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『統計で嘘をつく』例

2019年12月23日 月曜日

韓国の聯合ニュースに面白い記事があったので紹介します。

『日本の対韓輸出額 規制強化後に14%減少』

記事の内容は、7~10月の日本から韓国への輸出は対前年14%減少した。同じ期間に韓国から日本への輸出は7%の減少だった。すなわち日本から韓国への輸出は、韓国から日本への輸出の2倍も減っている。

その結果、韓国では日本への輸出が少し減っても大したことではないが、日本では韓国への輸出が大幅に減って大変なことになっている・・・というようなことです。

このような記事を受け、韓国では日本の韓国に対する輸出規制の強化がブーメランとなって日本は韓国に対する輸出が大幅に減って、日本経済に大打撃となっている。政治的には桜を見る会の件で安倍内閣はニッチもサッチもいかなくなり、内閣総辞職までもうちょっとの所まで追い込まれているというような記事がかなり広まっているようです。

で、14%と7%を比較して、日本は韓国の2倍もの落ち込みになっているというのは分かりやすい比較なんですが、実際は何の意味もない比較になっています。

日本から韓国への輸出については、韓国の日本製品の不買運動もあるので、ある程度の減少は当然の話です。

ここではむしろあれだけ派手に不買運動をしてもたった14%の減少でしかないのか、と考えるべきなんでしょう。とはいえ不買運動は8月からの話で、貿易の輸出入はそう急には止められないものもあるでしょうから、まぁ妥当なものかも知れません。たとえば7月と8月が対前年100%で、9月が対前年20%減、10月が対前年36%減だとすると、単純平均7月~10月で14%減ということになります。韓国の日本への輸出が7%減ったというのも、日本では韓国に対して不買運動をしているわけでもないのに7%も減ったというのは、もっと注目しても良いかも知れません。これは日韓の貿易の話ではなく、もっと全般的な韓国の輸出不振を表しているようです。

韓国の貿易管理については、韓国としてはどうしても日本から輸入しなければならない物を止められてしまってニッチもサッチもいかなくなっているんですが、日本としては韓国からどうしても輸入しなければならないものも特にないので、それで減ろうと増えようとどうでも良い話です。

フッ化水素についても、韓国はそれを日本から輸入し、それで製品を作って中国やヨーロッパやアメリカに売るという形ですから、日本から輸入する部分については日本から韓国への輸出に入りますが、製品を売るときは韓国から世界中に向けての輸出ということになり、韓国から日本への輸出はそのごく一部ということになります。

またフッ化水素を輸入してから製品を作り、それを出荷するまでのタイムラグを考えると、7~10月の統計では多分その効果はまだ見えてこないと思います。

というわけで、7%と14%は殆ど何の関係もない数字という事になるのですが、これらのことを全てわかった上でこのような記事を書いて、日本が経済的にも政治的にも危機的な状況にある、と思わせているとしたら、大した話ですね。

こういうのも『統計でウソをつく』の例なんでしょうか。