですが、別の見方をすれば税引前利益は30兆円から28兆円へ2兆円も減益となり、法人税率の引き下げのお陰で何とか税引後利益は前年並みを維持したという姿にも見えてしまいます。
法人の決算を税引前利益で見るのか、税引後利益で見るのか見方の違いですが、現状ではまだまだ税引前利益にこだわりがあるんじゃないかと思います。
そうすると企業は余計な経費を使わないで税引前利益をしっかり確保し、法人税が軽くなった分は丸々「利益」として留保されてしまいそうです。
法人税収があれば、そこからお役人の経費やら何やら引かれるにしても、その一部は公
共投資その他に回って使われますが、税収がなければ投資も行なわれないことになります。法人税率を引下げた結果、かえって社会全体の投資額が減ってしまうかも知れません。
税金を取ってそれを投資に回すより、税金を安くしてその分投資に回すという方が政府の経費分だけ節約になるので、遥かに効率的になるというのはその通りですが、そううまくは行かないかも知れません。
なかなか難しい話ですね。