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権丈先生のホームページ

火曜日, 7月 17th, 2012

このホームページの右上の方に、読者数のカウンターがあります。これが先週急に増えたのですが、気がついたでしょうか。

この記事の3つ前に「厚労省のレポート」というタイトルで、年金の被保険者・受給者の年収に関するレポートについて、コメントしました。
年金の話なので、ちょっと見てもらおうと思って権丈先生にメールを送ったところ、先生のホームページで紹介してくれるということになり、その結果こちらのブログの読者数が急増したというわけです。

権丈先生というのは知る人ぞ知る慶應大学の商学部の先生で、年金や医療などに関して何かあるとすぐに方々からお呼びがかかって辛口の正論を誰に向かってもぶつける、学者にしておくのは勿体無いくらいの本物の学者です。
で、この先生のホームページ(http://kenjoh.com/)ですが、数年前から楽しませてもらっています。もしまだ見たことのない人がいたら、是非のぞいて見て下さい。
あまりビジュアル的でもないし、小難しい議論の文章ばっかりなので、とっつきはあまり良くないですが、じっくり読むと中味はなかなか面白いです。

「勿凝学問(学問に凝るなかれ)」というタイトルで論文を連作して、これもその都度ホームページで公開してくれるのですが、これがまとまると「再分配政策の政治経済学」というタイトルのちゃんとしたシリーズ本になる、ということになっています。

で、この先生は雑誌に書いた記事とか、自分が参加した座談会等の記事をすぐにpdfにして、このホームページから読めるようにしています。著作権その他、こんなことをして良いのかなとも思うのですが、タダで読めるんですから、有難く読ませてもらっています。

そのホームページで7月10日と12日の間の記事で紹介された「年金実務2000号記念座談会 年金制度の過去・現在と未来」(http://news.fbc.keio.ac.jp/~kenjoh/work/20120711072227.pdf)という記事、これが素晴らしいのでお勧めします(全部で43ページもありますが、座談会なのでそれほど大量ということもありません。とはいえ中味は十分濃いので読み応えがあります)。

日本の公的年金制度の全体像について、特に近年話題となっているテーマについて、本当の専門家の議論です。
専門家同士の話ですから、かなりはしょっている部分もありますが、この議論全てについて何が議論されているのかが理解でき、話している内容が納得できたら、日本の公的年金制度についてちゃんと理解していると思って良いと思います。

何が議論されているかはわかるけれど話の内容が納得できないとか、何の話をしているのかわからないという部分があったら、そこの所を中心に勉強すると年金制度の理解に大いに役立つと思います。

その意味で「年金制度に関する理解度のチェックリスト」として、非常に有用だと思います。
特に若い人でこれから年金の勉強を始めようと思っている人には、是非お勧めします。

ここに登場する坂本さんというのは私とは別の人で、元厚生省のお役人のアクチュアリーで、頭のいい人ですから、この人の話と権丈先生の話はちょっと難しいかも知れませんが、その分十分噛み応えがあると思います。

権丈先生の天動説と地動説の話(年金の議論では若い学者が自信をもって天動説を主張するんだけれど、そのうち自分の誤りに気がついて地動説に宗旨替えしたり、年金の議論から身を引いたりする。その頃には次の若い人が天動説で颯爽と登場する、ということが繰り返し起こるということ)とか、共済年金の積立率が厚生年金より高いのは、過去においてそれだけ高い保険料を払ってきたからだ、なんてコメントは非常に面白いです。