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憲法審査会のビデオ

水曜日, 6月 10th, 2015

衆議院の憲法審査会のビデオを見てみました。

http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=44973&media_type=

例の、憲法学者の3人が与党の安保法制を憲法違反だ、と言った、と言って話題の憲法審査会です。

2時間半とちょっと長めのビデオですが、途中コマーシャルが入るわけでもなく、また国会のいろんな委員会の中継のように野次や怒号があるわけでもなく、落ち着いて楽しめます。

憲法学者に対して国会議員は『先生』と呼び、憲法学者は国会議員に対して『先生』と呼び、もちろん学者同士も相手を『先生』と呼び、憲法学者は質問されると質問した国会議員に対して『ありがとうございます』と言い、議員は質問に答えてもらうと憲法学者に対して『ありがとうございます』と言い、静かな雰囲気で淡々と質疑が進みます。

話題の、憲法学者の3人が与党の安保法制を憲法違反だ、と言った場面でも別に騒ぎが起きるわけでもなく静かに淡々と質疑が続いています。

もともとこの憲法審査会は『立憲主義』と『憲法審査権』『憲法裁判所』をテーマにしたもので、安保法制が合憲か違憲かをテーマとしたものではありません。

それで、3人の憲法学者はその本来のテーマに従って持論を展開して説明しているわけですが、議員の質問に移ってから、民主党の議員が安保法制が合憲か違憲かについての見解を質問してしまったので、話がおかしな方向に向かってしまった、ということです。

最初の部分の『立憲主義』のあたりも、憲法学者がいかにとんでもない議論を真面目に展開するのか知るために見る価値があると思います。

民主党推薦の小林さんという先生はとことん改憲主義者のようで、憲法9条が諸悪の根源で、何が何でも憲法9条を改正することが重要だ、という、いわゆる護憲派の人々が聞いたら涙を流すようなことを主張しています。

この小林先生という人はなかなか面白い人で、憲法に関して本質的なことを平然と説明しています。例えば、法律にはそれに違反したときに罰則や刑罰が定められていて、行政や司法がその後ろ盾になっているんだけれど、憲法は法律を超えた最高法規なので、後ろ盾になる存在はない、誰か(例えば政府)が憲法違反をしたとしても、その憲法違反をとがめ立ててやめさせる力を持った存在はない、その場合は国民主権の投票行動によってそのような政府を変えるしかない、というようなことを平然と説明します。
国際法についても、国際法の世界は戦国時代のようなもので、何が国際法に適っていて何が国際法に違反しているのか最終的な判断をする権限のある存在はない、というようなことを平然と主張しています。

民主党の議員が質問しているのは、ビデオの右下の全部で1時間48分と表示されているところで1時間35分経過、と表示されているあたりですから、時間がない人はここのところだけ見てみても面白いと思います。質問している民主党の議員の隣には辻元さんも映っています。憲法学者たちが3人そろって憲法違反だ、と言ったところでは画面は憲法学者たちを映していて辻元さんがどんな表情をしていたのかは映っていませんが。

とにかく、楽しめるビデオで、お勧めです。