Archive for 6月 11th, 2013

ケインズ・・・16回目

火曜日, 6月 11th, 2013

さてケインズは「一般理論」のまとめを書いた後、まずは再び古典派の議論をやっつけに行きます。

「一般理論」の頭の所で古典派をやっつけた時はたいした武器も持っていなかったので、賃金と雇用の関係についてだけ議論し、賃金を下げれば雇用は(失業がなくなるまで)いくらでも増やせるというのはおかしいじゃないか、と言っていたのですが、今度はもう「一般理論」の議論の枠組みがあります。

賃金が下がれば消費が下がり、所得も下がって雇用も減ってしまうじゃないかという議論で、改めて古典派の議論をコテンパンにしています。19章の付論の『ピグー教授の「失業の理論」』というところで、
【これまで長々とピグー教授の失業理論を批判してきたが、それは何も彼が他の古典派経済学者以上に批判を受けてしるべきだからではなく、彼の試みが、私の知る限り、古典派の失業理論を正確に記述しようとした唯一の例だと思われるからである。】
と書いてあります。こんなのを読むと、他の古典派の先生方は何をしていたんだろうと思ってしまいます。

そしてケインズは
【要するに古典派理論がその最も強靭な表現を見たこの理論に対して反論を提出しておくことは、私に課せられた責務であったのだ。】
と締めくくっています。

これで終わってしまっては古典派に文句をつけただけになってしまいますので、次の20章「雇用関数」という所で、ケインズはケインズ流の「雇用はどのように決まるか」という理論を展開します。ここはかなり数式(それも差分の式だったり微分の式だったりします)が多いので、面倒くさいかも知れません。

でもいかにもケインズらしく、何らかの原因で需要が増えた時、まずは在庫品がはけ、次に生産設備に余裕がある所で雇用が増え、次に新規の設備投資のために雇用が増え、新しい設備を動かすのに雇用が増えるというダイナミックなプロセスを見ながら、企業や労働者が時に思い違いをしたり、過度な期待をしたり失望したりしながら変化していく様をしっかり捉えています。

最後にインフレとデフレについて、これは単なる逆向きの現象ではなく非対称であることについて
【完全雇用に必要とされる水準以下への有効需要の収縮は、物価とともに雇用を低下させるのに対し、この水準を超える有効需要の拡大は、物価に影響を及ぼすだけだ。】
とか、
【労働者は賃金が低すぎるときは働くことを拒否することができるが、賃金が高いときに雇用を(企業に)強制することはできない。】
とか、面白いことを言っています。

ケータイとスマホ

火曜日, 6月 11th, 2013

図書館の新しく入った本コーナーに、「しくみ図解 通信技術が一番わかる」という本があったので、借りてきました。

この手の、ごく大雑把ではあるけれどちょっと技術的な簡単な説明をしてくれる本はなかなか重宝しています。

で、この本は「通信技術」というより「通信のしくみ」というような感じで、携帯電話・無線通信・有線通信・テレビ放送等がどのような仕組みで行なわれているのか、簡単に解説してあります。

この本でケータイとスマホの何が違うのか、という所が良くわかったので紹介します。

ケータイというのは「携帯電話」という独自のネットワークの中での通話サービスで、日本でとてつもなく高度に発展してしまった結果、他の国はついて来ることができず競争をあきらめてしまったものということです。

その代わりに他の国では、PCの無線LANによるインターネット接続を進化させ「スマホ」というものを作り上げたということのようです。

ですからケータイもスマホも「電話もできるしインターネットもメールもできる」と言いながら、その仕組みはまるで異なっているということです。

ケータイは携帯電話のネットワークにつながって機能し、そのネットワークの中からインターネットのネットワークにつながることにより、インターネットやメールを使うことができます。

これに対してスマホの方は最初からPCのインターネットへの無線LANによる接続を小型化したもので、インターネットもメールも最初からつながっていて、電話はインターネットのIP電話の機能を使っているんだ、ということです。

この話でようやくケータイとスマホの間のギャップが良く理解できました。スマホはケータイの進化形ではなくPCの進化形で、ケータイと同じようなことが色々できるように工夫したものでしかないということです。で、AppleはPCの会社なので、ケータイは作れないけどi-Phoneは作れるということですね。i-Phoneもi-PadもどちらもPCだからよく似てる、ということですね。

私はケータイもほとんど通話専用で、スマホというのは電話もできる高性能ゲーム機だと思っていますから、これでなおさら安心してケータイが使える限りはスマホに移る必要はなさそうだなと考えています。