Archive for the ‘時事雑感’ Category

ケータイとスマホ

火曜日, 6月 11th, 2013

図書館の新しく入った本コーナーに、「しくみ図解 通信技術が一番わかる」という本があったので、借りてきました。

この手の、ごく大雑把ではあるけれどちょっと技術的な簡単な説明をしてくれる本はなかなか重宝しています。

で、この本は「通信技術」というより「通信のしくみ」というような感じで、携帯電話・無線通信・有線通信・テレビ放送等がどのような仕組みで行なわれているのか、簡単に解説してあります。

この本でケータイとスマホの何が違うのか、という所が良くわかったので紹介します。

ケータイというのは「携帯電話」という独自のネットワークの中での通話サービスで、日本でとてつもなく高度に発展してしまった結果、他の国はついて来ることができず競争をあきらめてしまったものということです。

その代わりに他の国では、PCの無線LANによるインターネット接続を進化させ「スマホ」というものを作り上げたということのようです。

ですからケータイもスマホも「電話もできるしインターネットもメールもできる」と言いながら、その仕組みはまるで異なっているということです。

ケータイは携帯電話のネットワークにつながって機能し、そのネットワークの中からインターネットのネットワークにつながることにより、インターネットやメールを使うことができます。

これに対してスマホの方は最初からPCのインターネットへの無線LANによる接続を小型化したもので、インターネットもメールも最初からつながっていて、電話はインターネットのIP電話の機能を使っているんだ、ということです。

この話でようやくケータイとスマホの間のギャップが良く理解できました。スマホはケータイの進化形ではなくPCの進化形で、ケータイと同じようなことが色々できるように工夫したものでしかないということです。で、AppleはPCの会社なので、ケータイは作れないけどi-Phoneは作れるということですね。i-Phoneもi-PadもどちらもPCだからよく似てる、ということですね。

私はケータイもほとんど通話専用で、スマホというのは電話もできる高性能ゲーム機だと思っていますから、これでなおさら安心してケータイが使える限りはスマホに移る必要はなさそうだなと考えています。

何もできなかった北朝鮮

火曜日, 5月 28th, 2013

ニュースというのは何か起こったことを取上げるので、起こらなかったことはなかなか報道されないですね。

これを改めて感じたのは、飯島さんが北朝鮮に行ったというニュースの時です。

日本中が(というより外国でも)大騒ぎになりましたが、その前にあれだけ大騒ぎをしてすぐにでも戦争をするようなふりをしていた北朝鮮が、あれだけアメリカ・韓国から挑発されたにもかかわらず結局何もできず、仕方なく短距離のミサイルを5、6発発射しただけで終わってしまいました。それも北東に向けてということですから、韓国や日本には向けないようにしたようです。

要するに、この「何もできなかった」というのが大きなニュースなのですが、「何も起きなかった」というのは、ニュースにしずらいんでしょうね。

飯島さんの訪朝も行ったときは大騒ぎで国賓待遇で迎え、ニュースで大騒ぎしましたが、帰りは見送りの映像はなかったような気がします。その分中国でも日本でも日本のマスコミが大騒ぎしていたようですが。

結局飯島さんを招待したのがあまりうまく行かなかったので、仕方なく金正恩は特使を中国に行かせて、今度は中国に泣きついて何とか6カ国協議の再開のために動いてもらおうとしたようですが、うまく行くでしょうか。

ここしばらくアメリカと韓国は協力して、軍事演習やら大統領の訪米などとことん北朝鮮を挑発したのに、北朝鮮は何もできず醜態を晒してしまいました。こうなったらもう誰も北朝鮮を恐がりません。それこそ水に落ちた犬は叩けとばかりに北朝鮮をトコトンいじめ抜くというのが、政治・外交の常道です。日本人はあまりこういうのは得意じゃありませんが、韓国・アメリカ・中国はこういうのが得意ですから、今後どこまで北朝鮮がいじめられるか、それに対して北朝鮮がどう対応するか、注目ですね。

北朝鮮とシリア

火曜日, 5月 7th, 2013

北朝鮮、いよいよ動きが取れなくなってしまったようですね。

ケソンの工業団地から韓国人が引上げてしまってこれで外貨収入が得られなくなってしまい、アメリカ人を捕まえて懲役刑にしても助けに来るアメリカの政治家も現れないし、戦争をするぞ!と脅していたのに、韓国の大統領は平気な顔で外遊で出かけて国を空けてしまうんですから、何とも格好がつかないですね。仕方がないのでサッカーの試合を見物しているようですが、国内に説明がつかないですね。

シリアの方は政府軍・反政府軍ともサリンを使っているなどという噂が出てきて、いよいよ早くケリをつけなければという中、イスラエルがシリアを爆撃するという形でいきなり参入してきました。これで一気に決着がつくんでしょうか。

アメリカやヨーロッパが身動き取れないので、代打で登場したということでしょうか。

いずれにしても早くけりがつくと良いですね。

TPP

月曜日, 4月 22nd, 2013

TPPへの日本の交渉参加、ほぼ了解が取れたようですね。マスコミではもう決まったように書いてありますが、まだアメリカの議会の了解が終わっていませんから、まだ「ほぼ」の状況です。

しばらく前、アメリカ政府との交渉で日本が一方的に譲歩させられた・・みたいな話もありましたが、私はこの交渉は大成功だと思っています。いかにもTPPに参加すると貿易の完全自由化を押し付けられるかのような話だったのが、この交渉の結果、アメリカもなりふり構わず自由化には反するいろいろな条件を主張してきた、ということがはっきりしましたから、これは日本が今後本格的に交渉に参加するにあたり、準備作業を進めるにはかなり役に立ちそうです。

保険ではかんぼ生命のがん保険に待ったがかけられた、ということですが、大した話ではありません。かんぽ生命が完全に普通の民間会社になることはなさそうですから、である以上、いろんな条件がつくことは当然の話でしょう。

日本のマスコミの報道では、日本がアメリカを初めとする他の国にいろいろ注文をつけられるという雰囲気になりますが、他の参加国としてはむしろ日本と協力してアメリカに対していろいろ注文をつけたいということでしょうし、さらにはこの交渉を通してTPPに参加していない中国や韓国にも影響を与えたいということでしょう。それを踏まえて、日本も自由にいろんな国と協力して交渉すれば良いんだと思います。

7月に日本が参加しても交渉が終わるまで時間がないから何もできない、なんていう話もありますが、日本が正式に参加することになったら、必要だったらその交渉のスケジュールも変更すれば良いだけです。別に誰かに命じられて交渉しているわけではなく交渉の当事者が全員集まって協議するわけですから、スケジュールにしても交渉のやり方にしても、参加者全員で話し合って必要に応じて変更すれば良いだけの話です。

日本では会議のルールやスケジュールを一旦決めるとその通りにしなければならないという雰囲気になりますが、アメリカやヨーロッパの国が参加する会議では、かなり好き勝手にルールやスケジュールを途中で変更しています。日本もそろそろこのような協議の進め方に慣れる必要があるんでしょうね。

キプロスはドイツより金持ち?

火曜日, 4月 16th, 2013

今日(4月16日)の日経新聞の朝刊8ページに面白い記事が出ています。
「ドイツ人の資産が少ないワケ、国で違うユーロの価値」という見出しの、フィナンシャルタイムズ(FT)の記事の翻訳です。

この記事の内容は、【欧州中央銀行(ECB)の調査によると、世帯あたり純資産の平均は、ドイツ20万ユーロ弱、スペイン30万ユーロ、キプロス67万ユーロだ。】
ということです。【平均でなく中央値で見ると、ドイツ5万1千ユーロ・キプロス26万7千ユーロ】で、5倍も違うということです。

この数字だけ見るとお金持ちのキプロスを貧乏なドイツが助ける理由はないということになり、既にドイツではそういう議論が始まっているようですが、FTの記事はこの差はドイツのユーロ・スペインのユーロ・キプロスのユーロで、国によりユーロの価値が違うんだと言っています。

通貨統合で同じ貨幣を使っていて、EU内では国境がなく自由に移動ができるようになっていますから、これもおかしな話です。

で、FTの元の記事を確認してみたのですが(記事は購読者じゃなければ読めないようになっていますが、今はサービスで無料で購買者になれる、とのことで、購読申込をしたら見ることができました)、日経の記事はかなり端折ってはあるものの、大筋はほぼ妥当な翻訳になっていました。

で、事の起こりはECBが今月100ページ余りの調査レポートを発表し、その中でこれらの数字が発表されているということのようです(レポートの76ページに表があります)。

その後Forbesで「キプロスはドイツより金持ちじゃない」”Seriously, Cyprus is not richer than Germany″という記事が出て(この記事は普通にネットで読めます)、それによるとこのECBのレポートの純資産には公的年金・企業年金が入っていないので、見た目ドイツの方が貧乏に見えるけれど、これらの年金を入れればドイツの方が遥かに金持ちになるはずだと解説してくれています。

このForbesの記事にはこのFTの記事へのリンクもECBのレポートへのリンクも出ているので、簡単に読めます(ただしFTの記事を読むには購読の手続きが必要ですが。日本のマスコミの記事もこのようにリンクをちゃんとはっておいてくれるとうれしいんですが)。

ということで、統計の読み方、解釈の仕方の面白いサンプルとして、またこのFTの記事の解釈の面白さ、そしてドイツの「キプロスの方が金持ちなんだから助ける必要はない」という議論はこれからも話題になるかもしれないと思い、なにより『ドイツ人よりキプロス人の方がはるかに金持ちだ』と解釈できる統計データがある、ということで、紹介します。

キプロス

月曜日, 4月 15th, 2013

キプロスの状況の報道が止まってしまいましたね。
今どうなっているんでしょうか。

私の考えでは、お金がなくなると小口のやりとりはまずはツケで買物ができるようになり、大口のやりとりは信用できる大きな会社が手形や小切手を振出してそれが紙幣の代わりに流通する、というくらいのものですが、現状どうなっているか、興味があります。

ユーロ危機も関心ありますが、現金がなくなった社会がどのように動いているのかも知りたいですね。

こんなことをちゃんと報道してくれるマスコミがあると嬉しいのですが。

R

月曜日, 4月 8th, 2013

友人に『R』について質問されて解答したのですが、そういえば『R』に関してブログに書こうと思っていて、そのままになっていたことを思い出しました。

『R』というのは統計処理のためのフリーソフトで、高度な統計処理が簡単にできるということで、ある種デファクトスタンダードになっているようなソフトウェアです。

で、これは統計処理ソフトと呼ばれることが多く、統計処理のための強力なルールが用意されているのは確かなんですが、実はこれだけじゃない、強力な機能を併せ持つソフトウェアです。

プログラム言語なんていわれることもあり確かにプログラムを組んだりもするんですが、これ自体はプログラム言語というよりは計算環境と言った方が良いものです。計算式を書いてその結果を確認し、また次の計算式を書いたり、前の計算式の一部を書き換えて計算させたりということが自由にできる、データのメモリーも計算式のメモリーもたっぷり持った、関数電卓みたいなものです。

で、統計処理のツールについては販売されているソフトにもひけを取らないくらいの機能を持っているので、統計処理ツールとなっているんですが、それだけじゃありません。

まずこれはベクトル計算機だという性格があります。通常の計算機やプログラムでは一つ一つの数が単位で、一つ一つの数を定数や変数にしていろいろ計算するのですが、『R』はその計算の単位が数列です(『R』ではこれをベクトルとよんでいます)。

ですから数列から数列を計算する、というのが計算式になります。

生命保険の保険数学では死亡率にしても生存数・死亡数、あるいは計算基数とよばれているもの、たいてい年齢別の数値で年齢別に並べてやると数列になります。ですから死亡率という数列から生存数・死亡数という数列を計算したり、それから計算基数という数列を計算したりするのが簡単にできます。通常は年齢に関してforループを使って計算するとか、Excelなんかだったら1つのセルに計算式を入れて、それを年齢分コピーして計算する、なんてのが一つの計算式で書けてしまいます。

もう一つの強力な機能がグラフ機能です。高度なグラフが自由に描け、そのグラフをファイル出力してExcel・Word・PowerPoint等に自由に貼り付けることができます。

Excelなどでグラフを描くといろんなパラメータをいじくるところがかなり面倒くさく、しかも後からどんなパラメータをどのようにセットしたか調べるのもやっかいです。『R』だといろんなパラメータは式の形でセットするので、その式のテキストを見れば何がどのように設定されているかすぐわかるし、一部を変更してグラフを描き直すというのも簡単にできます。

<R>で検索すればいくらでも紹介用のサイトがみつかるし、インストールも簡単にできます。興味があったら、いじってみてはいかがでしょう。

北朝鮮

木曜日, 4月 4th, 2013

北朝鮮、またまた騒々しいですね。

今度はいよいよ中国にもそっぽを向かれてしまったようで、なおさらアメリカに自分の方を向いてもらおうと必死の様子です。

でも北朝鮮が誰かの注目を集められるのは軍事的な動きしかなく、その軍事的な動きで北朝鮮としてはオバマさんに声を掛けてもらいたいのに、今の所うまく行っていないようです。むしろ動いてもらいたくない米軍の方に動きが出てきてしまって、困っているようです。

軍隊というのは多少でも戦争になる可能性があるなら対抗する体制をとらなきゃならないので、米軍や韓国軍が対戦の準備をするのは当然の話なのですが、北朝鮮は本気で戦争しようとは思っていないでしょうから、これは困った状況ですね。

金正日の時代はこのあたり慎重にやって、アメリカの軍ではなく政治家の注目を引くことができましたが、金正恩はまだ若いからでしょうか、ストレートに米軍の注意を引いてしまったようです。

事態がここまでエスカレートすると、いつどこでひょっとして火がついてしまうかも知れません。でもそれはもしかするとアメリカにとっては嬉しい話なのかも知れません。

韓国は、仮に北朝鮮から攻撃を受けたら、ヨンピョン島の時にようにその攻撃元に対して反撃するだけじゃなく、今度はその攻撃を指示した場所も攻撃する、と言っています。そこが反撃したらさらにその上を攻撃するということになります。いずれにしても北朝鮮はそれほど長く戦争を続けることはできそうもありませんから、アメリカがその気になればアッという間に終わってしまうでしょう。

今オバマさんは予算のこととか債務上限のこととか、民主党と共和党のねじれでニッチもサッチもいかない状況です。さらに戦争が嫌いな「弱腰の大統領」と言われています。ここで北朝鮮で戦争が始まればアッという間にアメリカの勝利で終わり、盛り上がったアメリカ人の愛国心でこれらの問題は一気に解決してしまうでしょう。

ブッシュのアメリカがやったアフガニスタンやイラクの戦争は、戦争には勝ったもののその後始末で泥沼に入ったようなもので今だに苦労しているのですが、北朝鮮との戦争であれば、イスラムの過激派やテロリストが登場することはありません。後始末のためのお金は北朝鮮のすぐ近くに、使いきれないお金を持って使いみちを探している日本がありますから、いくらでもそこからお金を引き出すことができそうですし、そうなったら韓国も中国もロシアも負けじとばかりにお金を出すでしょう。ヨーロッパは北朝鮮からは遠いし、今ユーロ危機で大変ですから、わざわざ余計な口出しもしないでしょう。

このように考えると、アメリカにとっては北朝鮮がちょっときっかけを作ってくれるのが最も嬉しいでしょうね。真珠湾の時もそうですが、そういうふうに相手が先に手を出すように追い詰めるというのは、アメリカは得意です。いよいよ金正恩はニッチもサッチもいかないのかも知れません。

キプロスの銀行・・・続き

火曜日, 3月 26th, 2013

キプロスの銀行、いよいよ正念場ですね。

どうなるか気になって、昨日(3月25日)は1日ネットでニュースを見ていたのですが、日本のニュースのサイトでは細かい所がはっきりしないので、仕方なく久しぶりに英文で検索してしまいました。

やはりさすがにFinancial Timesの記事とロイター(英文)の記事がしっかり細かい所まで書いてあり、ようやく全体像がわかりました。

念のためにここにまとめておきます。

  1. キプロスにはいくつかの銀行があって、一番大きいのがキプロス銀行、二番目がキプロス国民銀行(別名ライキ銀行)と言い、とりあえずこの二つの銀行の預金者が問題となるようです(他の銀行も当面窓口が閉まっているので関係ないというわけではありませんが)。
  2. 二番目に大きいライキ銀行の預金のうち、10万ユーロ(1,000万円相当)より小さい額の預金は全額保護されるので、その預金はキプロス銀行に移される。
  3. ライキ銀行はすでにユーロシステムから90億ユーロの支援を受けているけれど、その支援はキプロス銀行に引継がれる。
  4. ライキ銀行の10万ユーロを超える額の預金はライキ銀行に残り、ライキ銀行は破綻処理される。その破たん処理で株主とライキ銀行の債券の持ち主は、株や債券がゼロになる。残った預金者は預金の額が1/3程度減額されることになる。
  5. キプロス銀行の方では預金の額が10万ユーロまでの預金については全額保護される。10万ユーロを超える預金については、預金の一部が強制的にキプロス銀行の株に転換させられることにより、負担を強制される。
  6. 当初18日以来、全ての銀行の窓口は閉ざされていて26日から開く予定だったけれど、それを最初は「キプロス銀行とライキ銀行だけは28日から開き、残りの銀行は26日から開く」と一旦発表したもののその後すぐ変更して、「全ての銀行が28日から開く」ということになった。すなわち27日まで全ての銀行が閉まったままということになる。

ということです。ライキ銀行というのはすでに殆ど国有化されているようなので、株主というのもキプロスの政府ということになるようです。またこのスキームで得られるEUからの100億ユーロの支援というのは「Loan」と書いてありますから「借金」で、いずれは返さなくてはならないお金のようです。

キプロスというのはEUに入り、金融立国で生きていこうとした国で、他にこれといって産業らしいものはないのですが、その金融がこんなことになってそんな借金が返せるとも思えないのですが、当面そのことについては誰も何も言わないということになっているんでしょうか。

以上が日曜の夕方から始まって月曜の朝まで続いた議論の結果ですが、驚いたのはこれで問題が解決したとばかりにヨーロッパやアメリカの株が上ったり、ユーロ高・円安になったことです。

こんなのは何の解決にもなっていないで、単に先週末キプロスの国会の否決でダメになった案の代替案ができたというだけで、実際それが機能するかどうかは銀行の窓口が開いてからの話だと思っていたのでびっくりしました。

さすがにその後マーケットの皆さんも思い直したようで、株が下がり、為替もユーロ安・円高になっています。この為替の乱高下、往復とも上手く乗れればかなりの儲けになったでしょうね。

さらにやっかいなことに、この解決策を決めたユーロ圏の財相会議の議長が「今後はこれが同様のケースのモデルとなる」と言ったようです。すなわち銀行が危なっかしくなった時、これまではその銀行のある国が何とか面倒を見る。そのために必要なお金をEUがその国に用立てるということだったのですが、今後は銀行の問題は預金者の負担で何とかするということです。何でこの時点でこんなことを言うんだろうと思いますが、もう言っちゃったことはどうにもなりません。キプロス以外の国々でも、危なっかしい国や危なっかしい銀行では預金の引き出しが始まるかも知れません。

いずれにしても28日に無事にキプロスの銀行が窓口を開けることができるかどうか、そこに殺到する預金者が満足できる額の預金を引き出すことができるか、その時取り付け騒ぎにならないか、まだまだ安心できるわけではありません。

こんな状況で3月末決算の会社は決算期末を迎えることになります。決算の担当者は大変ですね。

日銀総裁の交代

金曜日, 3月 22nd, 2013

日銀総裁が白川さんから黒田さんに交代しました。
マスコミなどでは白川さんはちゃんと仕事をしなかったけれど今度の黒田さんはしっかりやってくれそうで、デフレも終わるんじゃないかという期待感がありますが、私の感想とは大分違いますね。

白川さんというのは総裁になった時、他の候補者が国会の同意で揉めて想定外のピンチヒッターのような形で選ばれたのですが、それまで日銀の中では実務家というよりは学者のような仕事をしていた人なので総裁の仕事がちゃんとできるか心配されたのですが、実際総裁になってみたら素晴らしい仕事の仕方で安心感が持てました。

いつまでたっても景気が良くならなかったじゃないかという批判もありますが、景気を良くすることは日銀の仕事じゃないですし、景気を良くしなきゃいけない立場の政府のやったことが景気を良くするのに全く失敗した、というのが現実です。その中で、大きな事件が次々に起こる中で一つも銀行がおかしくならなかったんだから白川さんはちゃんと仕事をした、ということです。

今黒田さんが新しい総裁になってかなり期待が膨らんでいますが、日銀総裁がそう簡単に景気を良くしたり悪くしたりできるわけがありません。できるのはたまたま景気が良くなる時に、そこに日銀総裁として居合わせるかどうか、というだけのことです。

その意味では安倍さんも同様ですが、たまたま今「アベノミクス」ということで景気が良くなる場面に安倍さんも居合わせる巡り合わせになったし、黒田さんもそうだ、というだけのことです。

でもたまたたまそこに、その立場に居合わせるということ自体「運も実力のうち」という考え方からすると、その人の実力だということになりますから、その意味で安倍さんや黒田さんに期待するというのもアリなんでしょうね。

誰かスーパーマンのような人が現れていろんな問題をたちどころに解決してくれて景気を良くしてくれるという話の方が単純明快、わかりやすいし、そう考えた方が安心できますからマスコミもそう宣伝するし、それを見聞きする方もそれを受け入れたがるんでしょうね。

マスコミの人気に煽られて黒田さんがとんでもないことをやり過ぎないように、と思いますが、黒田さんというのも多分頭のいい人なのでたいしたことにはならないと思います。