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芦部さんの憲法 その12

木曜日, 11月 28th, 2013

さて前回は、憲法は国民の基本的人権の誰による侵害を規制するのか、という話をしました。

規制する相手が国だけであれば、基本的人権を侵害する国が悪いということで簡単なのですが、規制する相手に国民も入っているとなるとちょっと面倒です。

すなわちある国民の基本的人権が別のある国民の基本的人権を侵害する時どうしたら良いか、という話になるからです。

このような時にどうしたら良いかなんてことは憲法には書いてありませんから、ここは法律家が頑張ってあーでもないこーでもないという議論を展開することになるわけです。要は「常識的判断で決める」ということになるのですが、そう言ってしまっては有難味がないので、いかにも論理的にみえるように様々な言葉を作り出して論理的な結論であるかのように結論を持ち出します。

このあたりについては、前々回の「芦部さんの憲法 その10」で書いたとおりです。

このようなケースについて、国民の基本的人権は憲法だけではなく法律によっても守られているため、時としてこの国民の基本的人権同士の衝突が、その衝突を引き起こしている法律の憲法違反という問題になります。すなわちある人の基本的人権がある法律によって守られている。しかしそれが別のある人の基本的人権を侵害している時は、その法律が憲法違反ではないか、という議論になるわけです。別のある人の基本的人権も、別のある法律で守られているとすると、その法律どうしがぶつかり合うわけなので、どっちの法律が憲法違反なのか、という議論になります。

このあたり、常識的判断がいくらでも幅があり得るので、具体的な話となるといくらでも議論のもとになります。

このあたりでもうメンドクサイので全て端折って、次回からはもう少し現実的な「国の統治機構の話」に入ろうと思います。すなわち、国会・内閣・裁判所、といった話です。