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コップの中の水の話

金曜日, 3月 4th, 2011

世の中生々しい話ばかりで騒然としていますので、たまにはまるで生々しくない話など一つ。

目の前にコップがあります。コップ1杯の水の量は、だいたい180cc。昔の1合です。これは缶コーヒーの1本分もだいたいその位です。
この水を太平洋に流して、太平洋の水をぐるぐるかき混ぜてよく混ぜ合わせた所で、その中から同じ180ccの海水をコップに戻したとします。
このコップの中には最初のコップの中にあった水の分子が何個くらいあるでしょうか。

これはコップの中の水180ccの分子の数と太平洋の全体の海水の量がわかれば、簡単な比例計算で計算できます。
計算を省略して答だけを言うと、元と同じ水の分子は約1,500個ということになります。ちょっと大きめのグラスで200ccの水で計算すると、1,900個になります。

これはたまたまある本を読んでいてこの計算が書いてあったのでナルホドと感心したんですが、言われるまでこんなことは考えてもいませんでした。
この問題は、コップの水を海に流して海を掻き混ぜてから汲み直すと考えなくても、たとえば水を飲んでしまってその後十分な時間をかけてから海水を汲む。海水を汲まなくても、それが蒸発して雨になって水道水になったものと考えても同じことです。海水をかき混ぜない分、元と同じ水の分子の数は多くなると思います。

このように考えると、たとえば織田信長が本能寺で殺される前の晩に飲んだ1合のお酒の中に入っていた水の分子の1,500個分が、今私が飲んでいる180ccのコップの水の中に入っているとか、クレオパトラがシーザーを誘惑しようとして飲んだ1合(エジプトでは何て言うんでしょうね)のお酒の中に入っていた水の分子1,500個分が、私が缶コーヒーを飲むたび私の中に入ってくると考えることができます。

人間は大体1回に2リットルの水分をとることになっているので、それから考えると、ある日ナポレオンが飲んだ水の分子少なくとも15,000個分が缶コーヒー1個の中に入っているという計算になります。

人が一生の間に飲む水の量は、2リットルの365倍の50から100倍くらいと考えると、今目の前にあるコップの中に秦の始皇帝が飲んだのと同じ水の分子が何千万個、坂本龍馬が飲んだのと同じ分子が何千万個、お釈迦様が飲んだのと同じ分子が何千万個、イエスキリストが飲んだのと同じ分子が何千万個入っているんだということになります。

そう考えると、「皆が皆同じ水の分子を飲み合っている」んだ、とちょっと嬉しくなりませんか?