権丈先生のホームページ

7月 17th, 2012

このホームページの右上の方に、読者数のカウンターがあります。これが先週急に増えたのですが、気がついたでしょうか。

この記事の3つ前に「厚労省のレポート」というタイトルで、年金の被保険者・受給者の年収に関するレポートについて、コメントしました。
年金の話なので、ちょっと見てもらおうと思って権丈先生にメールを送ったところ、先生のホームページで紹介してくれるということになり、その結果こちらのブログの読者数が急増したというわけです。

権丈先生というのは知る人ぞ知る慶應大学の商学部の先生で、年金や医療などに関して何かあるとすぐに方々からお呼びがかかって辛口の正論を誰に向かってもぶつける、学者にしておくのは勿体無いくらいの本物の学者です。
で、この先生のホームページ(http://kenjoh.com/)ですが、数年前から楽しませてもらっています。もしまだ見たことのない人がいたら、是非のぞいて見て下さい。
あまりビジュアル的でもないし、小難しい議論の文章ばっかりなので、とっつきはあまり良くないですが、じっくり読むと中味はなかなか面白いです。

「勿凝学問(学問に凝るなかれ)」というタイトルで論文を連作して、これもその都度ホームページで公開してくれるのですが、これがまとまると「再分配政策の政治経済学」というタイトルのちゃんとしたシリーズ本になる、ということになっています。

で、この先生は雑誌に書いた記事とか、自分が参加した座談会等の記事をすぐにpdfにして、このホームページから読めるようにしています。著作権その他、こんなことをして良いのかなとも思うのですが、タダで読めるんですから、有難く読ませてもらっています。

そのホームページで7月10日と12日の間の記事で紹介された「年金実務2000号記念座談会 年金制度の過去・現在と未来」(http://news.fbc.keio.ac.jp/~kenjoh/work/20120711072227.pdf)という記事、これが素晴らしいのでお勧めします(全部で43ページもありますが、座談会なのでそれほど大量ということもありません。とはいえ中味は十分濃いので読み応えがあります)。

日本の公的年金制度の全体像について、特に近年話題となっているテーマについて、本当の専門家の議論です。
専門家同士の話ですから、かなりはしょっている部分もありますが、この議論全てについて何が議論されているのかが理解でき、話している内容が納得できたら、日本の公的年金制度についてちゃんと理解していると思って良いと思います。

何が議論されているかはわかるけれど話の内容が納得できないとか、何の話をしているのかわからないという部分があったら、そこの所を中心に勉強すると年金制度の理解に大いに役立つと思います。

その意味で「年金制度に関する理解度のチェックリスト」として、非常に有用だと思います。
特に若い人でこれから年金の勉強を始めようと思っている人には、是非お勧めします。

ここに登場する坂本さんというのは私とは別の人で、元厚生省のお役人のアクチュアリーで、頭のいい人ですから、この人の話と権丈先生の話はちょっと難しいかも知れませんが、その分十分噛み応えがあると思います。

権丈先生の天動説と地動説の話(年金の議論では若い学者が自信をもって天動説を主張するんだけれど、そのうち自分の誤りに気がついて地動説に宗旨替えしたり、年金の議論から身を引いたりする。その頃には次の若い人が天動説で颯爽と登場する、ということが繰り返し起こるということ)とか、共済年金の積立率が厚生年金より高いのは、過去においてそれだけ高い保険料を払ってきたからだ、なんてコメントは非常に面白いです。

東京電力の実質国有化

7月 13th, 2012

東京電力の株主総会で実質国有化が本決まりになったようですね。
こうなると今更ですが、やはり1年前原発の事故が起きた時の原子力損害賠償法の適用の間違いが、残念ですね。

この法律によると、今回の原発の事故による損害賠償は東電には責任がなく、国が責任を持つことになっているんですが、それを政府が無理矢理東電に責任を押し付けてしまいました。

東電もこれに対して争うこともできたのですが、争っているといつまでたっても誰も賠償しないことになるので困るのは福島の人たちです。そこで東電はその争いよりむしろ損害賠償を迅速に行なうことを優先して、その責任を負うことにしました。その結果、損害賠償の膨大な債務をかかえて実質的に破綻し、国有化を受入れるしかなくなってしまった、ということです。

ですから東電にしてみれば、多分今でも「政府の法律違反によって会社が潰された」という思いはなくすことができないでしょうね。

損害賠償の手続き自体は、政府やその下請けの地方自治体がやるより、民間企業の東電がやったほうがスムースに行ったとも言えるでしょうが、実際そのやり方についていちいち政府にお伺いを立ててその指示に従わなければならないという状況では、そのメリットもほとんど帳消しだったかも知れません。

「原子力損害賠償法」というのは、原発事故のために発生した損害賠償について、その事故が『異常に巨大な天災地変』による場合は電力会社の責任を免除するというものですから、その損害賠償が東電の責任じゃないとなったとしても、それで東電はメデタシメデタシ・・・というわけには行きません。

あれだけの事故で発電所がシッチャカメッチャカになってしまったんですから、その損害は膨大なもので、さらに事故の後始末のための費用も今後どれだけかかるかわかりません。その事故による直接の損害は、原子力損害賠償法の対象ではありませんから、当然全部東電の負担となります。

で、多分それだけで東電は債務超過で破綻していたんじゃないでしょうか。これは東電だけじゃなく、この震災と津波で建物を流され、工場を流され、船を流されて倒産してしまった、岩手・宮城の多くの企業と同じことです。

で、そうなっていたら、東電にしてみても会社を国に潰されたなんて恨みを抱くことなく「震災と津波で潰れてしまった」と納得することができたでしょう。また銀行その他の債権者や株主も、震災と津波のために債権も株もパーになってしまった、とすんなり納得がいったことでしょう。

東電をつぶすわけにはいかないのでこの場合でも結果的に実質国有化、ということになったんでしょうが、同じ国有化でも中身がまるで違います。

で、そうすれば東電は損害賠償の手続きに振り回されることなく事故対応と電力不足対応に全力を注入することができていたんじゃないかなと思います。

最近のニュースでは福島県の各地の放射能の除染の費用を国は全て東電に請求するということで(これも損害賠償のうちだ、ということです)、そのために必要なお金は原子力損害賠償支援機構から東電に拠出させるなんてことになっているようです。
損害賠償を国がやることにしていたら、こんな回りくどい話をしなくても直接国の負担で除染するということで、はるかにすっきりと処理することができたでしょう。

事故が起きて、当初はこの法律の適用(損害賠償は東電の責任じゃないこと)は当然のことだという話になっていたはずなのに、途中から無理矢理法律の適用を捻じ曲げてしまったこと、残念ですね。

シリアの春

7月 13th, 2012

シリアの反政府・民主化の運動ですが、ようやく決着がつきつつあるようですね。
大使が亡命したり政府軍の高官が亡命したり、動きが出てきました。

政府軍の攻撃のための死者は増えているようですが、戦争の終わりには死者が増えるのは仕方がないのかも知れません。

ロシアもここまで来ると、いつまでも政府軍に武器を渡し続けることもできないようです。

報道によると、シリアの独裁政権というのは民族的にも宗派的にも「少数派が多数を支配する」という形になっているようです。これは元植民地だった所では良く見られる形で、帝国主義の宗主国の(負の)置き土産みたいなものですが、シリアの場合これまでこれだけ長期にわたって市民を殺し続けてしまったので、独裁体制が終わった途端、逆にこれまでの支配層だった少数民族を、支配されていた多数派が抹殺する、なんてことにならなければ良いんですが。

で、シリアが終わると次にまた「アラブの春」の舞台になる国は心配でしょうね。次はどこに火の手が上がるんでしょう。サウジアラビアなんてことになると、アメリカは困ってしまいますね。

厚労省のレポート

7月 11th, 2012

7月9日に厚労省から「公的年金加入者等の所得に関する実態調査結果の概要について」というレポートが発表されています。

これについてマスコミ各社はいろいろ報道しているのですが、目につくところでNHKのサイトでは
①「国民年金 半数超年収100万円下回る」
というタイトルで
②「国民年金の加入者をみますと、年収がない人と年収50万円以下が合わせて38%と最も多く、50万円以上100万円以下も17%いて、全体の55%が年収100万円を下回っていることが分かりました。」
③「厚生労働省は「国民年金の加入者に所得の低い人が増えているのは推測していたが、今回の調査で、具体的な実態が初めて裏付けられた。将来、低い額の年金しか受け取れない人が増えるとみられ、調査結果を今後の年金制度についての議論に生かしてほしい」と話しています。」
等のコメントをしています。

日経では
④「国民年金加入者、平均年収159万円 受給者下回る」というタイトルで
⑤「自営業者やフリーターなどが入る国民年金の加入者の平均年収が159万円にとどまり、公的年金の受給者の平均年収(189万円)を下回った。」
⑥「国民年金の加入者のうち、54.7%が年収100万円以下の層だった。」
⑦「年金受給者でも年収100万円以下が全体の4割を占めたほか、基礎年金の満額である約80万円を受けとれていない「50万円以下の受給者」も16.5%にのぼった。満足な年金の受給を受けている人は多くない。」
⑧「一方、年収が500万円を超える受給者は5%近くに達した。」
などのコメントをしています。

全体的な印象として、「年金があぶない、頼りにならない」という雰囲気をかもし出す報道になっています。

まず第一にこの調査は全国から6万3千世帯を選び出して、そのうち5万8千世帯の12万4千人のうち7万2千人についての集計だ、ということで、まあ、ざっと言って1,000人に1人くらいの抽出率のサンプリング調査です。

で、NHKは「国民年金の加入者の半分が年収100万円未満だ」ということに注目しているようです(①・②)。ここで『国民年金の加入者』と言っているのは1号被保険者のことを意味しているようです。

国民年金法では1号も2号も3号も皆被保険者なのですが(そのためこの1号・2号・3号というのは国民年金法で定義されています)、世間一般ではこの1号被保険者のみを国民年金の加入者と言っているようです。

もちろん厚労省のレポート自体はそんないい加減な言い方はしないで、きちんと「1号被保険者」と言っていますが、マスコミではNHKも日経も1号被保険者だけが「国民年金加入者」です。

で、この部分の人の半分が年収100万円以下ということですが、これは別にそんなに驚くような話でもありません。

一般に「3号被保険者」いわゆる「サラリーマンの妻」といわれている被保険者ですが、この人達は3号被保険者として1号には入っていないのですが、それ以外のたとえば「自営業者の妻」になる人は3号ではなく1号被保険者です。また同様な言い方で「サラリーマンの息子・娘」すなわち学生や学校を卒業してもサラリーマンになっていないような人も1号被保険者になります。もちろん「自営業者の息子・娘」も同じです。
リストラ等でサラリーマンでなくなってしまった人も再就職できなければ1号被保険者になります。

このように基本的に「サラリーマンの妻」以外の収入がない人、あるいは収入のかなり少ない人は皆1号被保険者になるわけですから、1号被保険者の過半の人の収入が100万円以下であっても不思議なことではありません。

③の厚労省の話というのも本当かどうかわからない、おかしな話です。
国民年金(というより基礎年金)は、収入が多くても少なくても、一定の掛金で一定の年金が給付される仕組になっていて、収入が少ないと年金も少なくなる、というわけではありませんから、今回の調査の結果から「将来、低い額の年金しか受取れない人が増える」なんてことは言えません。

一方日経新聞の方はNHKと違って、「国民年金加入者の収入が老齢年金受給者の年収を下回った」ということに関心があるようです(④・⑤)。これも何を比較したいのか、これを比較して何が言いたいのかわかりません。
老齢年金受給者の年収というのは老齢年金収入ということではないし、ましてや老齢基礎年金の額ということでもありません。

⑥のコメントは①・②と同じことですが、⑦のコメントもおかしなもので「老齢年金受給者の年収」と「年金受給額」が混同されているようですし、「満額」というのは40年間掛金を納めた人だけですから、大学を出てから年金に入った人はそれから40年以上掛金を払わないといけないので、60歳で定年退職しちゃったような人はそのままでは基礎年金を満額貰えないことになっちゃいます。また、かなりお年寄りで最初から満額の基礎年金をもらえない人もいます。

⑧のコメントもちょっとおかしなコメントです。
NHKの記事の方には書いてあって日経新聞の記事には書いてないのですが、実はこのレポートで「被保険者になっている」とか「老齢年金受給者になっている」というのは、平成22年11月末現在での状況で判定しているのに対し、年収は平成21年の収入を使っています。
すなわち平成21年のときにはまだサラリーマンで高給取りだった人が1年後の平成22年11月には老齢年金受給者になっていれば、その(サラリーマン時代の)高い年収が老齢年金受給者の年収ということになります(そのようにこのレポートでは計算しています)。
そうだとすれば、年収が500万円を超える人が5%近くいたと言うのはそれほど驚くような話でもないように思います。

ということで、NHKの記事も日経の記事もかなり問題含みな内容なのですが、それより面白いデータがこのレポートにはあります。

それは(レポートの)9頁目の表5-2で、ここに1号被保険者の就業形態別の構成割合が計算されています。

一般に1号被保険者を『自営業者』で代表させるのですが、実は1号被保険者のうち『自営業者』は14%(7分の1)しかいないということがこの表でわかります。
ではどんな人が1号被保険者なのかというと、『会社員・公務員』が25%、『臨時・不定期(収入)』というのが23%、『非就業者』が28%で、どれも『自営業者』の倍くらいいる、ということです(これらのほかは『家族従事者』という人で、10%ほどいます)。

これを見るとNHKの『自営業者などの国民年金』とか日経の『自営業者やフリーターなどが入る国民年金』という言い方自体が大間違いということになります。

でもこの言い方、あまりにも定着し過ぎていて、訂正するのは骨が折れそうですね。
困ったものです。

再生可能エネルギー

7月 3rd, 2012

再生可能エネルギーによる発電の全量買い取りが始まって、ようやくここに来て、それによる電気料金の値上げについてマスコミが話題にし始めましたね。

何を今更・・・といったところですが、ようやく反原発の集団ヒステリーが収まりつつあるのかも知れません。

とはいえ、首相官邸前の集まりとか大飯原発の近くでの集会とか、まだ集団ヒステリーにドップリ浸かっている人も多いようですが。

事故のショックが落ちついて来ると、まずはお財布に直結する話で、ちょっと話が違うんじゃないかなと気がついて、その次には原発の事故であれだけ大騒ぎをしたけれど、実際放射線で病気になったり死んだりした人がどれ位いるんだろうということに気がつけば、この集団ヒステリーがいかに大きな空騒ぎだったか、ということがわかってくるでしょう。

それまであと1年くらいはかかるんでしょうか。

またまた小沢さん

7月 3rd, 2012

小沢さんのグループ、ようやく離党することになりましたね。

これで次は新党を立ち上げることができるか、何人くらい新党に参加するか、ということになります。
衆議院本会議の反対投票の直後であれば、勢いで離党・新党でかなりの人が新党に参加したんでしょうが、ここまで待ち期間があると、どうなるでしょうね。

最初52人の離党届が提出されたと思ったらすぐに50人に訂正されましたね。その関連のニュースによると、どうも先週の衆院本会議の前の「離党届を集めた」というのは離党届に署名して小沢さんに預けたけれど、小沢さんにその離党届を「提出してくれ」でも「しても良いよ」でもなく、単に「預けた」だけのようです。

離党するかどうかはまだ決めなくても良いから、とりあえず離党届に署名して預けてくれ、実際に党に提出する時は事前に改めて意思を再確認するから、ということのようですね。要は執行部を脅すためのみせかけの離党届だったようです。こんな脅しもネタが割れてしまったら、かえって逆効果ですね。

政党というのは、どうもかなりお金がかかるようです。小沢さんは貧乏ではないけれど、鳩山さんのように自らスポンサーになって政党に必要なお金を出すという人ではなさそうですから、新党で必要なお金は皆で出し合おうということになりそうです。

だとすると、次の選挙で当選が見込めない人や、議員をやってみてもう政治はうんざりと思っている人は、わざわざお金を出してまで新党に参加する必要はないということになります。小沢さんに恩義を感じている人も、一緒に離党するという所までお付き合いすればもうそれで十分だ、と考える人も出てくるでしょう。

ということで、新党ができたとして、何人が参加するのか、興味がありますね。

最初からお金の話をすると参加者が集まらないので、そのあたりを曖昧にしておいて(党の方針とか綱領とかお題目だけ議論して)頭数を集め、あとからお金を集めるなんてことをしたら、新党ができた後でも脱落者が出ることになるかも知れませんね。

ポイントは解散・総選挙の時に何人残っているか(あるいは万一、年末まで解散がない時は年末の人数)ですね。

複数通貨の可能性

6月 28th, 2012

ユーロ危機でギリシャがユーロから離脱してドラクマに戻るなんてことが話題になってますが、これについて妙なことを思いついたんで書いてみます。
ユーロの仕組がどうなっているのか十分理解しているわけではないので、まるで無理な話なのかも知れませんが。

で、その思いつきというのは、ユーロ圏に残ってユーロを使い続けたまま新しくドラクマも使い始めてはどうかということです。すなわちギリシャの中でユーロとドラクマを両方とも正式な通貨として流通させるということです。

こうすれば必ずしもユーロから出ていかなくても良いし、一方でユーロに対してドラクマを必要なだけ切り下げることにより経済の立て直しをはかることができるかも知れないという欲張った考え方です。

それで対外的(ユーロ圏の他国も含む)にはユーロを使って、国内的にはドラクマを使ってどちらも自由に使えるようにします。

ギリシャでは労働人口の1/4~1/3が公務員だということですから、公務員の給料などは全てドラクマ建てにしてしまえば、あっという間にドラクマが流通するようになるでしょう。ユーロも自由に使えるとなったら、慌ててユーロ預金を引き出さなくても良くなるでしょう。
その上で適宜ドラクマとユーロの為替レートを変動させていけば、比較的スムースな移行ができるかも知れないと思うのですが。

もちろん一つの国で複数の通貨を使うというのは、かなり厄介な話ではあるんですが、一国一通貨なんてのはそれほど長い歴史があるわけではなく、たとえば日本では江戸時代、金貨・銀貨・銅貨(銭貨)、場合によってはこれに米を加えて三通貨あるいは四通貨で経済が動いていました。しかもその通貨どうしは完全な変動相場制だったようです。

今では国どうしの間では変動相場だけれど、一国の中で複数の通貨が変動相場制になっているという国はあまりないかも知れませんが、ヨーロッパの国では昔は少なくとも金貨と銀貨の変動相場制だったし、イタリアなんかでは都市ごとに通貨が違って、その通貨どうしは変動相場だったはずです。

せっかく一国一通貨でいろんな無駄を排除したのに歴史を逆行するのか、なんて言われそうですが、ギリシャのユーロ問題を何とかするにはそれもアリなんじゃないかな・・・なんて考えてみました。

私の考え、というより思いつき、おかしな所があったら教えて下さい。

小沢さん・・再び

6月 27th, 2012

消費税の採決、案の定、小沢さんは離党できませんでしたね。

口では四の五の言ってますが、要は離党する覚悟ができないから党の方から除名なりなんなり、離党するためのアクションを起こしてもらいたいということのようです。

こうなると、自殺しようと思ったけれど恐くなって自殺できず、仕方ないので自殺の代わりに死刑になろうと思って、人ごみで無差別に人殺しをする若者と同じようなものですね。何ともだらしがない話です。

離党するぞ!と脅して消費税上げに反対投票すると言えば中間派も同調して、執行部も手が出せなくなる、と思ったのかも知れませんが、結局の所反対票はほとんど増えず、せっかく集めた仲間の離党届もそのままポケットに入れたままのようです。

こんなことをやっていると、本気で離党届を書いて本気で反対票を入れた若い人たちは、勝手に新しい離党届を書いて離党してしまうかも知れません。そうなってから小沢さんが離党しても、先に離党してしまった人が小沢さんの所に集まるというわけにも行かないでしょう。

例によって輿石さんは時間稼ぎの穏便な処分を狙っているようですが、それを続ければ続けるほど小沢さんの周りから人がいなくなり、たなざらし状態で結局最後は何もできない一人ぼっちになってしまうんでしょうか。

また離党したところで、次の選挙で立候補させられる人数は1桁台。2桁になったとしてもせいぜい10何人でしょうから、本気で離党なり解散総選挙なり考えることもできずに、ダチョウのように頭を砂に突っ込んで、何も見えないふりをしているんでしょうね。

昨日の投票を見ていて、その昔の『加藤の乱』を思い出しました。いずれ自民党から総理大臣になることがほぼ確実だと誰もが思っていた加藤さんが、自民党の森内閣の内閣不信任案に賛成しようとして、そのグループの仲間達がそれをやめさせようとして涙々の話し合いをしたという事件です。

加藤さんは演台にしがみついて仲間の意見を聞きながら、何とかして自分の意志を通そうとして泣いているし、そのリーダーのご乱心をなんとか翻そうとして仲間が涙ながらに説得を続ける。その筆頭が今の自民党総裁の谷垣さんです。

総理大臣候補の筆頭の加藤さんとそのグループの筆頭の谷垣さんの、大の大人が泣きながら綱引きをしている何ともみっともない姿ですが、でもそこにはドラマがありました。

今回の小沢さんは何のドラマもなく単に『みっともない』だけです。

小沢さん

6月 22nd, 2012

小沢さん、いよいよ追い詰められてしまいましたね。

今日の新聞では50人超という、昨日の集まりの人数と53人という衆議院で民主党が過半数を割るために必要な離党者数を並べて、いかにもあとちょっと・・・というような印象を与えていますが、同時にこの50人弱の離党候補者の名前も載っています。

これによると50人弱というのは49人で、そのうち参議院議員が15人ですから、衆議院の方は34人だけです。となると53人にするのは約20人も増やさなきゃならないので、ちょっと大変だなという感じです。

この参議院の15人を含む49人、1年生(当選1回目)が30人、2年生(当選2回目)が9人ですから、3年生以上は10人しかいません(小沢さんの15年生を除くと、あとは皆5年生以下です)。この内訳を見てしまうと、多分皆な~んだ・・・てなもんでしょうね。

それよりも不思議なのは、昨日の国会の会期延長の採決です。

すんなり会期が延長されてしまったようですが、自民党も公明党もちゃんと反対したようです。

会期が延長されていなければ昨日で国会は終わりだったはずで、消費税の修正案はまだ準備ができていなかったようですから、結局消費税の衆議院通過は自動的に阻止できたはずです。

仮に小沢さんのグループや他の消費税値上げ反対派が国会の延長に反対したとした場合、自民党や公明党の先生方は慌てて国会の会期延長に賛成したんでしょうか。

それとも国会議員のルールとして党の決めた法案に反対することはあっても、党の決めた会期延長には反対してはいけない、なんてのがあるんでしょうか。

今の状況では消費税の法案は、来週26日には衆議院で可決されるようですが、仮に昨日で国会が終わっていたらどうなっていたか、少なくともそんなに早くは国会を再開して消費税を可決なんてできなかったんじゃないでしょうか。自民党なんかは国会を再開するくらいなら解散・総選挙なんて言いそうですし。

こう見てくると小沢さん、どこまで本気で消費税引き上げに反対なのか、小沢さんの反対も橋下さんの原発再開反対と同じで、単にゴネてるだけじゃないかと思えてきます。

橋下さんは素直に「タテマエばかり言っててもしょうがない」とゴネてたのを認めてしまいましたが、小沢さんは政治のプロ(と自認している)ですから、そう簡単に『ゴネてただけ』なんてことは言わないでしょうね。素人の橋下さんと一緒にされたくはないでしょうから。

とりあえず49人のうち45人くらいは離党届に署名させられてしまったようですが、これからどうなるんでしょう。その人たちの離党届は小沢さんが持っているんでしょうが、それを出すことができるかどうか。民主党のことですから、それが出されたとしても個々に本人に再確認して、その段階で離党届を引っ込めるというのも認めるんでしょうね。

いよいよ切羽詰まっちゃいましたね。

消費税

6月 14th, 2012

消費税の国会の議論、ちょっと面白くなってきましたね。

しばらく前は「自民党が協力して法案を可決したら解散総選挙するって約束しろ」という話だったんですが、近頃は「法案が否決されたら解散するって約束しろ」という話になっています。

野田さんの回答は明確ではありませんが、どうやらどちらもYesのようです。
すなわち、法案が「可決されても否決されても解散・総選挙」ということのようです。
みなさん選挙に向けて大分浮き足立ってきているようですね。

さあこうなると民主党・自民党の反対派は迷ってしまいますね。
法案が可決されても否決されても解散・総選挙ということになると、反対して除名されたり(まあそこまでやることはできないでしょう)、公認してもらえなかったり(ここまでのこともやらないんじゃないでしょうか)、あるいは自ら離党したり(これはありそうなシナリオですが、そこまで覚悟して選挙に臨む人はあまり多くはなさそうです)して不利な選挙を戦うのか、あるいは賛成して(民主党の場合、これでも選挙は大変そうですね)きちんと党の支援を受けて選挙に臨むのか、悩ましいところですね。

「もう選挙に出ない」「出てもどうせ当選しっこない」という人はそんなに悩むこともないんでしょうが、当選するかも知れない人達は悩みますね。
賛成するのと反対するのと、どちらの方が次の選挙に有利か、そして次の選挙で当選したあと、将来的に政治家を続けていくためにどちらの方が有利か、考えようと思っても考えようがありませんよね。

鳩山さんはどうするんでしょう。民主党は自分が作り、自分が金を出してやってきた自分の党だと思っているのでしょうが、それを捨てて離党するのか、それとも誰も言うことを聞いてくれなくても自分の党に残り続けるのか。

あともう1週間で衆議院の採決ということになっているようです。誰がどういう身の振り方をするのか、ヤジウマとして見ている限り、結構面白い見物ですね。

その前にこの週末はギリシャの選挙ですから、来週はまたユーロ危機の話でそれ所じゃないかも知れませんね。
いずれにしても「ヤジウマとして見てるだけ」、というのは変わらないのですが。