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アフラックの『給与サポート保険(就労所得保障保険)』

木曜日, 8月 4th, 2016

ライフネット生命は株式を公開しているので、ライフネット生命の投資家向けの掲示板がネット上にあります(ライフネットのサイトとは別の、yahooのサイトです)。

投資家がどんな事を考えているのか知るためにこのサイトを見るようになり、なかなか楽しいのですが、近ごろ『働く人への保険2(就業不能保険(2016))』が話題になりました。これはアフラックが『給与サポート保険(就労所得保障保険)』を発売することになり、ライフネットの商品と直接バッティングしてしまうということからです。

で、商品の優劣比較の話から、保障内容の違いの話になりました。

成り行きで私もライフネット生命①『働く人への保険(就業不能保険)』、その改良型の②『働く人への保険2(就業不能保険(2016))』、アフラックの③『給与サポート保険(就労所得保障保険)』の3つについて約款を読んで、簡単にコメントしました。

ライフネット生命の①『働く人への保険(就業不能保険)』は被保険者が『就業不能状態』になり、その状態が180日を超えている場合に給付金を払います。その『就業不能状態』というのは『入院または在宅療養しており、少なくとも6ヵ月以上いかなる職業においても全く就業ができないと医学的見地から判断される状態』と定義されています。

次にその改良型の②『働く人への保険2(就業不能保険(2016))』では被保険者が『就業不能状態』になり、その状態が支払い対象外期間を超えている場合に給付金を払います。この商品では『就業不能状態』は『入院または自宅等で在宅療養している状態』と定義されています。
ここで在宅療養については、『軽労働または座業ができる場合は在宅療養をしているとは言いません』という注がついています。

最後にアフラックの③『給与サポート保険(就労所得保障保険)』では、被保険者が『就労困難状態』に該当し、それが60日継続した場合に給付金を支払います。この『就労困難状態』とは、『入院・在宅療養あるいは国民年金法に定める障害等級1級または2級を含む所定の障害状態に該当した場合』と定義しています。

ライフネット生命の①『働く人への保険(就業不能保険)』の『少なくとも6ヵ月以上いかなる職業においても全く就業ができないと医学的見地から判断される状態』というのは、医学的見地から何をどうやって判断するんだろう、そんな診断を求められたお医者さんは困るだろうな、ライフネットは何らかのガイドラインなりマニュアルなりを用意してお医者さんに提供しているんだろうか、と思います。

ライフネット生命の次の②『働く人への保険2(就業不能保険(2016))』では、診断の内容はかなり分かりやすくなっていますが、それでも『軽作業または座業』ができるかどうか、というのはどうやって見極めるんだろう、と思ってしまいます。『できる』というのは実際にやってみれば良いので判定しやすいですが、『できない』というのはなかなか判定が難しそうだなと思います。

その点アフラックの③『給与サポート保険(就労所得保障保険)』ではそのような判断は不要で、入院しているか自宅等で在宅療養しているか、あるいは具体的に列挙されている障害状態に該当するかどうかの確認ですから、お医者さんも気が楽です。

そこであとは働ける、あるいは働いている時でも給付金が支払われるのかどうか、ということになります。

ライフネット生命の①『働く人への保険(就業不能保険)』では明確に『いかなる職業においても全く就労ができない』となっているので、働ける、あるいは働いている場合は給付金が支払われないことは明らかです。

そこであとはライフネット生命の②『働く人への保険2(就業不能保険(2016))』と、アフラックの③『給与サポート保険(就労所得保障保険)』ですが、どちらも入院については例によって『治療に専念している』という条件が付いています。これを『治療に専念していれば働いていても給付対象になる』と考えることもできるし、『働いているんなら治療に専念しているとは言えないから給付対象にはならない』と考えることもできます。

自宅等での療養については、ライフネット生命の②『働く人への保険2(就業不能保険(2016))』では『軽労働または座業ができる場合は在宅療養をしているとは言いません』という注により、働ける・働いている時は給付の対象にはならないんだろうな、と思います。アフラックの③『給与サポート保険(就労所得保障保険)』ではこれまた『治療に専念し』という文字がついているので、入院の時と同じような問題になります。

最後にアフラックの③『給与サポート保険(就労所得保障保険)』の障害状態については、その障害状態に該当するかどうかだけが要件になるので、働けるか働いているかにはかかわりなく給付金は支払われることになります。

とまあ、だいだいこんなことをコメントした所、その掲示板の参加者から、これらの保険は『働けない時の保険』なんだから、働ける時・働いている時に給付金が支払われるわけがないじゃないか、という投稿がありました。

私としては約款を読むとこういう解釈になる、という話をしたのですが、その人はアフラックのコールセンターに電話して確認したんだ、と言っているので、先日アフラックのコールセンターに電話して聞いてみました。すると驚いたことにコールセンターの担当者もその人と同じように『この保険は『働けない時の保険だから、働ける時・働いている時は給付金は支払われません』という答えでした。

約款の『就労困難状態』の定義には、働けるとか働いているとかの条件は付いてませんよ、といくら言っても答えは変わりません。ちゃんと確認してくれと言うと、しばらく待たされて『確認しました』と言って、答は変わりません。

何度か繰り返し確認して分かったのは、『就労困難状態』というのは『就労が困難な状態』だから働ける・働いているという状態は『就労困難状態』ではない、という話です。

『就労困難状態』というのは『就労が困難な状態』ではなく、約款に列挙してある状態のことではないんですか、と言っても、答は『就労困難状態』というのは『就労が困難な状態であって、約款に列挙してある状態ということだ』という答えです。

これ以上は話をしてもラチがあかないので、アフラックの商品担当の人に確認したのかと聞くと、コールセンターで受けた電話なのでコールセンターの中のこの保険に詳しい人に確認した、商品担当の人には確認しないという答。商品担当の人と話をしたいと言っても、コールセンターで受けた電話なので商品担当の人につなぐことはできないという答。商品担当の人に電話したいと言っても、コールセンターで受けた電話なので商品担当の部署の電話番号は教えられない、という回答でした。

コールセンターの担当者としては首尾一貫した見事な対応です。話がなかなか進まないで私がちょっときつい言い方をした時も、あくまで丁寧な受け答えで素晴らしい対応でした。

ということで、コールセンターのあまりの素晴らしい対応の結果、アフラックの商品部門に直接の知り合いのいない私としては、ニッチもサッチも行かなくなってしまって、仕方なくこのブログに書くことにしました。

この3つの約款は

  1. ライフネットの『働く人への保険(就業不能保険)』
    https://www.lifenet-seimei.co.jp/shared/pdf/LIFENET_policy_201412_1000.pdf
  2. ライフネットの『働く人への保険2(就業不能保険(2016))』
    http://www.lifenet-seimei.co.jp/shared/pdf/LIFENET_policy_201606_1000.pdf
  3. アフラックの『給与サポート保険(就労所得保障保険)』
    http://www.aflac.co.jp/yakkan/pdf/kyuyo_77875700.pdf

で、pdfファイルが入手できます。

興味がある人は、夏の夜の暑気払いを兼ねて気分転換にこの約款を見て、私の解釈とアフラックのコールセンターの回答のどちらが正しいか、考えてみて下さい。

もし私の解釈が正しくてアフラックのコールセンターが私に対して行ったと同じ説明をしているとすると、これは将来的に給付金不払い問題の原因となるかも知れません。

もしアフラックのコールセンターの答が正しいのだとすると、アフラックの約款の規定がちょっと不備だ、ということになるんではないか、と思います。

もしこのブログの読者の中でアフラックの商品関係の部署に知り合いのいる人がいたら、アフラックの商品部門の見解を聞いて私にお知らせ頂けると有難いです。

インターネットの世界では知り合いの知り合いの知り合いの・・・と、何段階かすると殆ど全世界の人とつながれるという話ですから、うまく行けばこのブログの記事もアフラックに到着し、何らかの納得できる説明が聞けるかも知れません。

なお、厄介なことに、最初に紹介した掲示板では参加者のうちの何人かが同様にアフラックのコールセンターに照会の電話をしていて、ある人は『働けるなら給付金は支払われない』という回答を得ており、ある人は『障害等級1級または2級で給付金が支払われる場合は、働けるかどうか、働いているかどうかに関わりなく支払われる』という回答を得ており、ある人は最初は『支払われない』という回答だったのが、本当にそうか確認してくれと言ったら『確認の結果支払われないと言ったのは間違いで、支払われます』という回答を得ている、と投稿されています。