Archive for the ‘時事雑感’ Category

ニュース

木曜日, 11月 14th, 2013

私は多分かなりニュースを見ている方だと思いますが、時折報道されないことについて報道してくれないかなあと思うことがあります。近頃では以下の2つです。

今年の春、キプロスの銀行危機でマスコミは大騒ぎしました。その後キプロスの日々の生活ではお金がほとんど使えなくなってしまったので、人々はどのように生活しているんだろうと思い、ずっと待っているのですが、そのあたりを報道してくれるニュースやドキュメントを見ていません。お金が使えなくなるというのは、日本の戦後の新円切り替えとかドイツの第一次大戦後のインフレとかいろいろあるのですが、現代の時代で具体的にどのようなことが起こっているのか、報道してもらいたいなぁと思っています。

もう一つは、シリアの情勢です。内戦が始まってからほぼ毎日のように、平均して1日に100人くらいが爆撃などで死んだというニュースが流れていたのが、化学兵器の問題で米ロが協議したり国連の調査団がシリア入りしたあたりからぱったり目にすることがなくなってしまいました。シリアではあいかわらず爆撃で人が死んでいるんだろうか、あるいは実質的にある意味休戦状態になっているんだろうか、と思っています。政府側と反政府側との戦闘より反政府側同士の戦闘のニュースも流れたりして、大分反政府側にゆとりが出ているのかなとも思いますが、いかんせん何もわかりません。

ほとんどのニュースは、思ってもないことを知らされてヘェーとなるのですが、時にはこのようにいつ知らされるんだろうと待っているニュースも楽しみです。

Under Control

金曜日, 9月 27th, 2013

2020年オリンピック東京招致の安倍さんのスピーチの原発事故のUnder Controlについて、反原発派の人は未だに安倍さんの大嘘だ!と騒いでいるようです。
私にとってはUnder Controlという表現について何の違和感もないのですが、色々考えていたらどうもこのUnder Controlという言葉の解釈の問題が大きいような気がしてきました。

たとえばデコボコ道で自動車を運転して走る時、車輪が穴に入って右に振れたり左に振れたりするのを、ハンドルをしっかり握って何とか進行方向に向けて走らせ続けるという状況を、私はUnder Controlと言うんだと思うのですが、反原発の人の解釈ではそんなふらふらした運転はUnder Controlではない、ということのようです。

あるいは飼犬が何かに興奮して大声で鳴き声を出し、今にも紐を引きちぎって行きそうであっても、しっかり紐を握って犬を放さないというのを私はUnder Controlと言うのだと思うのですが、反原発の人の解釈は、犬に対して「おとなしくしろ」と命じたら鳴くのをやめてお座りをするという状況がUnder Controlということのようです。

Under Controlの反対語はOut of Control、日本語で言えば「制御不能」ということになり、それはデコボコ道の例で言えば車が揺れて運転手が放り出されて誰もハンドルを握っていないとか、犬の話で言えばついに引き綱を振り切って犬がどこかにふっ飛んで行ってしまって、もう呼んでも帰ってこないという状況です。

福島の原発の事故では、一時はもうどうしようもなくなって全員逃げるしかないか、というような話もありましたが、実際は現場の人達が踏ん張って事故対応に当たり、今でも全ての問題が解決したわけではないけれど、また次々に思いがけない事故が出ては来ているものの、その都度十分対応することはできていますから、そういう意味では今までもずっとUnder Controlだったし、事故発生当時と比べると、今は遥かに確実にUnder Controlと言えると思います。

普通話をする時、自分の使っているこの言葉の意味はこれこれだ!なんてことはあまり言わないんですが、だからといってその話を聞く人が、自分にとってはその言葉の意味はこれこれだからあんたの言ってるのは嘘だ、なんて言ってみてもあまり実のある議論にはならないのになあ、と思います。

オバマさんのスピーチ

火曜日, 9月 17th, 2013

先週9月10日にアメリカのオバマ大統領はアメリカ国民に向けて、テレビでシリア問題についてスピーチしました。

この中にはロシアによるシリア政府の化学兵器廃棄のための話し合いに乗ることとか、シリアに対する軍事介入に関する議会の決議を延期することとかいろいろな内容があり、多くのマスコミはその方に焦点を当てて報道していましたが、毎日新聞は【米大統領「世界の警察官」否定】というタイトルで、

【オバマ米大統領はシリア問題に関する10日のテレビ演説で、「米国は世界の警察官ではないとの考えに同意する」と述べ、米国の歴代政権が担ってきた世界の安全保障に責任を負う役割は担わない考えを明確にした。】

と報道しました。
このオバマさんの発言について、いくらなんでもそんなことはないだろうと思って、直接そのスピーチを読んでみようと思いました。15分程度のスピーチだったようですがそれを聞いて全部理解するほどの英語力はないので、スピーチを文章に書き直したものを見つけて読んでみました。

私にとってオバマさんの演説を読むというのは、多分2回目のことだと思います。一度目は大統領になってすぐ、例の核兵器削減についてプラハでスピーチしたときのもので、核兵器をなくすためにアメリカ以外の国の核兵器を全部廃棄しアメリカが独占するという内容のもので、何という独善的な演説だろうと思っていたら、何とその内容が全世界的に支持され、ついにはノーベル平和賞まで貰うことになったのにはビックリしました。

で、このスピーチを読んでみると毎日新聞の報道がまるで逆だ、ということはすぐわかったのですが、それがわかった上で改めてもう一度読んでみると、何とも素晴らしいスピーチになっているなと思いました。しかしその後の報道を見ていると、どうも私が読んだのとはまるで違う解釈で報道されているようなので、私の解釈についてちょっとコメントしてみようと思いました。

まずは毎日新聞の間違いについてコメントします。
毎日新聞に書いてある「世界の警察官」という言葉は、このスピーチでは2箇所出てきます。

最初に出てくるのは2/3くらいの所、シリア問題に関していろんな人からいろんな質問や意見が寄せられていて、それに対して1つ1つ回答している所ですが、この「世界の警察官」の所は原文はこんな具合になっています。

 【何人かの人は私に手紙を寄越し、「我々は世界の警察官などになるべきではない」と言ってきた。その通りだ。私は今まで常に平和的な解決を重視してきた。それで過去2年半、私の政府は外交・制裁・警告・交渉を続けてきた。にも拘わらずアサド政権は化学兵器を使った。】

だからもう我慢できない・・・という文脈につながる文章です。世界の警察官なんかもうヤーメタ、なんていうのとはまるで違います。

もう1箇所「世界の警察官」が出てくるのは、スピーチの最後、締めくくりの部分です。この部分はこんな具合になっています。
【アメリカは世界の警察官ではない。世界ではひどいことが起きている。全部の悪を正すなんてことは我々の能力を超える。しかし多少の努力とリスクで子供達を毒ガスで殺されることから救い、それによって長い目で見て我々の子供達をより安全にすることができるのであれば、我々は行動すべきだ、と私は思う。それこそアメリカと他国との違いだ。それでこそアメリカは特別な国なのだ。】

というわけで、「世界の警察官をやめる」なんてことはまるで逆の「やるときはやるぞ」という、むしろ恫喝のようなスピーチです。

これが毎日新聞の記事に関連して確認した内容です。

ここで改めて、このオバマさんのスピーチ全体を見て、マスコミの記事との違いをコメントします。

まずは、ロシアが化学兵器をシリアに廃棄させると言い出して、アメリカはロシアにイニシアチブを取られた、ということですが、私の理解はまるで違います。ロシアは今まで表舞台には出てこないで安保理の陰に隠れ、必要なら常任理事国として拒否権を使う、という行動を取っていましたが、今回はいつのまにか表舞台に引っ張りだされ、自分がシリアを説得しなければならなくなってしまいました。そう簡単には引っ込みがつかないところに来てしまった、ということです。これでシリア説得に失敗して表舞台から引っ込むときは、ロシアがアサド政権を見捨てたということになりますから、身動きが取れなくなってしまいます。従来アメリカが常に表舞台をリードしてきてロシアや中国の反対で身動きが取れなくなった。それを今度はロシアが身をもって経験することになるわけです。

次に、オバマさんはアメリカ議会の承認を求めたため、賛成が得られそうもなく軍事行動に移れない、という話がありますが、これも私の解釈とは違います。

今回の演説で、オバマさんはアメリカ国民に直接語りかけています。そのアメリカ国民の声によって議会を動かそうとしているようです。演説を聞いた国民の声が国会議員に届いて、国会での議決に反映するまではチョット時間がかかるので、議会の裁決をすこし延期してくれと言ったのだと思います。

オバマさんは国民を動かすための仕掛けをいくつも演説の中に仕込んでいます。

毒ガスについて話すときは、第一次大戦で使われ大勢の兵士が殺されたが、その中にはアメリカの兵士も含まれていること(第一次大戦は主にヨーロッパで戦われたので、改めて「アメリカの兵士も殺された」と言うことに意味がある)、第二次大戦ではナチスによる大量殺戮に使われたこと(これによりユダヤ系のアメリカ人の怒りを喚起している)、子供の犠牲を強調していること、等がそれです。

議会について語る時、オバマさんは『大統領は軍のトップだから議会の承認がなくても戦争を始めることはできる。だけどあえて議会の承認を得ようとした。それは大統領と議会が一体となって戦争した方が有効だからだ』と言い、そこで自分は『世界でもっとも古い立憲的な民主主義国家の大統領だ』と言っています。アメリカはあまり歴史がなく、ヨーロッパの国々に対して劣等感を持っているようですが、確かに人権主義にもとづく憲法を作って民主主義の政治をしている国としては、世界で最初の国です。フランス革命でさえ、アメリカの独立戦争より後のことですから、こういう話を聞くとアメリカ国民は嬉しくなってしまうのかも知れません。

さらにオバマさんは、この10年、戦争をするという重大な決定は大統領に集中し、戦争による負担は実際に戦争をする国民の肩にかかっているにもかかわらず、国会の議員は安全な所で無責任な立場で好き勝手なことを言っている、と言っています。これはかなり効き目がありそうです。

さらに「世界の警察官」の所で、全ての悪人をとっつかまえるようなことはしないけれど極悪人は許さないぞと言い、それでこそアメリカが世界でも特別な国なんだ、ということで、アメリカの正義を強調しています。アメリカ人は『アメリカの正義』が大好きですから、これは効果的だと思います。

一般にはオバマさんが戦争をしようとしたのになかなか戦争を始めることができないでいるとか、かなり小規模な介入しかできないとか、否定的に報道されていることに関しては、オバマさんは次のように言っています。
【アメリカが全面的に前に出て他国の政権を倒した場合、その後の政権作りやその政権が安定するまでのサポートもしなくちゃならなくなる。だからアメリカはもはや政権を倒すような介入はしない(すなわち政権を弱らせる位の介入をして、政権を倒し、新しい体制を作るのはその国の反体制派に任せる、ということ)。】

また介入が遅れることに関しては、それで別に「アメリカが困ることは何もない」と言って、現実的にはアサド政権がロシアと化学兵器の廃棄のために振り回されている間、アメリカは反体制派に武器供与を本格化しているようです。ロシアは今までシリア政府に散々武器供与をしてきていますから、今更アメリカの反体制派に対する武器供与に反対もできないでしょう。アメリカの戦略が、自分でアサド政権を倒すのではなく、単にちょっと弱らせて、後は反体制派に任せる、ということである以上、介入が多少遅れても、また介入の規模があまり大きくなくても、大きな影響はない、ということになります。

さらにアメリカがシリアの外から介入して、シリアが直接アメリカを攻撃できないとなると、代りにアメリカの同盟国が攻撃されることになるかも知れませんが、それに対しては『イスラエルは強いぞ、倍返しされるぞ』、とシリアを脅しています。

要するに、アメリカは安全な所からいつでもシリアに対してダメージを与えることができるのだから、その規模が小さくてもアサドは充分思い知るはずだ、ということのようです。

こんなことを言われると、アサドさんの方はたまったもんじゃないですが、アメリカ人は嬉しいでしょうね。

反体制派を支援することはアルカイダに加担することになるぞ、という指摘に対しては、『確かに反体制派の中にはアルカイダもいるけれど、シリアの人々が毒ガスでやられているのに国際社会が何もしないで放置している、という、より混乱した状況こそ、アルカイダがより強くなる環境だ。シリア人の大半、反体制派の大半はアルカイダなんかじゃない。』といって、むしろ早期に内戦を終わらせ、社会を安定化させることによりアルカイダを排除したい、と言っています。

さて、今後、どうなるんでしょうか。当分の間、注目ですね。

婚外子の相続分の違憲判決

水曜日, 9月 11th, 2013

先日、婚外子の相続分を嫡出子の1/2とする民法の規定が憲法違反だという最高裁の決定が出ました。
「芦部さんの憲法」の番外編として、この裁判についてコメントしてみたいと思います。

ちなみに「決定」というのは「判決」と同じようなものですが、口頭弁論を必ずしも必要としないものを言うようです。
でも決定というと何となく一般的な意味での決定のような気がするので、厳密にはちょっと違いますが、以下この決定のことを「判決」と言うことにします。

でこの判決文は、最高裁のホームページから、
トップ → 最近の裁判例 → 最高裁判所判例集
最高裁判所判例 平成24(ク)984遺産分割審判に対する抗告棄却決定に対する特別抗告事件
の所にあります。あるいはhttp://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20130904154932.pdf で、pdfファイルが取れます。

この事件は、死亡したAさんの遺産について嫡出子側が婚外子側に遺産の分割を求めて審判の申立てをした事件のようです。
で争点は、民法900条4号ただし書にある、嫡出でない子の相続分を、嫡出子の1/2とする規定が合憲かどうかということになったようです。東京高裁ではこれを憲法14条1項に違反しないと判断し、その規定によって遺産の分割を命じたのですが、最高裁ではその決定(判決)をくつ返し、この民法900条4号ただし書は憲法14条1項に違反しているから無効であるとし、その上でもう一度裁判をやり直すように東京高裁に差し戻すというものです。

ここで憲法14条1項というのは、「法の下の平等」という規定です。すなわち今回の判決が言っているのは、民法900条4号ただし書が、合理的な根拠のない差別的取扱にあたるので、法の下の平等を定めた憲法に違反する。そのためこの規定は無効だ、ということです。

民法900条4号ただし書というのは大昔からある規定ですから、これが憲法違反で無効だということになったら、どうして無効なのか、いつから無効なのかということに当然なります。それについてこの決定では、家族制度・相続制度・諸外国の変化・国連の勧告等、また住民票・戸籍・国籍法の取扱の変化をあげて、最終的にこれらの変化のどれか一つを取って民法900条4号ただし書が不合理だと言うことはできないけれど、全体としての変化からこのAさんが死亡した平成13年7月頃には、もう民法900条4号ただし書は不合理なものになっていたんだ、と言っています。
「いつから」に対しては明確な答えを出さずに、「遅くともAさんが死んだ時には」ということです。

で、こうなると少なくともその平成13年7月以降に死んだ人の相続については全て民法900条4号ただし書が無効になるのかということになるのですが、この決定では、既に決着がついてしまっている相続についてこれをひっくり返してはならず、まだ争いが続いているものについてだけ、民法900条4号ただし書を無効として考え直せと言っています。

言い換えれば、民法900条4号ただし書を法律だからと尊重して相続に決着をつけた婚外子の人は損をして、法律にさからって争いを続けていた婚外子の人は得をするということになったわけです。
これはそれこそ憲法14条1項に定める法の下の平等に違反するということになるのですが、そこの所この判決では「法的安定性の確保」という言葉を持ち出し、既に決着のついたことをひっくり返すと混乱が生じてしまうので、それを避けるために既に決着がついたことを蒸し返さない、ということのようです。

法の下の平等を実現しようとして、かえって新たな法の下の不平等を作り出してしまったということになります。

もちろんこの「法的安定性の確保」というのは憲法にもとづくものでも何でもありません。これを憲法の基本的人権の尊重より重視するというのはどうなんでしょうね。

この判決文には、最後に3人の裁判官による補足意見がついています。このうち最初の金築誠志さんという裁判官の補足意見がなかなか面白いもので、日本の裁判制度について参考になります。そこでは「付随的違憲審査制」という言葉と「個別的効力説」という言葉を使って意見を言っています。

「付随的違憲審査制」というのは、日本には憲法裁判所という制度がなく、法律そのものが違憲がどうかを判断するという制度がなく、あるのは具体的な事件があって、その裁判の中でその個別的事件に関連して法律が違憲かどうかの判断をするだけだということです。
「個別的効力説」というのは、裁判で違憲判決が出たからといってその法律が常に違憲で無効になるわけではなく、あくまで「個別事件についてだけ違憲だ」ということです。もちろん違憲判決は先例としての拘束力は持つけれど、あくまで先例であって、別の事件で同じ法律が違憲かどうかは個々の事件ごとに判断しなければならない、ということです。

とはいえ先例は先例ですから、違憲判決が出れば、通常は同様の裁判では同様の判断がなされることになるので、当然過去にさかのぼって違憲の判断がなされることになります。

今回の判決では過去にさかのぼっての違憲の判断により、既に決着している話をひっくり返してはいけないと言っているのですが、裁判所にそんなことを決めることができるのか、という話になってきます。
特定の日時を決めて、いついつまではこのように取扱う、いつ・いつからはこれとは別にこのように取扱う、というような規定は法律ではごく当たり前の話ですが、憲法や裁判ではそのような決めは普通しません。にも拘わらず今回の判決で、すでに決着している話はひっくり返さないと言っているのは、裁判で法律を作ってしまっていることになります。これは憲法41条 国会の立法権を侵害していることになります。

この金築裁判官の補足意見はそのあたりを意識して、今回の判決は、憲法違反になるかも知れないけれど、とはいえそれを言わないで、決着済みの話が次々にひっくり返されて混乱が起きるのがわかっていながらそれを放置して、単に違憲の判断を出すだけではいけないのではないか、という観点からなされたものだ、と言っています。

いずれにしても今回の違憲判決はあくまで個別事件に関してのものなので、今後どのような形で関連する紛争が生ずるか予測しきれない、とも言っています。確かに違憲判決を出す判決が違憲なんですから、どんな争いが発生しても不思議じゃないですね。

以前、生命保険の死亡保険金の年金受取に対する課税が二重課税にあたって違法だ、という最高裁の判決があり、それに対して私はその判決は憲法違反だという意見を書いたことがあります。その判決では所得税法の規定を違法だと言うだけで、既に決着済みの話も含めて、その税法の規定ができた時から違法だ、という判決だったので、過去何十年にもわたって違法な徴税が行なわれたことになってしまいました。

仕方がないので国税庁は急遽「所得税法施行令」を改正し、過去にさかのぼって税金を取り戻すために、いつまで過去にさかのぼれるか、取り戻せる税金はどのように計算するか、どのように手続きしたら良いかを規定しました。

すなわちこの時は、最高裁の判決は、法律ができた時から違法だから、決着がついたことでも全てひっくり返せということになったわけですが、今回の判決では、民法の規定はいつのまにか違憲になったので、この件については民法の規定を無効として裁判をやり直すけれど、既に決着のついた話は蒸し返さないと言っているわけです。

前回の所得税法の話は、最高裁の三人の裁判官による判決で、たった三人で憲法違反の判決が出せるんだ!と言ったのですが、今回の判決は大法廷の判決ですから、最高裁の裁判官全員(この判決では14人)による憲法違反の判決です。

最高裁の裁判官がたった三人で憲法違反できるというのと、裁判官全員で憲法違反するというのと、どっちが問題が大きいか良くわかりませんが、いずれにしてもビックリですね。

GDPの成長率と消費税

火曜日, 8月 20th, 2013

先週、GDP(国内総生産)の成長率の速報値が発表されました。マスコミでは相変わらず実質の成長率しかみていないようですが、私はこの低金利・低インフレあるいはデフレの環境では実質値というのは殆ど無意味だと思っているので、名目値の方を見ようとして内閣府の発表資料を見てみました。

四半期ベースの名目GDP成長率は季節調整済の値で前期比0.7%の伸びで、1年前の四半期からの四半期毎の伸びは△0.8%・△0.9%・0.1%・0.6%・0.7%と順調に増えています(マスコミ流に実質ベースで見てみると、△0.2%・△0.9%・0.3%・0.9%・0.6%とギクシャクしていますが、それでも概ね増えています)。

このGDPに海外からの所得を加えたGNI(国民総所得)で見ると(当然名目で見ます)、四半期ベースの成長率は△0.7%・△0.9%・0.2%・0.6%・1.4%と、景気が良くなっているのが一層わかります。

これらの伸び率、四半期ベースを年率に直すと名目GDPの伸びは2.9%、名目GNIの伸びは5.9%となっています。

ここまで来ていれば、消費税引き上げは問題なさそうです。

景気が良くなりつつあるようだけれど給料の方はまだ上がらないという話については、雇用者報酬の方を見ると、これも四半期ベースの名目の雇用者報酬の前期比が△0.7%・0.2%・△0.2%・0.6%・0.3%となっており、前年同期比で見ても1%(実質ベースだと1.4%)と、すでに増加が見えてきています。

景気が回復する、というのは、最初に生産が増え、その為に雇用が増え、そのあとにようやく給料が上がる、という順番になっています。雇用者報酬が遅行性の指標だ(すなわち他の指標より遅れて景気回復の姿を示す性格がある)ということを考えれば、とりあえず当面の景気回復は確実なようです。

消費税引き上げがはっきりすれば、景気回復もさらに一層はっきりするんでしょうね。

時事雑感

木曜日, 8月 8th, 2013

ユーロ危機は今は夏休み中でしょうか。夏休みが終わったら一気にどっと来そうな気がします。そうなると中国にも韓国にもかなりのダメージになりそうですね。EUと中国・韓国がどこまで大変になるか、ちょっと心配ですね。

国内では参院選が終わり臨時国会も終わって、いよいよ自民党が本格的に動き出したようですね。

野党の方は壊滅への道を着実に進んでいるようですから、自民党の方はもはや野党に邪魔されることなく好きなように政治を進めることができます。

福島の原発の事故対応も東電任せにするのではなし、いよいよ国が前面に出てきて直接工事をするようになるようですから、ようやくお金が動き出すんでしょう。

電気料金も原発の廃炉費用をあらかじめ減価償却して料金に上乗せできるようになったので、さらに値上げが確定です。電気料金の値上げは全ての産業の値上げにつながります。

ガソリンやら食料品やら次第に値上げが進行中、ファーストフードも値上げが進行中のようです。

これでもう消費税引き上げもあり、インフレはほぼ確実になりそうです。

社会保障の方も、民主党が自分から三党会議から身を引くと言い出したので、余計なことを考える必要がなくなり、与党が自由にやることができます。

衆参のねじれもなくなって、国会では何でもすんなりと可決することができますから、必要な法案はどんどん成立するんでしょうね。

野党が多少いちゃもんをつけても鎧袖一触で簡単に振り払われてしまうのは、国会最後の三委員長解任騒ぎや麻生さん発言問題でも明らかですね。

憲法改正の準備も着々と進んでいるようです。

これからの数年、自民党の舵取りは注目ですね。

参院選その後

火曜日, 7月 30th, 2013

参院選が終わって一週間経ちました。負けた野党は大騒ぎですね。

党首の変えようのない小沢さんの生活を除き、議席を失ったみどりの谷岡さん、一議席しか取れなかった社民の福島さんがやめることになり、民主・維新・みんなはとりあえず党首はそのままなだけで分裂気味の大騒ぎです。

次の国政選挙は3年後なんだからここはじっくり3年かけて体制立て直しということで、今までの反省も含めてゆっくり夏休みでも取れば良いのに、と思うのですが、負けた野党としてはいてもたってもいられないというか、じっとしていられないようで、急いで体制を立て直すために、頭を変えるとか他党と一緒になるとか、ワイワイうろうろしていないと落ち着かないんでしょうね。

こんなことをやっていると、3年後にも野党は勝てそうもありませんから、さらにもう3年後ということになると、その間安倍さんもかなり色々できそうですね。

維新の橋下さんも今まで頑張って、ちょっと飽きちゃったんでしょうか。党運営から離れると言っているようです。勿論石原さんは離しちゃくれないでしょうから、いろいろゴタゴタしそうですね。

まぁ話題を提供してくれる分にはマスコミも大歓迎だし、多少の暑気払いにもなりますから、良しとしましょうか。

参院選

月曜日, 7月 22nd, 2013

参院選、終わりましたね。
例によって、8時の開票開始と同時に大勢が判明してしまい、当選確実が続々と出てくるとなると、ドキドキもワクワクもないですね。

で、案の定、自民・公明・共産の勝ちでしたが、野党の負け方がちょっと中途半端ですね。

民主党は惨敗にもかかわらず、ここまで負けると代表を交代させるにも候補も見当たらないようで、このまま海江田さんが代表を続けることになりそうです。

とはいえ、みんなや維新もひどい状況で、どちらと比べても民主党は2倍近い議席を取ってます。みんなも維新もえばれたものじゃありません。さらに、野党がこんな状況になった原因の一つ、大きな要因が橋下さんの逆噴射だということになると、皆で一緒になろうという話もなかなか進みそうもありません。

みどりと生活は一議席も取れず、社民も一議席だけということで、いずれにしても政党の数は減るんでしょうが、どんな具合に減るんでしょうね。

とりあえずは、現実になった負けを野党各党がそれぞれ自ら消化して、気を取り直してからの話になるので、ちょっと時間がかかるでしょうね。

当面はアベノミックスと消費税引上げの決定が注目でしょうか。

東京では山本太郎さんなどが当選したりして当分様々な話題をふりまいてくれそうで、マスコミは嬉しいでしょうね。でも6年間もつでしょうか。

お陰で東京では5議席もあるのに、民主もみんなも維新も議席が取れませんでした。

元都知事の石原さんは、東京で議席が取れなかったことについて責任は感じてないようですね。

これだけの負けなのに、議席を失ってしまったみどりの谷岡さんを除いて、誰も責任を取って党首をやめるという人がいないのも面白いですね。

参議院選挙

木曜日, 7月 11th, 2013

いよいよ参院選が始まっていますが、何とも盛り上がらないですね。

自民・公明の与党の勝ちが決まってしまっている状況だからでしょうか、ちっとも面白くありません。そんな中、テレビでは9党党首の討論会というのが何度も行なわれているようです。

でも9党というのも何なんでしょうね。参議院を中選挙区制から小選挙区制にする時、小選挙区制にすれば二大政党制になると言っていた人達は、この9党党首揃い踏みをどんな思いで見ているんでしょうね。(ちなみに舛添さんがやめなければ10党党首ということだったんでしょうか、ヤレヤレ)

この参議院選、あるいは3年後の参議院選あたりでもう議員がいなくなってしまいそうな政党の党首がイッチョマエの顔をして安倍さんに訳がわからないイチャモンをつけているというのも、ウンザリですね。

選挙が面白くないのは、野党のどの党首をとってみても安倍さんにまともに太刀打ちできるほどの人がいないというのも原因かもしれません。安倍さんの発言の番になるとそれまでの野党の言い分は鎧袖一触で片付けられてしまっている感があります。

今のままだと自民・公民・共産の3党の勝ちということでしょうから、開票速報の興味は残りの野党がどこまで負けるかということだけになりそうです。

総理大臣の問責決議案

金曜日, 6月 28th, 2013

国会があれよあれよのうちに終わってしまいましたね。
あの、総理大臣の問責決議案、というのは何だったんでしょうね。

社民、生活、みどりの共同提案、ということですが、見るからに小沢さんがバックで糸を引いているような顔ぶれですね。

この問責決議案に対して民主党も乗ってしまった、というのは、今度の参議院選に向けて自民党に格好の攻撃材料を与えてしまった、ということになりますね。もっともさらに鳩山さんがわけのわからないことを言って、なおさら自民党の民主党攻撃に関してはネタは有り余るほどですが。

鳩山さんも6月で民主党をやめる、ということのようですが、今はまだ民主党員じゃないんでしょうか? あの発言に対して細野さんはかなり怒ったそぶりを見せていましたが、民主党としては何の処分もできないんでしょうね。

それにしても今度の参議院選が終わったらそれこそほとんど存在がなくなってしまうような社民、生活、みどりの共同提案にほかの野党がみんな乗ってしまった、というのはどうなんでしょう。

輿石さんにしてみれば、参議院選が終われば参議院でも民主党の出番はなくなるのでこれが最後の見せ場、ということなのかもしれませんが、それを止められない民主党のトップもなんともふがいないですね。

仮に自民党がこの問責決議案の可決を受けて、『民意を問う』なんて言って衆議院を解散して衆参同時選挙、なんてことになったらどうするつもりだったんでしょう。

この前の衆議院選でかろうじて生き残った民主、維新、生活の議員さんたちもほとんど振り落されて衆参両院とも完全に自民党の独り舞台になっていたかもしれませんね。

安倍さんと石破さんのコンビはそんなに乱暴なことはしないでしょうが、これが小泉さんだったらそんなシナリオも十分ありだったかもしれませんね。

いずれにしてももう待ったなしの参議院選、まずは野党がどれくらいの候補を立てることができるのか、というところから、見ものですね。