Archive for the ‘時事雑感’ Category

佐藤優さんのコラム

火曜日, 7月 26th, 2011

金財(週刊金融財政事情)に連載中の佐藤優さんのコラム、やはり素晴らしいですね。

3回目は『「松本復興相辞任問題」の本質』と題して、政治は言葉の芸術である、ということと、震災から立ち直るにはイデオロギー(あるいは「国民の物語」)が必要なのだ、ということを言っています。
イデオロギーを「国民の物語」と言い換えるのはびっくりですが、言われてみればその通りですね。新たな「坂の上の雲」の物語ができると良いんでしょうね。

4回目は『特捜検察の存在意義』です。特捜検察の国策捜査により逮捕され有罪になった佐藤さんだからこそ書ける、特捜部必要論です。

歴史には時として「時代のけじめ」をつけることが必要になることがあり、今のように政治がそれをする力を失っているような時は、それに代って特捜が国策捜査でそれをすることが必要になる。『特捜検察が生き残ることが結果として国家と国民の利益にかなうと筆者は考える』というのが佐藤さんの結論です。
いかにも国家主義者の佐藤さんの面目躍如といった所です。

記事広告

金曜日, 7月 15th, 2011

新聞を読んでいると、時々、ある特定の会社のことだけ取り上げて、ほめあげている記事にぶつかることがあります。あれっ、と思ってページの上の枠外を見ると、【記事広告】と書いてあって、やっばり、と思うことがあります。

新聞には、いかにも新聞記事のような体裁で、その実、企業の広告だ、という紙面の作り方があります。なれないとだまされてしまいますが、上の隅っこの方に【記事広告】と書いてあるだけで、だましているわけではなく正々堂々広告と言ってるじゃないか、という言い訳ができる、という仕組みです。

こんな話を持ち出したのは、九州電力のいわゆるやらせメールの話です。
いい加減そろそろもういいだろう、と思うのですが、マスコミはまだ大騒ぎをしています。

このやらせメール事件のテレビ番組、「しっかり聞きたい、玄海原発」というタイトルの県民説明番組、ということのようです。
経済産業省が主催し、企画した、経済産業省の広告(もしかすると公告という方を使うかもしれませんが、同じことです)番組です。

このときはまだ、菅さんのストレステスト発言の前の段階ですから、経済産業省は安心して原発再開の環境づくりをしていた時期です。経済産業省がこの番組を作り、その宣伝効果を高めようと思ったら、できるだけ大勢に見てもらって、特に原発再開の賛成派に大勢参加してもらって世論を盛り上げようとする、というのは当然のことです。

せっかく税金を使ってテレビの番組を作るんですから、視聴率も気になるでしょうし、マスコミの評価も気になるでしょう。でも、経済産業省というのはそういうのはあまり得意ではないでしょうから、そういうことは当然誰かに頼んでやってもらう、ということになります。もちろん広告代理店には頼んだでしょうが、それにはお金がかかります。お金がかからないで一番頼みやすいのは、この原発再開で経済産業省と利害が一致していて、経済産業省のいいなりになり、地元に影響力のある、たとえば九州電力、ということになります。

九州電力にしてみれば、お役所に逆らうことはできないし、会社にとっても悪い話ではないので、喜んで協力します、ということになるでしょう。

九州電力にしてみれば、原発再開はいいことにきまっていますから、いいことをいいことと言ってください、というのに何の躊躇もないでしょう。それで、お知らせ(協力要請)メールをもらった人も、いいことと思っているから、めんどくさいけどそれじゃあちょっと協力しようか、ということでしょう。

もし本当に九州電力が本気で『やらせメール』をさせようとしていたとしたら、メールの数は少なくとももう一桁、多分二桁くらいは軽く増やすことができたんじゃないかな、と思います。

いずれにしてもこの番組は『広告』なんですから、この化粧品を使えばだれでも美人になれる、とか、この英会話教材を使えばだれでも英語がペラペラになれる、とか言うのと同じことです。原発再開に賛成って言ってどこが悪いんでしょうか。

いずれにしても『やらせメール』と言われている人が送ったメール、必ずしもイヤイヤ書かされた、というわけでもないでしょう。素直に自分の考えとして原発再開賛成メールを書き送った人も多いと思います。そのようなメールを十把ひとからげで『やらせメール』として否定してしまう、というのはこの国には言論の自由とか、人格権という基本的人権はないのか、と思ってしまいますね。

この『やらせメール』事件で大はしゃぎしているマスコミ自体、客観性を装ったニュースであっても、街頭インタビューにしてもコメンテーター選びにしても『やらせ』のし放題だ、というのに、いつまでこんなニュースを垂れ流し続けるんでしょうね。

円高が止まらない

水曜日, 7月 13th, 2011

円高が止まりません。困ったものですね。

本来であれば日本はこれだけ震災・津波で傷めつけられて、その上今の政府や国会のていたらくですから円安になって当然のはずなんですが、それ以上にドル・ユーロが弱くなってしまって相対的に円高になってしまうんでしょうね。

ユーロはギリシャ・スペイン・ポルトガル・イタリア・アイルランドと、それこそ場合によったらユーロ存亡の危機のような状況ですし、アメリカもそのユーロの問題と債務上限引上げの問題で急速にドル安になっているし、日本の震災どころじゃないんでしょうね。

でもこれでは日本の製造業は困っちゃいますね。震災による部品不足は解消されつつあるようですが、電力不足による操業の縮小、そして円高で売ってもあまり儲からないということになったら苦しいだろうなと思います。

せっかくの円高ですから火力発電所用に化石燃料を大量に輸入するとか、被災地の農業被害の肩代わりに食料を大量に輸入したりしても、あまり大したことにはならないんでしょうね。

国債発行の問題がけりがつかないので、復興需要というのがなかなか本格的に動き出さず困ったものですね。
これが動き出せば、そのための輸入で為替も円安ドル高の方向の動きが出てくるはずなんですが。

佐藤優さんのエッセイ

月曜日, 7月 11th, 2011

7月に入り、週刊金融財政事情いわゆる「キンザイ」に佐藤優さんのエッセイの連載が始まりました。

例の鈴木宗男さんと一緒に逮捕されて有罪判決を受けた元外務省のお役人、いわゆるラスプーチンと呼ばれた人です。

国策逮捕で有罪になった人に連載を頼むのも、金融庁の広報誌でもあるキンザイも大したものですが、その内容は期待に違わず素晴らしいものです。

7月4日号の第1回は、現在の政界事情を見事に解き明かす1冊の本の紹介から始まります。

『個々の指導者の責任が軽くなればなるほど、自分は哀れむべき程度のくせに、人並みに国民に対して不朽の努力を捧げるために招かれていると感じているものの数も多くなってくる。』

そしてその責任を果たすために、それを邪魔する自分より前にその地位について中々そのポストを明け渡そうとしない人を引きずり下ろそうとする、ということで、小泉さん以降の頻繁な首相交代を解説しています。

その上で、その本があのヒトラーの『わが闘争』の一節だと種明かしをします。

同じ本の中から
【多数はいつも愚鈍の代表であるばかりでなく、卑怯の代表でもある。百人の馬鹿者からは実に一人の賢人も生れないが、同様に百人の卑怯者からは一つの豪胆な決断も出てこない。】

という言葉も紹介されます。そしてマスコミが「誰がなっても日本は変わらない。どうしようもない」というニヒリズムを撒き散らすようになり、ヒトラーの登場につながる・・というお話です。

本物のエッセーは直接読んでみて下さい。はるかに面白いですから。

2回目の7月11日号は、沖縄の普天間問題に関して、鳩山さんのドタバタの結果、不平等の問題が差別問題に変わったということを明らかにしています。

佐藤優さんは太平洋戦争の沖縄戦の女子学生部隊の生き残りを母親にしている、半分沖縄人ですから、その議論にも説得力があります。
ここで佐藤さんが紹介しているのが、沖縄とグァムが日米の植民地となっている現状を打破するため、協力して独立運動を進めつつあるということです。

見開き2ページですから、本屋の立ち読みでも簡単に読めそうです。

もし「キンザイ」を見ることができるのであれば、是非読んでみて下さい。これから毎週このような切れ味鋭い文章が読めると思うと、楽しみです。

やらせメールとストレステスト

月曜日, 7月 11th, 2011

最近、以前に増してニュースが理解できなくなってきたようです。

その一つは九州電力の「やらせメール」の問題です。私がニュースを見る限り、九州電力のやったことは「テレビ番組があることを知らせてその番組に意見をメールで送るように連絡した」というだけのことで、何がこれ程大騒ぎをするほどの問題なのか、わかりません。

多分反原発の運動グループも同様に、仲間にメールを送って反原発の意見をメールで送るように連絡していると思うんですが、そっちの方は問題にならないんですね。

もう一つはいわゆるストレステストの問題です。

どうも原発の安全性を確認するために、今回の震災による原発事故を踏まえて新しいテストを導入しようということのようですが、そのテストのために原発が止まってしまうというのがわかりません。

今まで動いていたものを新しいテストをするからといって、その新しいテストの内容もまだ決まっていないのに、そのテストを実施するまでは原発を動かすなというのですから、大変です。

これは言ってみれば、たとえば
【自動車事故が多発するので、車の安全性を高めるため車検の内容をちょっと変更することになりました。それでその新しい車検の内容はこれから早急に検討して決めますから、それが決まって新しい車検に合格するまでは車の運転はやめて下さい。】
というようなものです。こんなことをやったら大混乱ですよね。

私が知っている保険業界の規制であれば、たとえばソルベンシーマージン規制というのがありますが、その規制を導入する時は、実際に導入する前に試行をし、その試行している事も試行の結果がどうだったかということも、当面公表しないでやっています。

それで試行の結果、どのレベルの規制であれば大丈夫か検討すると同時に、そのレベルで問題のある会社については早急に何らかの手当てをして、問題のないレベルまで改善させた上で初めて新しい基準を発表し、その基準に照らして「問題のある会社はない」という発表をしていました。

もちろんその間、保険会社の営業をストップさせる、なんてことはありません。

これと比べると今回の原発のストレステストの問題は、あまりにも唐突で準備不足のような気もします。
原発事故もようやく落着きつつある所ですから、もう少し落着いて考えても良いんじゃないかと思うのですが、そんな話は反原発の人にとっては聞く耳持たないんでしょうね。

斑目さんの『人災』発言

水曜日, 6月 29th, 2011

原子力安全委員会の斑目さんが今回の原発事故について、「人災だ」と言っていることが取上げられています。
これもいかにも学者らしい発言ですね。

斑目さんは事故が起きてからの現場の対応を「人災」と言っているわけではなく、事故が起きる前のルール作りとか事前準備とかについて「人災」と言っているようです。だとすると自分が委員長をしている原子力安全委員会も人災のうちです。

ビジネスの世界では責任を認めた途端「金を払え、職を辞せ」となるのは当然の話なのですが、斑目さんは自分の全財産を差し出して身を引くなんてことを考えているわけでもなさそうですし、この「人災」発言を聞いている議員さんもマスコミもそのことを要求しようともしていないようです。

仮に誰かがこの「人災」発言を受けて、斑目さんに「それじゃあ全財産を賠償のために差し出せ」と言ったとすれば、斑目さんが「全財産差し出します。」と発言したとしても「自分個人の財産は差し出しません」と答えたとしてもニュースになって当然だと思うのですが、そのあたりについて何のニュースにもなっていないことからすると、そんな問いかけをする議員さんもマスコミもいないということでしょうか。

斑目さんは学者ですから、自分の財産を投げ出すなんてことは考えてなくて、単に今までのやり方を反省し、これからもっと厳しいルール作りを自ら率先してやりたいと考えているんでしょう。

このように自分の発言の重さについて無感覚だというのは学者には良くある話ですが、マスコミもだらしがないですね。

このように無邪気にいろいろ反省する人の発言がマスコミで取上げられるのを見ると、がっかりですね。

小林秀雄が敗戦後、戦時中に文化人として戦争に協力したことについて「頭の良い人はたんと反省するがいい。僕は馬鹿だから反省しない」と啖呵を切ったのが懐かしいですね。

東電の株主総会

水曜日, 6月 29th, 2011

東京電力の株主総会があったようですね。

テレビやネットのニュースでは、大混乱とか怒号だとか脱原発が否決されたとか新役員がそのまま選任されたとかの話ばかりですが、私が知りたいのは一つだけ。
今回の事故に関して、東電が賠償責任を何故認めるのかという質問があったかどうか。あったとしたら、東電はどう答えたのかということです。

もしかするとこんな質問はないかもしれないし、あってもマスコミは無視して報道しないで、しばらく後の週刊誌でもみなきゃならないかなと思っていたんですが、さすが新聞にはちゃんと載ってました。

私は日経新聞しか見ないので、他の新聞にも報道されたかどうかはわかりませんが、今朝の日経新聞では3ページの記事の終わりの方にちゃんと出てました。

「原子力損害賠償法に基づき、免責を訴えても良いのではないか」という質問が出たが、勝俣会長が「免責の結論を得るには時間がかかる。被災者を救済できない上に当社も資金不足に陥る」と、法的な可能性を探るより現実問題への対処を優先する現状を説明した。

確かに現在の集団ヒステリーのような東電いじめの状況では、東電が「賠償責任はない」と主張したら東電に金を貸してくれる人はいなくなってしまうでしょう。
仮に賠償責任が免責となったとしても、原発事故自体の後始末の費用は東電が負担しなくてはなりませんから、外部からのお金がストップしたら東電は立ち往生せざるを得ないでしょう。
電力料金を上げようとしても、賠償責任はないと主張する東電の料金引き上げを認める勇気のあるお役人も政治家もいないでしょう。
いずれにしてもその間、被災者に対する賠償は進まないでしょう。

だとすると法的正義の主張より企業存続と被災者救済、サービスの継続の方を優先する東電経営陣の判断は納得できます。なかなか見事なものですね。

永久国債

日曜日, 6月 26th, 2011

菅さんの粘り腰で国会の延長は決まりましたが、さて、肝心の国債の発行の方はいつごろ決まるんでしょうか。

何をするにもお金が必要で、その為には国債発行と増税のセットが必要だ、ということは皆わかっているのに、菅さんを引きづり下ろす道具としてこの国債発行の議論を使っていると、いつまでたっても被災地にお金がいきわたりませんので、困ってしまいます。

で、いずれにしても国債を発行しなければならないんですから、この際、永久債を発行する、というアイデアはどうだろう、と考えています。

通常の国債は、利付国債で、毎年、元本に対する利息を支払い、満期償還の時に利息に加えて元本を返済する、という仕組みの債券です。
永久債、というのは、満期償還がなく、永久に利息の支払いを続ける、という債券です。

あまりなじみがない債券ですが、イギリスではこのような国債をその昔発行していて、初めてこれを知った時は「そんなものがあるんだ!」と感動したことを覚えています。

元本の返済は永久にしなくてもいい、ということで、発行する方にとって有利なようにも見えますが、その代わりに永久に利払いをし続けなければならない、ということで発行する方にとって必ずしも有利なだけでもありません。でも、お金のない今の政府にとっては、元本の返済をしなくてもいい、というのは魅力的かもしれません。

先月金融庁が発表した「経済価値ベースの保険負債評価」の試算のレポートでも、保険会社(特に生命保険会社)にとって、負債の期間が長期なのに対してそれに見合う長期の資産が存在しないのでALMがうまくいかない、というコメントがありました。その点、満期償還付きの債券に比べて満期償還のない永久債は非常に長期の資産になります。特に今のように金利が低いときはとてつもなく長期の資産になります。これを使うことができれば、ALMもかなりやりやすくなるはずです。

大雑把にいって、債券の期間、というのは、割引債の場合、その満期償還までの期間となり、利付国債なんかの場合は利払いがある分、満期償還までの期間より短くなります。それに対して永久債の期間は利回りの逆数になりますので、利回りが1.5%とすると70年くらい、利回りが1.0%とすると期間は100年くらいになります。

いま日本で発行されている国債は、20年とか30年とかのものもありますが、たいていは長くても10年のものですから、それを組み合わせたんでは、平均期間はせいぜい10年とか20年とかにしかなりません。生命保険の保険期間が何十年にもなる、その負債の期間と比べるとまるで短すぎる、ということになります。でも、これに期間が70年とか100年とかの国債が登場して、これを組み合わせて使うことができれば、この期間の問題は一気に解決します。

国債というのは国の借金です。借金は余裕があるうちにさっさと返してしまった方がいい、ということで、日本でもアメリカでもその昔、好景気で税収が順調に伸びていたとき、あと何年で国債は全部償還が終わってしまって、国は無借金になるけれど、国債がなくなってしまうと資産運用で国債を買うことができなくなってしまう、などと本気で心配していた時期がありました。今から思えば夢のような話で、信じてもらえないかもしれませんが、ほんとのことです。

しかし、国債というのは借金、というだけではなく、国の信用をバックにしたリスクフリーレート(一番信用できる資産運用をした場合の、資産運用リスクを取らない場合の金利)を示す指標をになうもの、という機能も併せ持っています。国が国債を発行して、その国債がマーケットでいくらで取引されるかで、金利水準が今どれくらいにあるか、ということがわかるようになる、ということです。

金融機関が巨額の資産運用をするようになった時、その運用の指標の一つであるリスクフリーレートというのは重要なインフラストラクチャーであり、そのようなリスクフリーレートをになう国債を発行するのは国の重要な金融インフラストラクチャー整備のサービスの一つです。そのためには、国がいくら財政的に豊かで、借金の必要がなくてもある程度の量の国債を発行し続けて、マーケットで取引できるようにしておく、というのは必要なことです。それも、できれば短期・長期・超長期のリスクフリーレートをバランスよく提供してくれると金融機関はとても助かります。

ましてや今は大震災の復旧・復興資金のために、原発事故の賠償資金のために、国債発行が避けられないことはだれもが認めることです。

日本では永久債、というのはあまりなじみがないので、それが登場してきたところで、いくらで売買したらいいか、という理論を改めて構築する必要もあるでしょうが、そのような理論やそれに伴う実務を作る、というのも金融機関にとっては興味のあるテーマではないかな、と思います。

投資家にとっても、永久債の方が普通の利付国債より値動きが大きくなるので、新しい儲けのネタ(と同時に損するネタ)になって、うれしいかもしれません。

この際、これをチャンスに日本でも永久債の国債の発行を始めないかな、と思うんですが、、、、多分こんなことを考えている人はほとんどいないでしょうね。

辞めない菅さん

火曜日, 6月 14th, 2011

菅さん、ヤメロヤメロの大合唱の中、がんばってますね。

でもこんだけ大合唱だとちょっと心配になりましたが、先週毎日新聞の菅さんの奥さんの伸子さんのインタビュー記事を見て、これなら大丈夫そうだなと思いました。
=>http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110609ddm013010005000c.html 

この中に塩野七生さんの言葉が引用してあります。
<私があなたに求めることはただ一つ、刀折れ矢尽き、満身創痍(そうい)になるまで責務を果たしつづけ、その後で初めて、今はまだ若造でしかない次の次の世代にバトンタッチして、政治家としての命を終えてくださることなのです>

これは「日本人へ リーダー篇」(文春新書)の中で<拝啓 小泉純一郎様>という書き出しで書かれているとのことですが、塩野さんはその後小沢一郎宛でも同じようなことを言っていると思います。

小泉さんはさっさと格好良くやめちゃったし、小沢さんは何とか格好つけようとして四苦八苦している。そんな中、菅さんはまさにこのようにしてバカ正直に格好悪くがんばっています。がんばればがんばるだけヤメロヤメロの大合唱の声は大きくなるばかり。やはり日本のマスコミや国会議員の先生方は、格好良く潔い生き方が好きなんですね。

この塩野さんの言葉、菅さんも、最強の同志の伸子さんも気に入っているようですから、まあ大丈夫かなと思いました。

これと同じような言葉に「志士は溝壑(こうがく)にあるを忘れず」という言葉があります。これも昔、小泉さんが演説で使った言葉ですが、「孟子」にある孔子の言葉だそうで、日本では吉田松陰が流行らせた言葉ですから、長州好きの菅さんも当然知っている言葉です。

漢語で読むと何となく格好いい言葉ですが、その意味は感じとして、何か事を起こそうとしても全くうまく行かず、空腹でお金もなく切羽詰って食い逃げをしようとしたら店員や客に捕まってボコボコにされ、どぶに放り込まれて顔を上げる力もなくそのまま溺れ死ぬ、というような、何ともみっともない格好悪い死に方をする。志士になるにはそんな覚悟が必要だ、という位の意味だと思います。
「潔く良く身を引く」などという甘っちょろい話ではありません。
国会議員の先生方、幕末維新の志士が好きな人も多いのですが、自分も他人もこんなみっともない生き方をするのは嫌なようですね。

自分の信念を貫き通し、国民からは人非人・非国民・売国奴・アホ・バカ・マヌケ・オタンコナスと言われ、石を投げつけられるようになってもあくまで身を引くなどと言わず、地位にしがみついてやるべき事をやるという何とも悲惨な生き方です。

インタビュー記事にはもう一つ、お坊さんの玄侑宗久さんの「成り行きを決然と生きる」という言葉も紹介されていました。「現在、菅家の座右の銘」だそうです。これもなかなか良い言葉ですね。マスコミでは場当たり的で、その場しのぎで、と悪口を言われますけど。

で、菅さん、やめないでがんばり続けてくれるかなと、少し安心です。

ダマサレタ

月曜日, 6月 6th, 2011

内閣不信任決議案の否決、わけのわからないことになってますね。

仮に鳩山さんの言うとおり、鳩山さんが菅さんに騙されたんだとしても、小沢さんは菅さんに騙されたんじゃなく鳩山さんに騙されたんだし、小沢さんのグループの、賛成票を入れようとして土壇場で反対票に変えた先生方は菅さんに騙されたんじゃなくって小沢さんに騙されたことになるんですが、まぁ国会議員の先生方はこんな論理的な考え方には慣れていないんでしょうね。

でも次第に「何かおかしいな」と気がついてきたら、鳩山さんも小沢さんも、彼らに騙された人からは相手にされなくなるんでしょうね。

同じく鳩山さんに騙されたみたいな自民党も、鳩山さんに文句を言ってみても仕方がないので、困っているようですね。

で、国会での投票は圧倒的な大差で「否決」ということになったんですが、その直後から騙された人達の大声は凄いもんですね。
普通はもう勝負に負けたんだから潔く負けを認めれば良いものを、「騙された」「ダマサレタ」と大声を張り上げるというのは何ともみっともないですね。「俺はアホだ」と大声で連呼しているようなものですから。

仮に騙されたとしても、普通は「騙されたほうが悪い」ということでおとなしくしているものなのですが。まぁ少なくとも小沢さんあたりは、騙された自分が悪いというのはわかっているようですけれど。小沢さんは鳩山さんとは相性が悪いようで、何度騙されても性懲りもなくまた騙されちゃうようですね。

内閣不信任が否決された以上、管さんが自分で「やめる」と言わない限り、当分は管さんが総理大臣を続けるしかないんですから、もう「騙された」なんてことは棚上げして、さっさと震災の復興プランを進めちゃった方が良いんじゃないでしょうかね。

自民党は復興プランは成立させるけれど、国債増発は認めないなんて言っているようですが、いくらプランができてもお金が使えるようにならないと何にもならないのはわかりきった話です。それを止めているのは自民党だ、ということも知られつつありますから、そろそろ被災地から「早く金を出せ」という批判が自民党に向かい始めるんじゃないでしょうか。

騙されたテレ隠しでしょうか、菅下ろしの大合唱ですが、それにもかかわらず下ろした後、誰をトップに立てて何をどうやるのか、という話が一向に出て来ないという状況を傍から見てると、この大騒ぎ、どこまで本気なんだろうという気もしてきますね。菅さんを下ろした後で考えようというんでしょうか、ドロナワもいい所ですね。

この大騒ぎの陰で誰かが本気で、今後の方向性について誰かと協議を進めている、ということであってくれると良いんですが。