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ユーロ危機・・・その4

金曜日, 10月 28th, 2011

どういうわけか、昨日の首脳会議の結果、マーケットはかなり好感しているようですね。

日本の報道では「EU首脳会議」と言っていますが、英語の記事を見てみたらEuro Crisis Summitというんですね。「ユーロ危機首脳会議」です。大分感じが違いますね。

昨日の報道では、【首脳会議で、銀行が自発的に元本を50%削減することで合意した】などとあり、一体誰が何を合意したのか、さっぱりわかりませんでした。銀行が何かを自発的にやる、ということを国のトップが合意した、というのは意味がありませんから。

今朝の日経新聞を見て、ようやくわかりました。首脳会議といっても首脳が集まっていただけでなく、銀行の代表者も来ていたんですね。
国際金融協会の専務理事のダラーラさんという人が民間の銀行の代表として、EUの首脳、ドイツのメルケル首相たちと話をしたということのようです。
そして「50%削減で合意した」というのも首脳だけでなく、銀行の代表も「この線で合意した」ということのようです。

もちろん、この合意がそれぞれの銀行に対してどれだけの強制力を持つものなのかはわかりませんが。

普通、借りたお金が返せない時は、借りた方が「すいません。返せません」と言ってから、貸した方が「仕方ない。半分にまけてやるから」ということになるのですが、この「自発的に」というのは借りた方(ギリシャ)が「返せません」と言う前に、貸した方から「半分返せば良いから」と言う、ということです。そうすることによりギリシャは「返せません」と言わなくて済むということです。

「返せません」と言うと、これはデフォルト(支払不能)ということになるので、何とかしてそうならないよう【(強制的に)自発的に元本の返済を負けてあげる】ということのようです。

で、借金が半分になればそれで払えるのか・・・となると、それでも払えそうもないので、足りない分はユーロ参加国・EU参加国・その他の国が協力してギリシャに資金援助して、何とかして形の上だけでも支払不能にならないようにしよう、という涙ぐましい努力のようです。

銀行にとってみれば、貸した金が半分しか返ってこなければ、その分赤字です。その赤字で銀行が資本不足になってしまっては困るので、不足する分はそれぞれの国が公的資金をそれぞれの国の銀行に投入することにより、銀行が潰れることを防ぐ。それが「首脳が合意した」という中味のようです。

もちろんこの借金の半分棒引きは「銀行が自発的に」ということですから、銀行以外でギリシャの国債を持っている人は元本まるまる返して貰うということになるので、不公平といえば不公平な取決めなのですが、どうせ返って来ないなら半分棒引きしても良いかとか、銀行以外が持っているギリシャ国債は大した額じゃない、とかいうことなのかも知れません。
しかしこんな決め方だと頭の良い銀行は、いつの間にか国債を投信その他に移しておいて、借金の棒引きをできるだけ小さくしようと動いているのかも知れません。

もちろんマーケットが好感しているほど、これで安心できるわけではありません。またしばらくしたら、もっと皆で負担しないと間に合わないということになりそうです。
日本のバブル崩壊の時も、何度も「これでもか」「これでもか」という具合に負担が膨らんでいったことを思えば、覚悟しておく必要がありそうです。

円高はこのような状態を反映しているわけですから、日本がいくら円売り介入したとしても、日本がEU全体を救済するなんてわけにはいかないので、効果は見込めません。
財務大臣が「この円高は日本経済の実体を反映していない」などと言っているようですが、これはむしろ「EUやアメリカの経済の実体を反映している」わけですから、小手先でどうにかなるものじゃないでしょう。