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『ギリシア人の物語』 塩野 七生

水曜日, 1月 9th, 2019

ふと思いついて、そろそろ読めるかも知れないと思い調べてみました。で、これが全3巻例によって年1冊の刊行で、3巻目が1年前、おととしの暮に出ていることが分かりました。

さいたま市の市立図書館の蔵書としては3巻とも17冊くらいの蔵書があり、それぞれだいたい7冊くらいは貸し出されないで書架にあることが分かりました。これであれば安心して借りられるし、いくらでも延長できると想定して、3巻まとめて借りました。

だいたい週1冊のペースで4週間で、1月3日に読み終えました。やはり塩野七生は見事なもので、十分堪能しました。

ギリシアのアテネとスパルタを中心とする都市国家がどのようにでき、アテネの民主政とスパルタの寡頭政がどのようなものでどのようにでき、どのように滅んでいったかの盛衰記が見事に書かれています。

アテネの有名な陶片追放というのが、具体的にどのようなものだったかも良く分かりました。

1、2巻で当時の世界帝国だったペルシャと戦った第1次・第2次ペルシャ戦役と、その後アテネとスパルタが戦い、最後にアテネが敗ける経緯が詳しく書かれています。

第3巻では戦争に負けたアテネが亡び、勝ったスパルタもその後を追うように亡びる中で、ソクラテスも死刑で死に、『そして誰もいなくなった』。ギリシアは勝者も敗者もいなくなり、テンデンバラバラの都市国家が残るだけになり、そこでようやく辺境のマケドニアの登場です。

いよいよアレキサンドロスの登場ですが、このアレキサンドロスの世界制覇は実は父親と2代がかりの偉業だったこと、息子が成人するころ丁度父親が暗殺されスムースに王位継承ができたこと、アレキサンドロスがペルシャを破り世界征服を果たした後どうやって死んだか、死んだ後残された帝国はどうなったか、という具合に全3巻が書かれています。

やはり塩野七生は戦争が好きなようで、戦争の描写はいつもながら生き生きとしています。

で、この3巻には1巻目の最初に、なぜ今ギリシャを書くのかという説明があり、3巻目の最後にこの3巻をもって塩野七生のいう『歴史エッセイ』を書くのは終わりにするという宣言が書いてあります。

著者が『調べ、考え、それを基にして歴史を再構成していく』ことと定義する『歴史エッセイ』ですが、ローマ人の物語から、その前に書いていたヴェネツィア(海の都の物語)・マキャベリ(わが友マキャヴェリ)等、ローマ人の物語のあとに書いた十字軍(十字軍物語)・イスラムが地中海を支配した時代(ローマ亡き後の地中海世界)・ルネサンスの先駆けをしたフリードリッヒ(皇帝フリードリッヒ二世の生涯)、最後にこのギリシャ人の物語と、塩野七生の代表作が全て入っています。

10代後半で地中海世界に憧れ、20代後半で地中海にたどりついて2年間地中海沿岸をさまよった後30歳になる所で執筆を始め、最初にペアを組んだ編集者とは『翻訳文化の岩波(書店)に抗してボク達は国産で行こう』と決意し、でも30歳前後のまだ何事もなしとげていない若者2人がそんなことを言ってみても誰からも相手にされないからこれは二人だけの密約とし、15年後にその編集者が若くして病に倒れ亡くなる時も、残された塩野七生が『続けます』と誓って今まで50年にわたって著述を続け、80歳になって、書くほどのものはもうすべて書き尽くした、とでも言うように終筆宣言をする、というのは何とも見事な姿です。

この『十七歳の夏-読者に』と題する塩野七生歴史エッセイ全作品のあと書きの後に、この歴史エッセイの全体像を一覧できる図が付いています。

もうこれで塩野七生の新しい物語には出会えないんだと思うとちょっと寂しい気もしますが、著作というのは有難いことにいつまでも残っているものなので、寂しかったらいつでもどれでも今までに書かれたものを読み返せば何度でも塩野ワールドを堪能できるというのは、なんともぜいたくな話です。

ということで、この年末年始の休みは非常に実りの多い休みとなりました。
もしまだ読んでない人がいたら、今度の(4月~5月の)10連休にでも読んでみてはいかがでしょうか。