Archive for 3月 22nd, 2013

日銀総裁の交代

金曜日, 3月 22nd, 2013

日銀総裁が白川さんから黒田さんに交代しました。
マスコミなどでは白川さんはちゃんと仕事をしなかったけれど今度の黒田さんはしっかりやってくれそうで、デフレも終わるんじゃないかという期待感がありますが、私の感想とは大分違いますね。

白川さんというのは総裁になった時、他の候補者が国会の同意で揉めて想定外のピンチヒッターのような形で選ばれたのですが、それまで日銀の中では実務家というよりは学者のような仕事をしていた人なので総裁の仕事がちゃんとできるか心配されたのですが、実際総裁になってみたら素晴らしい仕事の仕方で安心感が持てました。

いつまでたっても景気が良くならなかったじゃないかという批判もありますが、景気を良くすることは日銀の仕事じゃないですし、景気を良くしなきゃいけない立場の政府のやったことが景気を良くするのに全く失敗した、というのが現実です。その中で、大きな事件が次々に起こる中で一つも銀行がおかしくならなかったんだから白川さんはちゃんと仕事をした、ということです。

今黒田さんが新しい総裁になってかなり期待が膨らんでいますが、日銀総裁がそう簡単に景気を良くしたり悪くしたりできるわけがありません。できるのはたまたま景気が良くなる時に、そこに日銀総裁として居合わせるかどうか、というだけのことです。

その意味では安倍さんも同様ですが、たまたま今「アベノミクス」ということで景気が良くなる場面に安倍さんも居合わせる巡り合わせになったし、黒田さんもそうだ、というだけのことです。

でもたまたたまそこに、その立場に居合わせるということ自体「運も実力のうち」という考え方からすると、その人の実力だということになりますから、その意味で安倍さんや黒田さんに期待するというのもアリなんでしょうね。

誰かスーパーマンのような人が現れていろんな問題をたちどころに解決してくれて景気を良くしてくれるという話の方が単純明快、わかりやすいし、そう考えた方が安心できますからマスコミもそう宣伝するし、それを見聞きする方もそれを受け入れたがるんでしょうね。

マスコミの人気に煽られて黒田さんがとんでもないことをやり過ぎないように、と思いますが、黒田さんというのも多分頭のいい人なのでたいしたことにはならないと思います。

キプロスの銀行

金曜日, 3月 22nd, 2013

キプロスの銀行預金者に対する課徴金、びっくりしましたね。

銀行が破綻しても1,000万円までは預金を保障するというのが日本を始めとした多くの国のやり方だと思うのですが、これとは逆に、銀行が破綻していないのに銀行の破綻を防ぐために預金者の預金から預金残高の6%なり9%を召し上げてしまうという話ですから、預金者にとってはとんでもない話です。

これを実施するには新しく法律を作る必要がありますが、とりあえずこの新しい法律の案はキプロスの国会で否決されたようですが、政府が提出した法案に対して賛成する議員が一人もいなかったというのも驚きですね(かなり多くの棄権と過半数の反対だったようです)。

問題はこのようなアイデアがEUのほうからキプロスに提案されたということで、これは同様のアイデアが他の国にも使われるかも知れないということになります。

スペインやイタリア、フランスの預金者はいつ頃どうやって銀行預金を引き出すか考え始めているに違いありません。でもそのような預金の流出は銀行の破綻を早めることになるわけで、危機を加速することになってしまうんですが。

キプロスの銀行預金はロシアの金持ちの預金が1/3とか2/3とかを占めるらしいですが、EUとしたらロシア人の金持ちに負担させるのは構わないと思っていたのかも知れませんが、普通の預金者のことは考えなかったのでしょうか。

100億ユーロの支援をしてあげるから58億ユーロの課徴金を確保しろというのもちょっと乱暴ですね。とはいえ一方的に助けるだけということだと、ドイツの国民に言い訳ができないと思ったのでしょうが。

キプロス銀行は今週のはじめから窓口を閉めていて、来週までは閉めっぱなしということですが、銀行が閉まりっぱなしというのもいつまでも続けるわけには行きませんから、この週末が山ですね。

このキプロス問題、うまく解決しないと火の手が他の危なっかしい国にそのまま飛び火してしまいますから、そうなったら大変です。どうなりますか。